見出し画像

素敵なものを見つける特別な目の育て方

それでは行ってきますね

そんな感じだった。
この夏も読書感想文指導をしているけれど、恐竜ハンターのことを書いた本で読書感想文を書いた子がいた。
「私も恐竜が大好きです。世界各地で恐竜の博物館を見てきました。そんな中でも、一番の博物館は、ここ日本、福井の恐竜博物館です」
その子の親に私がこのように紹介すると、早速、福井に行ったらしい。素晴らしいフットワークだ。

天才恐竜ハンター、ウェンディ・スロボーダさんの、子供時代から恐竜ハンターになるまで、そしてその後の活躍について書かれた本。角竜の描かれた表紙は、恐竜好きにはたまらない。

ウェンディさんは、子どもの頃から素敵なものを見つけるのが得意だったそう。素敵なものとは、面白い形の石、つぼみ、草木のつぼみ、虫、鳥の羽根など。それらを家に持ち帰ったり、写真を撮ったりして、部屋に飾っていたそうだ。そのようにして培われた自然観察の目は、後に重要な恐竜の化石の発見へとつながる。
「化石の呼ぶ声が聞こえる人」と呼ばれるようになるくらい、ウェンディの行く先々で化石の発見が相次いだそう。

この本を読んで、そういう子どもは、そしてこれが最も大事なんだけれど、それを親に否定されなかった子は、そういう観察眼を持つようになる。さかなくんもそうだ。そして、目だけではなく、耳だって、舌だって、何なら直感だって、本人の興味の赴くまま育てたら、その感覚が強くなる。それが職業に結びつくことだってあると思う。

先日、父の介護の審査に訪れた保健婦さんが、やはり私たちと目の付け所が違っていた。部屋に入った瞬間、飾られてる写真の内容や、特別な置物の配置の特徴で、父の関心を引き出して、しかも褒めて、話を上手に持って行っていた。家族にとってはあまりにも見慣れた室内、というか、どちらかと言えばちょっと片付けて欲しいと思っているような散らかった室内で、父の成して来たことを上手に褒めて、言葉を引き出す様は、本当にプロフェッショナルだった。

ビジネス本などを見ても、なるほど、そういうところに目を向けるんだとか、そういうところを改善していくんだという、いわゆる「目から鱗」的な要素が多いように思う。能力の差というより、そこに気が付きさえすれば成功するんだなと感じる。

私の場合だと、子供の文章での褒めポイントがすぐにわかる。さすがに30年も文章指導を仕事にしているので、一目、人の文章を見ただけで、その人がどのような素晴らしい点を持っているかが、すぐに分かる。特に子どもね。

こんなに細かいところまで気がつくなんてすごいね!
こんな風に表現できるなんて面白いね!

親は気がつかなかったらしく
先生に褒められて、自分の子どもの表現の豊かさに気づきました
とか
先生に言われて、私は違う価値観を子どもに押し付けていたのだと気づきました。(所謂、ないものねだり問題)
という感想をいただく。

こういう場合に、子どもに話すポイントがある。
子どもにとっては、親が気が付くのがベストだけれど、第三者が褒めていたということを伝えるのも効果的。
大人でもそうだけど、また聞きの褒め言葉が結構自信になる。
「先生が、こういうところを褒めていたよ」と言うと、子どもに自信を与える。

お母さんは気が付かなかったなー。見てる人は見ているんだね
お母さんは気が付かなかったなー。あなたにはこんなにすごいところがあるんだね

子どもは大いに自信を取り戻し
「テストの点数だけじゃなく、お母さんは僕のいいところにも注目してくれる」
「自分の感覚は間違っていない」
「自分の考えでいいんだ」
「何を好きになってもいいんだ」
どんどん「好き」や、もっと言うと「直感」を信じられる子になっていく。

冒頭で紹介した家族は、そういうことができているんだな。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?