プレシャス プランナー

〜小さなバラと素敵な音楽物語〜🎶 シューマンを愛する クラシック音楽ライター。 ・演奏…

プレシャス プランナー

〜小さなバラと素敵な音楽物語〜🎶 シューマンを愛する クラシック音楽ライター。 ・演奏会&CDの楽曲解説、 レクチャーコンサート企画。 ・Pincet Rose ピンセットローズ (1分で作れる世界一簡単なミニ折バラ)

マガジン

  • SF、ファンタジー(短編〜中編)

    絶滅のレクイエム、10分未来のメッセージ、セピア色の舞踏会・白のRondo・#ないたずらっ子(3部作)、微笑みの額縁・ハプスブルクの鏡・額縁幻想(演奏付3部作)、7軒目のはちみつ屋

  • note クラシック音楽の普遍化を達成する

    • 1,361本

    クラシック音楽の歴史や作曲家、作品について、哲学的な視点から分析し、その普遍性や深さを探求する和田大貴のnoteです。クラシック音楽について語り合えることを楽しみにしています。参加希望の方はマガジンの固定記事でコメントしてください。

  • ふしぎエッセイ(宇宙、野鳥、執筆裏話 etc.)

    太陽系儀、かもだちの掟。宇宙や自然の話に芸術関連。飛行機乗り違え未遂や真相は闇の恋文といった謎の執筆秘話など、ちょっとおかしな迷宮へ⭐︎

  • 「お菓子な絵本」長編ファンタジー(全39章)

    兄は幻想世界、弟は現実世界と、異なる次元で生まれ育った兄弟の出会いと運命の物語。冒険活劇に、ほのかな恋や謎解きも。最終話はエンディングテーマ〈End of Dream〉の録り下ろしBGM付♪

  • 名曲物語

    作曲家や名曲に秘められた愛に溢れるエピソードの数々を、物語をひもとくように...。小冊子「名曲にまつわる愛の物語」「新たなショパン像」より、他。

最近の記事

  • 固定された記事

小さなバラと素敵な音楽物語

♪♪♪ 小さなバラと素敵な音楽物語 ♪♪♪ 名曲物語 & 演奏会プログラム  筋金入りシューマニアーナの音楽ライターです。ロマンティック・シューマンを初め、偉大なリスト、哀愁のチャイコフスキーが、とりわけのお気に入り。クラシック音楽の源泉バッハに、天上のモーツァルトは別格として、主にロマン派ピアノ音楽を軸に、作曲家や名曲にまつわる愛にあふれた物語を綴っています。 小説  短編あり長編ありの小説は、軽やかなファンタジーや、心躍る冒険物語の世界に皆さまを誘いたく、執筆秘話

    • 「オケバトル!」 33. 彼女がつれない、そのワケは

      33.彼女がつれない、そのワケは  この期に及んでの音出しは興ざめになりかねない。あとは自分らの力を信じて本番の空気に委ねよう。とのことで、Bチームも二時間たっぷりの自由時間を得られることになる。  多くの者は朝メシ抜きだったので、カフェで優雅なブランチをとったり、スタッフにお願いして、バスケットにサンドイッチやスティック野菜、カラフルな彩りのフルーツにノンアルコールのシャンパンなどを豪華に詰め込んでもらい、陽光の降り注ぐ中でのピクニックとしゃれ込むのだった。  最初は

      • 「オケバトル!」 32. 明るい夏の朝

        32.明るい夏の朝  たいていの人間は就寝時、もうろうと意識を失いかける寸前に、その日に繰り返し行った作業や印象的な出来事、さりげない会話などが漠然と脳裏を駆け巡るもの。Aチームの面々もまたしかりで、多くの者がめくるめく舞踏の旋回に記憶を委ねつつ、その夜は幸せな眠りについたのだった。伝統のウィーン風舞曲のリズムも潜在意識にしっかりすり込まれながら。  有出絃人のもくろみも、あながち無駄ではなかったようだ。  ダンスでは普段使わない筋肉を駆使し、慣れない姿勢を保ち続け、身体

        • 「オケバトル!」 31. ハメルン男と深夜のワルツ

          31.ハメルン男と深夜のワルツ 「何かが引っかかる」  初日からの三日間ずっと張り詰めてきた中で、今宵はゆったりディナーに極上のワイン、広々とした眺めの良いスパでじっくり身体をほぐしたりと、充分なくつろぎタイムでかなりのリフレッシュをはかれたものの、どうも腑に落ちない。有出絃人は自室のベッドで仰向けになっての完全睡眠モードに至っても、何かが気になって仕方がなかった。 「何だか騙されてる気がするんだよね」  眠気への誘いとしてウォルター・スコット詩集の原書をうとうと眺めていた

