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抱っこ紐の最終回

最近、WEBでこんな広告が流れてきた。


最終回は、知らないうちに終わっていく。

確かにその通りだなぁ、とうるうるしながら思う。今まで、気づかないうちにいくつの最終回を通り過ぎたんだろう、と思う。


今朝のこと、抱っこ紐の最終回をやった。

なかなか物を捨てられない片付け下手の私に対し、夫は合理的で片付け上手。新生児用ベビーカーも搾乳機もベビー服も、サクサクと物を売ったり譲ったりと手放していく。

確かにずっと家に置いておいても物は増えていく一方。私もどうしても置いておきたいもの(娘がよく着てた思い入れある服や小物など)以外は、概ね同意の上、手放している。

エルゴの抱っこ紐もそのひとつ。売るよー、と言われ、もう使わないしそうだね、と言いつつも名残惜しさを感じて、ぐずぐず出品にGOを出せずにいた。

いよいよ出品するよ、となった今日、2歳半の娘に最後に抱っこ紐に入ってもらった。
なつかしい抱っこ紐をつけはじめた私に、抱っこする!入る!とノリノリの娘。

入れてみると、長くなった手足はすっかり抱っこ紐からはみ出して、大きくなったなぁとしみじみ感じる。
15キロを超えた娘は、抱っこ紐のなかで、久々の感覚を堪能しているのか幸せそうに目を閉じていた。

懐かしい角度から娘の顔を見ていると、ねんねの顔赤ちゃんのままじゃん、大きくなったけどおんなじお顔だね、と思う。そして、これまでのエルゴ抱っこの記憶が、うわっと蘇った。


はじめて抱っこ紐に入れて1ヶ月検診に行った時、軽すぎて本当に入ってるか心配だったこと。

保活中の夏、抱っこで保育園見学をしながら、娘の体温で私のお腹も汗だくになったこと。

夜泣きが長丁場の深夜、泣く娘を抱っこ紐に入れてひたすらゆらゆらしてたこと。

ベビーカーで不機嫌に泣きわめいても、観念して抱っこ紐に入れるとすぐ泣き止んで満足そうだったこと。そんな時はすぐ寝て、寝るとめっちゃ重く熱くなったこと。上から見る長いまつ毛。

少し大きくなってから、抱っこ紐でおんぶをしてみたら嬉しそうにはにかんでたこと。

赤ちゃんを連れてどこかに行くのは、いつもちょっと心細くて、
でも抱っこ紐のなかのずっしりしたあたたかさがなんとなく頼もしくて、いつもホカホカしたおなかの体温に私は助けられていた。

2歳半の娘の、変わらないあたたかさをおなかに感じながら、びっくりするほど鮮明に、その感覚を思い出して、あやうくなみだが出そうになった。

娘は、少し入って飽きたのかすぐ「おりるー」と言い、「あっちであそぼ!」と言う。
パパが流していたヒゲダンのsubtitleに合わせてTシャツをヒラヒラさせて踊る、という娘考案の遊びをしながら、しばらくエルゴの最終回を噛み締めた。
あぁ、もう赤ちゃんじゃないね。いつの間にか、赤ちゃんは終わっちゃったんだな。

ふと「ねえねえ、何歳まで抱っこさせてくれる?」というと、少し考えて「さんじゅっさい」と娘。
あと28年も抱っこさせてもらえることにほっとしながら、62歳まで抱っこできるよう頑強な体づくりに努めなきゃな…と思った。

最終回をさせてくれてありがと。
エルゴの抱っこ紐、なるべく高く売れてどこかで活躍してくれますように。

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