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【KYOTOGRAPHIE振り返り】美と表現のインパクト【ヴィヴィアン・サッセン編】

KYOTOGRAPHIEの振り返り1回目、最初はヴィヴィアンサッセン(以後サッセン)です。
個別で考察したすぎて連載にします。

作例などは載せないのでどちらかというと展示を見た人向けの考察ですが、
Xにたくさん上がってる写真を見ながらKYOTOGRAPHIEに行けなかった人にも楽しんでもらえたらと思います。

見た展示はシリーズ化して全部書くつもりなので、もしよければフォローしてください!
そして是非コメントやXでのDMでも良いので語りましょう。

人物など概要

調べれば出てくることですが、前提知識としてあった方が良いのでサクッと紹介しておきます。

サッセンはファッションフォトグラファーで、芸術大学ではファッション専攻でした。
写真にも当時から興味を持ってましたが、「美」と「アート」に対する感覚を追求する姿勢は大学時代に由来するものな気がします。

またオランダ人ですが幼少期はアフリカで過ごしたため、赤・黄・緑・青など原色のパワフルな使い方にアフリカの影響も感じます。

展示の特徴

今回は大学時代の作品からセルフポートレート、コラージュ作品、クライアントワークなど網羅する感じで展示されてました。

場所も工場感のあるところで量も多いため、印象に残りやすいものでした。

見て感じた特徴としては以下になります。

・写真自体がめちゃくちゃうまい(知ってるフォトグラファーの中で一番うまいかもレベル)

・コラージュじゃない写真もぱっと見だと何かわからない、けど破綻せずに美しさを感じる

・写すことよりも表現することを重視している。コラージュもペイントも全然やる

・派手めの絵の具のような色使い

ここからは感想と考えたことを書きます

コンセプトや大義は必要なのか

昨今のアート系写真作品ではコンセプトや制作の意味が大事です。
ただサッセンの写真ではいつのまにかコンセプトだったり、意味を考えないで鑑賞していました

誤解しないでいただきたいのが、サッセンの作品はほぼ全部コンセプトに基づいて制作されています。
また僕自身も「写真に意味なんかいらねぇ!」というタイプではなく、意味や意図なんかを考えながら鑑賞するのが好きです。

それにも関わらず作品のエネルギーに圧倒され、考えることをやめてただただ目で追うように鑑賞してました。

アートとしてもひたすら美や表現を追求し、それ自体がインパクトを与えるという在り方もまだまだあるなと思いました。

上手いとは、美しいとは

サッセンの写真はある種の上手さと美しさが飛び抜けてます
「ある種の」とつけたのは必ずしもわかりやすい綺麗さがあるわけではないためです。

方向性としては上田義彦さん、濱田英明さんのようなストレートな上手さとは違います。

グロさや不思議さのあるイメージの中に秩序を感じるというか、
下手な写真と紙一重のバランスで成り立ってるような印象を受けました。
あとは写すことよりも写さない美学を感じます。

偉そうに上手いとか下手とかいってるのですが、
はたして上手いってどんな写真だろう?美しいって何だろう?と思わず考えてしまうようなビジュアルインパクトがあります。

個人的には、
①平均値からできるだけ離れること
②それぞれの要素を関連させてバランスを取ること
③そのバランスの感覚を美的感覚や写真のセンスと言う

のではないかと、サッセンの写真を見て思いました。

アートとファッション

そのビジュアルインパクトの強さからファッションのハイブランドから撮影を依頼されるのだと思います。

ティルマンスやマッギンレーもファッションブランドの撮影をしていますが、
アート系写真作家はしばしばファッションブランドに起用されます。

それはブランドの顧客が富裕層であり、ある種の選民思想から来るものではないかと考えてます。
極端に言うと「これくらい理解できる教養あるよね?」と顧客になる人々に問いかけているのです。

嫌味な言い方になってしまいましたが、
そういう分野においてサッセンはまさにぴったりではないかと思います。

服やモデルを綺麗に撮るのではなく、
常に新しい表現を求めて、美しいながらも理解が難しい作品を生み出しているファッションとアートの融合のスタイルは相性抜群です。

コラージュとシュルレアリスム

最後に触れておきたいのがサッセンは割と写真に手を加えるということ。

レタッチが〜みたいな次元じゃなくて、コラージュでエロスを表現したり、プリントした写真に筆を加えたり、技法としては古典的ながらもアートとしての作品作りに挑戦しています。

特にコラージュは多く、またコラージュじゃない作品もぱっと見だと現実の写真に見えない、
いわゆるシュルレアリスムに分類される作品が多いです。
まだアートに疎いので鑑賞しながらコラージュとシュルレアリスムは相性良いんだなと気付きました。
※シュルレアリスムは「現実を超えた」「現実のような現実でないような」みたいなニュアンスです

ここからもサッセンは学問としてアートを学んでいることが伺えます。
元々シュルレアリスムは芸術家達からは疑問視され、大衆には奇抜さがわかりやすく受け入れられたものですが、
サッセンはその流れを汲みながらも美しさと両立させ、より感覚的に良いと感じる作品になってるのかもしれません。

自分に取り入れるとしたら

コラージュやペイントは挑戦してみようと思いました。
使い古されてるしな〜とか調子乗ったこと言ってないでまずはやらないとですね。

あとは美的感覚を磨くトレーニングとして写真集買いました。

どこかで見たような写真は絶対撮らねえ!という気持ちはあるものの中々難しく、
そのとっかかりとして

・できるだけ写さないこと
・平均値から外れること
・普通になってしまったらレタッチのさらに後工程で手を加えること

にチャレンジしていきます

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