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水ようかんの話

冷凍庫の中のあんこ

冬につくった、作り置きの粒あんが冷凍庫にある。もともとは、お正月のお餅を食べるためで、ついでにその後も気が向いた時にすぐにお汁粉にできるようにと多めに作った。粒あんとこしあん、どっちが好きと聞かれたら本当はこしあん。でも自分でつくるときは裏ごしが面倒なので粒あんのまま。

お汁粉にするつもりが、気がついたらもう6月。なんだか半袖で気持ちいい気温にさえなってしまった。冷たいおやつのほうが食べたくなって、水ようかんにすることにした。いや、水ようかんだって本当はこしあんのほうが好きなのだ。でも冷凍庫に眠っているのは粒あんだし、粒あんの水ようかんだって毛嫌いするようなものでもなく、それはそれでおいしいのだ。

水ようかんは、あんこを水でのばして寒天で固めるだけでできる。材料は、小豆と砂糖と寒天と水だから、今どきのヴィーガンなおやつとも言える。寒天は粉状のがものすごく便利。我が家はオレンジ寒天もつくるので棒寒天でもつくるけど、手軽さで言ったら粉寒天のほう。

水ようかんの作り方

<材料>
あんこ 200g
粉寒天 2g
水 1カップ
※お好みで、きび糖大さじ1〜2を入れてもいい

<つくりかた>
❶  鍋に水と粉寒天を入れマドラーなどでよく混ぜたら火にかける。ゴムベラで混ぜながら沸騰させ、寒天を煮溶かす。(砂糖を入れる時は、ここで入れて一緒によく溶かす)

❷ 一度火を止めて鍋にあんこを加え、なめらかになるまでゴムベラでよく混ぜる。再度弱火にかけて、よく混ぜながら沸騰寸前まで加熱する。

❸ 大きなボウルに水をはり、鍋のお尻を水につけて冷ましながらゴムベラでかき混ぜて粗熱をとる。

❹ 型に流し込み、冷蔵庫で冷やす。(私はアルマイトのお弁当箱を使いました。アルマイトだと、熱伝導がいいので、よく冷えます)

話の中の水ようかん

水ようかん好き、といえばなんといっても向田邦子が有名だ。『眠る盃』というエッセイの中にその名もズバリ「水羊羹」という話がある。自分のことを水羊羹評論家だと明言していた。(そして味醂干しについても評論家を名乗るぐらいお好きだったよう)青山の菊家という老舗の和菓子店のものを絶賛していた。スパッと切れている角のことまで褒めているから、本当に水羊羹が好きなのだなあ。

評論家を名乗れるほどではないけれど、私も水ようかんは好きだ。ゼリーよりも水ようかんの方がいい。北陸出身の人に、水ようかんはお正月に食べるんだよと昔教えてもらったことがある。小さく四角く切ったり、カップに入ったりして小分けになっているのではなく、どーんと大きな四角い箱に切れ目が入った状態で収まっているだという。どうしてもどうしても食べたくて、「えがわの水ようかん」を食べたくて学生時代に冬の福井に出かけた。
私は、世界で一番好きなお菓子が黒糖まんじゅうなのですが、えがわの水ようかんは黒糖味だったのです!この感動といったら。数十年たった今でも、あのときの喜びは忘れられず。ありがたいことに、今では福井に行かなくても、東京のアンテナショップで買える。本当にありがたいことです。


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