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オレンジ寒天の話

夏のおやつの定番

我が家の冷たいおやつの定番の1つが、オレンジ寒天。つるっとしていて、冷たくて、プチっといえばいいのか、歯切れのいい食感は寒天ならでは。ゼリーではこうはいかない。材料が海藻、というのがまたいい。食物繊維たっぷりだよね、と罪悪感なくすいすい食べちゃう。
材料は4つだけ。計量もつくりかたも簡単なので、息子がはじめて分量をそらんじてつくれるようになったおやつがこれでした。

寒天といえば、私が強く印象に残っているのが、秋田で食べたポテサラ?の寒天。スーパーマーケットで初めて見た時は、驚きました。かきたま汁を固めたような卵寒天や、おそうめんの麺とタレを固めた寒天や、ごぼうかなにかを煮汁ごと固めて煮こごりのようになったお惣菜も見た。どれも甘じょっぱいので、おかずとも、お茶請けとも言える。聞けば、寒天料理は、秋田県の中でも県南地方が盛んだったそうで、冠婚葬祭に寒天料理は欠かせなかったとのこと。甘いならフルーツかん、しょっぱいならところてん、とばかり思っていた私。青森出身なので、違う県とはいえ同じ東北、しかもお隣で似た料理も多いので秋田料理は馴染み深いものがほとんどの中で出会った寒天体験、かなり新鮮でした。

オレンジ寒天の作り方

<材料>
オレンジジュース(100%果汁) 600ml
棒寒天 1本(約8g)または 粉寒天なら4g
みかんの缶詰 1/2 缶分
レモン汁 1/2個分(省略可)
※レモン汁はお好みで。もっとさっぱりさせたいな、という時に入れようか、ぐらいの気持ちでいいです。

<つくりかた>
❶ 棒寒天は小さくちぎって30分〜1時間程度水に浸けて戻す。※粉寒天を使用する場合は、この作業は省略する。

❷ 缶詰のみかんは、シロップをよく切って、保存容器にまんべんなく並べる。

❸ 鍋にオレンジジュースを入れ、戻した寒天をさらに小さくちぎりながら入れたら、火にかける。

❹ ヘラでよく混ぜ、寒天を溶かしながら加熱する。沸騰したら弱火にして、4〜5分煮て寒天をよく溶かす。最後にレモン果汁を加える。

❺ 用意しておいた❷に、❹をザルでこしながら流し入れる。あら熱がとれたら蓋をして冷蔵庫で3時間冷やす。

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詳しい手順の動画はこちらでご紹介しています。
YUKAKO‘s COOKING CHANNEL​

話の中の寒天

寒天が出てくる話、といったら『銀二貫』がきっと一番有名だろうと思う。江戸時代の大阪、天下の台所と呼ばれた地にある寒天問屋が舞台。仇討ちに遭い瀕死となっている武士の父をかばう息子。そこに偶然通りかかった寒天問屋の主人が、仇討ち相手に銀二貫を渡し、その息子を助けます。ちなみに銀一貫は現代で約1,250,000円だそうで、二貫ということは250万円也。
父親は亡くなってしまうわけですが、息子は寒天問屋に丁稚として引き取られ、武士の子ではなく町人としての人生が新たに始まります。なにせ著者は高田郁、『みをつくし料理帖』シリーズの作者ですから、人情と料理の場面が抜群にうまい。

作中に「琥珀寒」という寒天料理が登場します。ん?コーヒーゼリー?と思いきや、寒天に出し汁、薄口醤油、みりん、酒、かきたま卵。秋田の卵寒天に近いです。
いいことばかりでもなけりゃ、悪いことばかりでもなく、涙あり笑あり。そしていつもそこには人情がある。江戸も令和も同じってことか。

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