        • 固定された記事

        小さなバラと素敵な音楽物語

        マガジン

        • SF、ファンタジー(短編〜中編)
          48本
        • note クラシック音楽の普遍化を達成する
          1,361本
        • ふしぎエッセイ(宇宙、野鳥、執筆裏話 etc.)
          11本
        • 「お菓子な絵本」長編ファンタジー(全39章)
          42本
        • 名曲物語
          18本
        • 名曲解説(演奏会プログラム等)
          16本

        記事

          「オケバトル!」 30. うさぎレベルの陰謀

          30.うさぎレベルの陰謀  バトルのルールでは、本番の開始時刻が迫っている旨を出演者に告げに来る役割のタイムキーパーは存在せず、リハーサル室から舞台袖へと移動する時間配分も、チームごとの判断に任されていた。そして何らかの勘違いなどで、舞台に乗る時刻に袖に待機が出来ていなければ完全アウト、個人でも、チーム全体でも、即刻脱落となる。  なので、セカンド首席を希望しながらも、指揮者の立ち位置でリハーサルを仕切り、洗練にはほど遠く、とってつけたような妙ちくりんなワルツのリズムと

          「オケバトル!」 30. うさぎレベルの陰謀

          「オケバトル!」 29. 都会のダンスと田舎のダンス

          29.都会のダンスと田舎のダンス  名もなきトゥッティ族の悲哀に酔いしれ、公の場で己の名前を出し渋ったがために、かえって「マエストロ」の呼称をつけられたあげく、指揮棒を持って仲間の前に立たされる羽目になってしまった浜野亮。正直に名乗っとけば良かったと反省するも、皆からの温かな、そして期待に満ちた拍手に迎えられ、辞退は不可能と察するのだった。  Aチームのリハーサルを途中で抜けてきたエキストラのハープ奏者が、折しもBチームリハーサルの後半に加わるところであった。既に舞台に

          「オケバトル!」 29. 都会のダンスと田舎のダンス

          「オケバトル!」 28. 怪我の功名と砂男の正体

          28.怪我の功名と砂男の正体  Bチームでもやはり誰も指揮をやりたがらなかった。  ただでさえ、生粋のセンスがさらけ出される曲というのに、Bにおいての指揮者は、どう転んでも脱落一直線の運命なのだから。 「オランピア嬢とワルツまで踊っちゃった彼ならどうだろうか?」  誰かが提案した。 「あの勇敢なナイトさん?」 「楽器も腕も故障で、自分は脱落なんて決めつけてたけど、タクトならオーケイかも」 「そうですね! ワルツの優雅な足さばきもちゃんと身につけてたから、振るのだっていけ

          「オケバトル!」 28. 怪我の功名と砂男の正体

          「オケバトル!」 27. 誘拐の企みと、歌姫の素顔

          27.誘拐の企みと、歌姫の素顔  我々Aはフルート、Bはホルン。ついに管楽器から脱落者が出されてしまった。これはゆゆしき事態だぞ。  ホルンは元から四人もいたのだから一人くらい抜けたって何とかごまかせようが、二名しかいないフルートから一人が抜けるとなると、たとえ嫌われ者だろうが、ヘボ奏者だろうが、いなくなってバンザーイというわけにはいかないのだ。  この痛手をどう回避すべきか。  フルートの二番手がいないだけなら音のバランスもどうにかなろうが、仮にピッコロが重要な役割を果

          「オケバトル!」 27. 誘拐の企みと、歌姫の素顔

          「オケバトル!」 26. ひとたび音を出したなら

          26.ひとたび音を出したなら 「Aチームでは指揮者とコンサートマスターが持ち場を離れたことで、音楽もこれまで? と思いましたが、ほどなくしてフルートが何事もなかったかのように、すっと入ってきましたよね。指揮者とコンマスとオランピア。音楽も何もかもが静止して、驚きのあまり呼吸すらも忘れて、時が永遠に止まってしまったかのような中に、フルートのメロディーが重なって……。時間が再び動き始めたというか、はっと我に返ったというか。あれは不思議な体験でした」  そこまで語り、司会の宮

          「オケバトル!」 26. ひとたび音を出したなら

          「オケバトル!」 25. トゥッティの、名もなきギセイ者くん

          25.トゥッティの、名もなきギセイ者くん  ファーストヴァイオリンの外側の席で、オランピア嬢の華麗なる歌声とダンスにうっとり酔いしれつつ、最高に幸せな気分でワルツのリズムに身を任せていた浜野亨。  それでも彼女の、舞台ギリギリまでステップを進める無謀ともいえる危うさに、始終警戒心も同時に保ち続けていたので、「あっ」と思った瞬間には即座に飛び出すことができた。手にしていた楽器の存在も忘れて電光石火の素早さで身を投げ出し、オランピアもろとも舞台から転落する。  落ちゆく彼女を

