見出し画像

僕はLGBTのTであるトランスジェンダー。女から男に性別を変えて生きているFTM。1980年生まれ。鈴木優希。
仕事は地元名古屋でオナベバーVenusとレズビアンバーWを経営している。

高校バイトを中退後、バイトを転々として水商売に辿り着いた。
この仕事で生きていくと決めたのが23歳の時。そのタイミングで水商売をしたい事と心と体の性が違う性同一性障害であることを親にカミングアウトした。
その時、僕が選んだこの水商売という仕事に対して父から言われたのが「若い時しか出来ない仕事だぞ」という反対だった。
人が寝てる時間に働くこと。誘惑も多い世界への心配。飲めないお酒を飲む仕事。プラスを探すことの方が親としては難しいことだと今は理解できるが、

そんな心配をよそに、当時の僕は若いから、「で?」って感じで何にも響かなかった。
歳は必ずとり、いつか絶対にその時は来るのに自分の30歳の姿、40歳の姿を想像することも出来なかった。

あれから20年...

でもその時は当たり前に来た。
この世界に足を踏みいれてから25年。
本格的に取り組んでから21年、自分の店を出して17年が経った。

勢いと意地だけでひたすらに毎日を越した20代。
プライベート、今後の働き方を少しだけ考え始めた30代。
そして今の40代。

20代とは取り巻く環境も変わった。

心配してくれた家族を心配する側になった。
応援してくれた先輩、お客様、大切な人達を亡くした。
入って来るスタッフは子供でもおかしくない年齢になった。
気合と根性ではだんだんと乗り越えられなくなってきた体力の衰え。

性別適合手術の副作用も年々ひどくなるが、
経営者と言ってもまだまだ現場は離れることは出来ない。
生き方、自分のあり方、、、
何が正解なのか? 
健康的な生活とは真逆な環境。

お金では変えられないものがあることも身をもって感じる。

余命を宣告された時に人は、どんな後悔をするか?

何人もの最期を看取ったお医者さんの話では

「もっと仕事を頑張れば良かった!」
「もっとお金を稼げば良かった!」

と後悔する人は誰1人いない。

「もっと自分らしく生きれば良かった。」
「やりたいことをやればよかった。」
「行きたいところに行けばよかった。」

そう思うんだ。と。

それを聞いて、今自分がしてることって何だろう?   

若い時はスルーしていただろう言葉も、43歳の僕にはなんだかとても考えさせられた。

昼夜逆転の暮らし。二日酔い、酒鬱、スタッフのトラブル、人間関係に悩む日々。
自分が今もし余命を宣告されたら今の暮らしをどう思うんだろうなんて考えてみたけれど、余裕のない現実との狭間で正解は出ない。

ただ一つはっきりしていること、それは

僕はこの仕事が好きだ!
しんどいしんどいと言いつつ楽しんでいる自分がいる。
だからきっとまだ僕は出来る限りこの仕事に向き合っていく。

40代の水商売。

体力は減っていくけど、「経験」は増えていく。
経験は僕を強くしてくれる。
若い頃の無知からくる無鉄砲な強さとは違う。
今でも出会う方々のおかげで、政治、経営学、スポーツ、レストラン、娯楽、、、若い時には出来なかった世界が広がり、学ぶことがまだまだ多い。初めての経験に新鮮ささえ感じる日々だ。

悪いことばかりでもない。

毎日がドラマ。出会い。
そして商売としての達成感。満たされる承認欲求。

仕事だから失敗もするし、綺麗事では済まされない、嫌なこともストレスもビックリするほどたくさんだ。
その中で、たまに起こるちょっぴり良いことが僕を今日もこの街に向かわせる。

若い時しかできないと言われるこの水商売という仕事を、あとどれだけ出来るか?

始まりには終わりがある。
そして、終わりにはまた始まりがある。

頭ではわかっているけれど、まだ終わりを考えることは出来ない。
今は40代だからこそ出来ることをフルに使って、来てくださるお客様とオナベバーVenus・レズビアンバーWに集まってくれるスタッフに向き合っていこうと思う。
そしてその延長に、僕の次の人生があると信じて。

「50代の水商売」を書く日が来るかはわからないけど、みんなに助けてもらいながら、たまには休みながら43歳の鈴木優希の全力で。
その先にもし終わりが来たとしても次に繋がるように、やはり今を懸命に生きるしかない。


鈴木優希監修 LGBTに特化したボードゲーム LGBTQセレクトライフ好評販売中!!


鈴木優希のセミナー活動関連のお知らせ、性同一性障害のお子様を持つ親御さんへのメッセージなどLGBTについてのコンテンツを掲載しているオフィシャルサイトもご覧いただけたら嬉しいです。そしてコメントもお気軽にお待ちしています。





この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?