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その本を読んだ理由を書かなくてもいい~読書感想文の罠~

私は夏休みの読書感想文に「〇〇〇〇」という本を選びました。なぜ「〇〇〇〇」という本を選んだかというと、〇〇だからです。

読書感想文を指導していると、10人中8人ぐらい、このパターンで書いてくる子がいます。学校かどこかで教わってるんでしょうかね。
しかし、例えば読書感想文コンクールで賞を取ったこの作文を見てみると1ほぼ、この書き方ではありません。もっと独特で、ダイナミックで、子供らしい豊かな表現からスタートしていることが多いのです。

読書感想文を、型を使って書く方法は、思考停止に陥りやすいのと、ワンパターン化するので、私はお薦めしません。
コンクールで少しでも入賞の可能性を広げたいのであれば、できるだけワンパターンを避けるべきで、つまり型を使って書かない方がいいということです。
コンクールでの入賞を考えていない子でも、型から外れる、つまり型破りな作文に仕上げるということで、その作業をすべてが、国語力、その他様々な力を養うトレーニングになるんです。

でも、本当は、型って大事なんですよ。この読書感想文の型も、尊いはずなんですね。特に何を書いたらいいか分からないという子にとっては、この型というのは道しるべになります。文字を入れて行けば完成するんで。だから型を使って書いてもいいんです。けれど、仕上げる時に、それがベストな方法なのかということを考え直す必要があります。本を読んだきっかけの部分をカットしても、感想文として十分成立することがほとんどだと思いますよ。

選んだきっかけを書くのは「自由研究」の方

この型では、最初にその本を選んだ理由、その本を選んだ理由を書くわけなんですけれど、これは夏休みのラスボスナンバー2に挙げられる「自由研究」の考え方から来ています。そもそも研究論文というものは、どうしてその研究をするに至ったかというところが必ず書かれているものです。なのでその論文形式を真似して、自由研究のレポートは仕上げるべきだと思います。

しかし読書感想文はどうでしょう。きっかけを書く必要性があるのでしょうか。私はそれほど必要性を感じません。もしそのきっかけを書く必要があるのだとしたら、読書感想文の本文中で語られている感想と関係があるから書くという場合に限定されるかと思います。
例えば、こんなタイトルなのでこんな話かと思ったら、全然違って、ショックだったというような場合がありますよね。そのショックの部分を感想文として書く場合は、本を読むきっかけのくだりは必要だと思うんです。

概要やあらすじを書くのは「書評」が原因?

また、この手の読書感想文の書き方という参考書を見ると、きっかけの他に、本の概要をかいつまんで書くというアドバイス、さらに、その時、出版社がホームページなどに掲げている本の紹介文を利用するといいなどという助言もついています。
が、読書感想文というものは、その子の感想を書くものなので、実は本の概要も不要なんです。もちろんこれを書かないとちょっと何の話をしてるか相手には全然伝わらないかもしれない!という場合は、ある程度の背景を説明する必要がありますが、それ以外は必要ありません。

どうして読書感想文に本の概要を書くような型が生まれてしまったかと言うと、これは「書評」が原因だと思います。「書評」は本の紹介も含みますので、当然概要も必要なのです。でも、読書感想文は書評ではありませんから、本の概要は不要というわけです。

きっかけを書くくだりも、概要を書くくだりもカットしたら、文字数が足りない!と心配になるかと思いますが、感想に関係のない部分で文字数を稼がず、感想そのものを深掘りして書いていく方が、ずっと良い文章になります。ポイントをしぼって、グッと深く書く。これがいいのです。

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