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父親と結婚相手は似るのか?

よく結婚相手は自分の父親と似ると言うが、これに関しては、ノーだと思う。

父親と夫は正反対だ。
私の父親は寡黙で、夫はよく喋る。

父親は社交的ではないけど、夫は社交的だ。

もうその時点で正反対だ。
私は父親が40歳の時に生まれた。
年がいってからできた子供だからとても可愛がられた記憶がある。

いつもお姫様のように扱われた。
あれが欲しいとねだれば、1週間には手に入った。
あそこに行きたいと言えば、次の休みには連れてってもらった。

幼稚園の時は、毎日自転車の荷台に乗り送ってくれていた。
父の大きな背中にしがみついて今日はこんな事をするよ、あんな事をするよ、と話していた。
父親はうんうんと私の話を聞いてくれた。

中学で私立を受験したが、自ら私立に行きたいと言った。
父親は反対する事なく賛同してくれた。

自宅から中学までが遠かったが、途中に父親の職場があると言う事で、中学まで送ってくれた後に父親は仕事に行っていた。

そんな父親に今でも感謝しているが、当時どうしても嫌なことがあった。
私の父親は、見た目に特にこだわりが無かった。毎日同じような格好をしていて、髪の毛も真っ白で、言い方は悪いが見窄らしい格好をしていた。

周りのお父さんたちはかっこよく、若々しいのに自分の父親は、お父さんというよりおじいちゃんみたいで少し恥ずかしかった。

近所を一緒に歩いてても、お孫さん?と声をかけられている父親を見てなんだか嫌だった。
大人になって気がついたが、父親は自分の身なりにお金を使わない分、私たち家族に使っていたのだと思う。
その事を考えるたびに心が痛くなり、いつも心の中でごめんね。と思ってしまう。

話は変わるが、父親は毎日浴びるようにお酒を飲んでいた。

そこは今の私を形成している大事な部分。
酒の強さと、酒好きは父親からの遺伝だ。100%わたしは父親の子供だ

初めて一緒にお酒を飲んだ日を今でも覚えている。
乾杯をして少し照れくさそうにしていた。
寡黙な父親だが、お酒を飲むとよく喋るから、それが好きだった。

説教まがいな事を言われることもあったけど、大人になり同じものを飲み他愛もない話をして、こんなことがあったよ、あんなことがあったよ、と話す時間が今も昔も好きだった。

しかし悲しいことに、1年前に癌が見つかり、父親の生活から酒という娯楽がなくなった。

もう一緒に飲めないのかと思うとたまらなく悲しくなった。

年末に夫と一緒に結婚の挨拶がてら、実家に行った。
男性を連れて行くのが初めてだったので、少し照れ臭かった。

結婚する事を報告した父親は嬉しそうだった。
家族が祝福をしてくれた。

変な家族だけど、幸せだなと思った。
と同時に昔のことが蘇って少しだけ泣きそうになった。

父親は寡黙だけれども、私がやりたい事を全て叶えてくれた。
いつも大きな愛で、優しく包んでくれていた。困っていると必ず助けてくれた。

そう言えば近くにもそんな人がいた。
夫だ。

彼もいつもやりたい事を全て叶えようとしてくれている。まだ叶っていないことも多いが、わたしがやりたいならと言ってくれている。
これからがとても楽しみだ。そう希望を与えてくれる。

私が困っているといつも助けてくれる。
いつもいつも愛情を向けてくれるのだ。

うまくいかないことが多くて苛立ってしまうこともあるが、それでも調和を取ろうとする。
彼の陽気さや、優しさに何回も救われた。

そしてここからが1番重要だ。
夫も大の酒好きだ。私たちはいつもキッチンで酒を作り、その日にあった出来事を話す。

父親とそうはできなくなってしまったが、夫一緒に飲めるお酒は最高においしいのだ。

やっぱり前言撤回しよう。
冒頭に書いた事は間違えで答えはイエスだ。

父親と結婚相手は似る。
それが私の答えだ。

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