ひめくり☆トラベル:1/8

 朝から気が重い。夢の中でまで、「現実」なんて感じたくない。どうせ見るなら、楽しい夢がいい。残念ながら、夢のコントロールなんてできないが。
 裕美はため息を付きながら、「8」の窓を開けた。「is」それだけが書かれていた。


 あいかわらず周囲は真っ暗だ。何も見えない。
 子供の無邪気な夢から、現実的な将来の夢への切り替えは、突然やってくる。子供の頃の夢を持ち続けて、そのまま夢をかなえる人もいるが、裕美の場合、そこまでの情熱を持つような夢はなかった。
 結局、自分が将来どうなりたいかを考える前に、「無難だから」という理由で高校の普通科に進学し、「就職に有利だから」という理由で短大に進み、運良く内定をもらえた会社にそのまま就職してしまった。
 とはいえ、高校でも、短大でも、就職してからも、それなりに楽しく過ごしてきたとは思う。思うのだが、裕美は気付いてしまった。


Do you know what is

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?