ひめくり☆トラベル:1/5
今日から仕事だというのに、寝覚めは悪かった。
原因は、ウサギ男の嫌味な笑いだ。思い出して、またムカムカしながら、「5」の窓を開ける。そこには「you」と書かれていた。
「あー、ムカつく!」
裕美は八つ当たり気味にカレンダーを放り出すと、会社に向かった。
「では、まずはそこから始めましょうか」
ウサギ男が指を鳴らした。途端に、周囲が真っ暗になる。
「え?ちょっと!」
「探す、見つける、思い出す。あなたの好きな方法でどうぞ」
「何を?急になんなのよ、ねえ!」
「それでは、よい旅を」
それきり声は途絶え、裕美は暗闇の中に取り残された。
がくん、という衝撃で目が覚める。
どうやら、通勤電車で座った途端に眠り込んでしまったらしい。今の衝撃は、思い切り前にのめってしまったせいだ。
決まり悪さに頬を赤らめた裕美は、軽く頭を降って眠気を追い出した。
(続)
Do you
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