ひめくり☆トラベル:1/1
時計が0時を回った。
「あけましておめでとうございます」
居間で一緒にテレビを見ていた両親と新年の挨拶を交わすと、裕美は立ち上がった。
「私、もう寝るね。おやすみなさい」
自室に戻った裕美は、置きっぱなしのカレンダーを見た。
「さて、日付も変わったし、開けますか!」
「1」と書かれた窓を開く。
「・・・・・・」
わくわくしながらのぞき込んだそこには、凝った書体で「Welcome」とだけ書かれていた。他にはなにもない。
「なにそれ」
拍子抜けした裕美は、カレンダーを放り出すと、さっさとベッドにもぐりこんだ。
「ようこそ、裕美さん!」
ファンファーレとともに、紙吹雪が舞う。驚いた裕美が声のした方を見ると、そこには黒いタキシードを着た人物が立っていた。ただし、なぜか頭部がウサギだったりする。
「誰?」
ウサギ男は優雅に一礼すると、こう言った。
「私は案内役です。まずは説明させていただきますね」
(続)
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