          「オケバトル!」 25. トゥッティの、名もなきギセイ者くん

          「オケバトル!」 24. 指揮者は指揮棒を放り投げ、コンマスはヴァイオリンを投げ出しはしなかったが……

          24.指揮者は指揮棒を放り投げ、コンマスはヴァイオリンを投げ出しはしなかったが…… 「大衆的な楽しいオペレッタの作曲家としての生涯の最晩年に、オッフェンバックはついに本格オペラ《ホフマン物語》の作曲に意欲を燃やします。ですが残念なことに、志し半ばで病に倒れ、作品は未完に終わり、後に別な作曲家の手によって完成されました。そして今日この《ホフマン物語》は、オペラの名作中の名作として世に知られております。  ドイツロマン派を代表する作家であり、作曲や指揮もこなし、画家で裁判官でも

          「オケバトル!」 24. 指揮者は指揮棒を放り投げ、コンマスはヴァイオリンを投げ出しはしなかったが……

          「オケバトル!」 23. 砂男と自動人形

          23.砂男と自動人形  次なる課題がオッフェンバック作曲の歌劇《ホフマン物語》からの第二幕のアリア〈森の小鳥は憧れを歌う〉であるとの発表を受け、ランチもそこそこに地下のリハーサル室で待機していたAチームの面々は、 「またオッフェンバックなの?」と一様に首を傾げた。 「そう来たか!」  気合いを入れてこぶしに力を入れた有出絃人が一同に説明する。 「今日の流れは作曲家というより原作、E.T.A.ホフマンの『砂男』がテーマなんですよ」 オッフェンバック作 オペラ《ホフマン物語

          「オケバトル!」 23. 砂男と自動人形

          「オケバトル!」 22. 彼女が無言であるワケは?

          22.彼女が無言であるワケは?  ティンパニのトレモロに続くホルンの四重奏で厳かに始まる《コッペリア》前奏曲。フランスの片田舎の美しくのどかな情景がのびやかに歌われた後、音楽はじわじわと盛り上がり、威勢のいいマズルカへと変化を遂げて、陽気で楽しい物語を連想させる。  やがて音楽は徐々に静まり前奏を終え、緩やかに流れる木管ソロのリレーに導かれてゆく。バレエの演出では、大方この辺りで幕が上がってスワニルダの登場となり、優美なワルツが踊られる──  はずなのだが。  スタッフは

          「オケバトル!」 22. 彼女が無言であるワケは?

          「オケバトル!」 21. 浮気男に、恋する乙女

            夜、中々眠ろうとしない悪い子どもがいると、   どこからともなく砂男がやってきて、   その子の目に魔法の砂をかけて眠らせてしまう……                ヨーロッパの民間伝承より 21.浮気男に、恋する乙女 E.T.A.ホフマン作『砂男』 主な登場人物 ・砂男に恐怖を抱く大学生 ナタナエル ・変幻自在の老人 コッペリウス=コッポラ ・ナタナエルの恋人 クララ あらすじ  幼い頃、父が実験中に爆死した要因は、家に出入りしていた老弁護士コッペリウス

          「オケバトル!」 21. 浮気男に、恋する乙女

          「オケバトル!」 20. 拒絶男と水の妖魔

          20.拒絶男と水の妖魔 「今回の結果はAB引き分けで、脱落者は両チーム一名ずつとします」  とのお達しが、翌日早朝、各部屋で閲覧できるモニター画面を通じて、淡々と語る宮永鈴音によって伝えられた。  続いて、本日も互いの観賞は不可、リハーサルは舞台上にて、持ち時間は各チーム一時間ずつ。先攻はBチームで、9時きっかりにAチームからの逆リハーサル開始とする。両チームの脱落者が確定した時点で、次なる課題曲の楽譜が渡されるので、まずは待機のこと……、といった説明がなされていった。

          「オケバトル!」 20. 拒絶男と水の妖魔

          「オケバトル!」 19. みんなの独白ルーム

          19. みんなの独白ルーム  アール・ヌーヴォー調の唐草模様がうっすら浮き上がる落ち着いたアイボリーの壁、座り心地の良さそうなツイード地のグレイのソファ、その後方には大ぶりの観葉植物がカメラの背景にほどよく映るアングルで置かれている。窓はなくとも顔色が映える明るめの照明、室内にほんのり漂うアロマの香り。  リラックスして心の内を語れるカウンセリングルームのような、心地よい空間が演出されている。  これでサイドテーブルに可憐な花の一輪挿しでも置かれていれば、更にしゃれた雰囲

          「オケバトル!」 19. みんなの独白ルーム