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<書評>『生命 この宇宙なるもの』

 『生命 この宇宙なるもの』 フランシス・クリック著 中村桂子訳 思索社 1989年 原著は、『Life itself Its Origin and Nature(生命それ自身 その起源と宇宙)』Francis Crick , Simon & Schuster, New York 1981年発行

生命この宇宙なるもの

 著者は、イギリスの生化学者で、アメリカ人の生科学者J.D.ワトソンと二人で、DNAの二重螺旋構造を発見し、1962年にX線解析でDNA分子構造を解明したM.ウィルキンズとともに、ノーベル医学生理学賞を受賞した。つまり教科書で習う「ワトソンとクリックのDNA二重螺旋構造」の「クリック」の方だ。

 本書は、クリックが、従前からある「パンスペルミア説」という、地球の生命の誕生は、他の宇宙から地球にやってきた生命体が起源とするものをさらに拡大し、地球外生命体が意図的に生命体を地球に送り込んだ、つまり地球人類は送り込んだ元の地球外生命体の遠い親戚であるという「意図的パンスペルミア説」を提唱したもの。

 これは「古代の宇宙人説」(古代文明は、地球外生命体が指導・作り上げたもの)をさらに遡り、「現生人類は地球外生命体が霊長類を遺伝子操作したもの」を強化する説となる。また、地球の生命発生自体が地球外生命体に起因するものであるとしていることから、つまり地球は、地球外生命体による生命誕生と育成の「実験場」でもあるということになる。

 こうしたことは、数年前までは「オカルト」とか「荒唐無稽のSFの世界」と見られてきたが、昨今アメリカ国防省がUFOの存在を公式に認めるなど、世界中でUFO目撃が信ぴょう性を持って確認されている。そして、UFOが来ていることは、地球外生命体がその後の「意図的パンスペルミア説」による「最新の実験状況」を観察しに来ているものと見なせるだろう。

 なによりも力強いのは、こうした理論を(私のような)科学の門外漢が夢想するのではなく、ノーベル賞を受賞した生科学者が堂々と主張していることだ。

 とはいえ、本書日本語版の解説には、「オカルト」あるいは「荒唐無稽」と見なされることを心配したのか、これは「一種の思考実験」であると逃げ道を作っている。しかし、わざわざ逃げ道を作る必要は、もうなくなっている。なぜなら、UFOの存在が確認されたからだ。

 さらに、本書が発行された後、現時点までには多くの天文学的成果が発表されている。第一は、惑星の発見だ。以下の2022年3月の記事では、約5,000個も見つかっている。

 このうち地球に似た環境の惑星、もしくは生命体が生存可能な環境を持つ惑星がどのくらいあるのかは未知数だが、それが100分の1の確率であっても、50個も該当する。これは相当に大きな数だ。

 第二に、DNAの研究がさらに進化して、その精密なまるで機械のように設計された構造が判明している。これは、自然発生的には出来ないものだ。

 第三に、惑星間移動については、ロケット以外の手段が可能だということが分かっている。その筆頭は、彗星もしくは小惑星の利用だ。ここに微生物を仕込み、また彗星などにある資源を燃料とするロケットにより推進させることで、遠い他の惑星へ到達可能となる。

 第四に、宇宙がパラレルワールド構造であるとの認識が進んだことだ。こうしたパラレルワールド同士は、ブラックホールでつながっているという。つまり、他のパラレルワールドで高度に進化した生命体が、ブラックホールを使って地球に微生物を送ることが想像できる。

 第五に、相対性理論による歪んだ宇宙構造のある場所では、各銀河をつなぐ最短距離の通路が存在していても不思議ではない。これを利用すれば、遅い宇宙船でも別の銀河系へ短時間で移動できるのだ。

 だから、私は本書の主張を思考実験などではなく、立派な学説として全面的に支持する。そして、多くの人が来るべき異星人との遭遇に備えて、是非本書を読まれることを推奨したい。


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