見出し画像

日常を取り戻す

吹奏楽団に復帰した。

社会人になってから、吹奏楽団に所属している。
新卒1年目、職場の同期と毎日を過ごしていたけれど、職場が一緒だからこそ言えないこともあるように思っていた。
実際はその頃人に馴れていないせいで話せないことが多かっただけで、同期は本当になんでも話せるいい存在だったけれど。
ひとまず、会社員生活を始めて2ヵ月くらい経ったとき、吹奏楽団に入った。
純粋に音楽をしたいという気持ちと、仕事以外の恒常的な人との関わりを持ちたい気持ちと、半々くらいの心持だった。

私の所属している吹奏楽団は、比較的厳しい。
そこそこ上手い学校を出た人が多く、そこそこ結果を出すことにも重点を置いている。
私は中高時代に吹奏楽をやっていたもののそんなに上手くない学校の中でも半分より上手くない方で、レベル的に圧倒的に他の団員に劣っていた。
そして週末の趣味と割り切りすぎて、その劣等感をわざわざ解消しようという気も初めからそんなになかった。
だから結構怒られたし、よくここにいさせてもらえるなと思うようなことも多かった。

それでも、吹奏楽団に入ったことで同世代の友人ができ、「また来週」をいえる存在となった。
その存在と音楽それ自体の楽しさがなかったら、私はとっくにこの楽団をやめていたと思う。
だけど今年の5月、私は吹奏楽団を休団した。

定期演奏会が終わってコンクールに向けて動き出す前の時期で、その頃私は何をしていても涙が止まらない状態が悪化し始めていた。
人と話すことがどうにも怖く、会話が自分に向けられないですみますようにと願い続け、音楽を聴くことそれ自体が苦痛になっていた。
正直、もう無理だった。
このまま続けられる見込みもなく、職場をおやすみするより前に、吹奏楽団をおやすみすることを決めた。

職場の休職期間も延長し、吹奏楽団の休団期間も延長した。
でも今月から、復団することができた。
最早休みすぎて行くことが怖い部分もあったけれど、「待ってるよ」「また練習でね」と暖かい言葉をかけてもらった。
練習に行ってしまえばもう、大丈夫だった。
多少の恐怖心は諸々あっても、久しぶりと声を掛けてくれる人も多く、またここでやっていきたいと思えた。

来月にはクリスマスコンサートがあって、今はそこに向けて練習をしている。
本当は仕事をできる自分になってからと思っていたのに順番が前後してしまったけれど、楽しいと思えることが取り戻せてきたと認識することができ、結果として良かったのだと思う。
次に自分の手元に戻ってくるものは何か、確実なものはわからなくても、ゆっくりでもひとつずつ、手放した日常を取り戻したい。

お読みいただきありがとうございます! サポートいただきました分はnoteを続けるエネルギーに変換していきます。