ひめくり☆トラベル:1/12

 休日はうれしい。でも、その終わりが近づくと憂鬱になる。
「ああ、明日からまた仕事かあ・・・明日もお休みならいいのに」
 勤め人の多くが、一度は思うことではないだろうか。もちろん、裕美もその一人だ。
 そんな気分で開いた「12」の窓には、「it,」と記されていた。


「仕事を楽しんでるか?楽しくは・・・ないかなあ」
 次の段にも、何か書かれている。
「仕事に、やりがいはある?」
「やりがい、ねえ。それより、毎日出てくる仕事を、期限までに問題なく仕上げることで、精一杯よ。それ以外のことを考えてる余裕なんてないわ」
 そして、次の段にも。
「その仕事、誰かのために、世界のために、役立ってる?」
 裕美は、心の中で「おいおい」と突っ込みを入れる。
「私の仕事は、そんな大それた物じゃないもの。誰にでもできるような仕事が、世界の役に立つ訳ないじゃない」
 呆れるのを通り越して、笑ってしまう。誰かの役に立つ仕事といえば、医者とか警察のようなものではないだろうか。
「じゃあ、その仕事をする理由は?」
 次の段には、そんなメッセージが書かれていた。


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