ひどく個人的な経験に基づいたLUMIX S1Hレビュー【2024年でも通用する写真と映像のハイブリッド機】
昨年11月に購入したLUMIX S1H、半年経ったのでそろそろ語らせていただきます。
スペックなどは今更感ありますし、そもそも結構前のカメラなので特筆すべきところはありません。
なのでとても個人的な経験と主観に基づいたレビューにしようかと思います。
購入の経緯
結論から言うと、映像も動画も撮れるカメラで、どちらかというと映像寄りのものを探していました。
スペック的にはよく借りて使わせてもらってたα7IVを買っても良かったのですが、写真のRAWの色が苦手だったことと、使っていて写真がメインのカメラな感じが強かったです。
LUMIX S1Hは写真のRAWも動画のlogも使いやすそうで、また実物を触った時にフィーリングで一目惚れして買いました。
他迷った機種について
「写真と映像のハイブリッド」というコンセプトだと競合は以下になります。
α7Siii
普通に考えるとAFの分こちらの方が良いのですが、僕はAFを使わず、
写真で考えると若干画素数が不安(とはいっても実際は十分なはずだけど)でした。あとバリアングルがきつい
またSONYは以前使っていて色に苦手意識があるのが拭えず、S-logは特徴的でYouTubeを見てもS-logだなとわかることが結構あったのもマイナスポイントでした。カラーグレーディングが上手ければやはりソニーの方が優秀だなと思います。
Z8
スペックは最強ですが、Nikonの動画の傾向は記録的な印象を受けました。
「写真が動いてる感じの映像で少しカリカリすぎる」ので映像を重視していた今回は除外しました。
R5C
上記に機種よりはこちらの方が悩みました。
写真も映像も品質は素晴らしく、基本は文句のつけようがありません。
唯一のマイナスポイントとしてはR5Cは写真モードと動画モードを切り替える時に一度電源を切って数秒くらいかかるので写真⇔動画の行き来がスムーズではない点でした。
SL2-S
元々ライカのM240という機種をメイン機としていたので、こちらも惹かれました。ただ一番使うメイン機よりも高額なことと、デザインや質感も良いですがLUMIX S1Hと僅差なこと、あとはEVFがS1Hの方が綺麗なので撮ってる時にグレードダウン感があると感じてしまいました。
写真はSL2の方がわずかに良いし、気持ち的にはライカにしたいんだけどな、、
S5iiX
ボディが真っ黒なのはかっこいいですが、S1系のゴツい感じの方が好みでした。
あとは肩液晶は個人的には外せないポイントなので、それがないのもマイナスです。
バリアングルも苦手で、EVFもデジタル液晶感が強く少しチープに感じてしまいます。
ただスペックはS1Hよりも高いです。
ちなみにS5iiXよりはSL2-Sの方が個人的には好き。S1系はほんとに質感高い
画質について
動画
logのシネマっぽい雰囲気が素晴らしいです。
他のメーカーのlogだとカラーグレーディングが下手だとホームビデオっぽい品質になってしまうのですが、LUMIXはLUTを当てただけでもしっとりとした雰囲気が出ます。
発色も良く素直で、とてもいじりやすいです。
またCineライクという映像向けのピクチャースタイルがあるのですが、それで撮ればカラーグレーディング無しでシネマチックになります。
NikonやCanonはスペックは高いですがシネマチックにする、雰囲気のある映像にするのは結構難易度高いです。
(ただしR5CのCinema RAW lightは別)
写真
写真は競合機種に比べると弱めです。といっても全然仕事で使えるくらいです。
ローパスフィルターがあるのでモアレも出にくく、2400万画素というちょうど良い画素数で信頼ができます。
写真のRAWはオリジナルの色を出すというよりは自然な発色が得意で、かつ明るめの描写が得意です(ただ暗めの写真が好きな自分とは少しアンマッチ)
自分は撮らないですが七五三とかウェディングフォト向きなRAWです。
画力の強さや個性、圧倒感はありませんが、弱点もない現代水準の写りです。
超気に入ってるところ
ゴツくてかっこいいボディ、大きい肩液晶
時代に逆らったでかいボディで1kgオーバーですが、むしろそれがいい。
S1Hは排熱機構があるのでS1シリーズの中でも特にでかいです。それがフラグシップの威厳と質感の高さを生んでいます。
またS5シリーズにはない肩液晶があり、マニュアルレンズ派の僕には肩液晶は必須です。
撮る前に絞りとシャッタースピードとISOを確認でき、必要に応じてそれらを変えるのに液晶を見て合わせるのはやってられません。
「そんなに気になるか?」と思われるかもしれませんが、僕は無茶苦茶気になります。
そして肩液晶にしたい理由がもう一つあります。
最高のEVF
肩液晶にしたいもう一つの理由が「画面に情報を表示したくない」ためです。
僕は背面やEVFに情報を表示しないので肩液晶で確認します。
画面に情報を表示するとデジタル感が強くなり、目の前の被写体ではなく液晶画面を見ている感覚になります。
実際、液晶画面を見ているのですが、できるだけデジタル感をなくしてカメラを身体の一部に近づけたいという思いがあります。
そこでもう一つ大事なのがEVF!!!
EVFなのにまるでガラスを見ているかのような最高のEVFです。
色とコントラストもナチュラルで高精細なのでデジタル液晶ではなく本物をガラス通しで見ているかのようです。
映像を撮らなければレンジファインダーか一眼レフしか使わないくらい僕はファインダーにはこだわりがあります。
α7RVユーザーやライカQ2ユーザーの友人達に見せてもビビってました。EVFの画素数だけでいうとSONYもライカも良いんですけどね。不思議です。
S1シリーズのEVFの素晴らしさはもっと宣伝されるべき。S1Hの一番好きなポイントかも。
この最強のEVFで画面上の情報をできるだけ消して撮る撮影体験はS1シリーズならではだと思います。
4K60pはもちろん、48pで撮れる
これはS1H特有のものではありませんが、プロ向けの映像機なので細かいところが得意です。
僕は60pよりも48pで撮るのが好きで、これは確かS5iiだとできません(S5iiXはできる)
理由は
からです。
他にもアナモルフィック用の4:3で撮れるなど、映像に関してはできないことがとにかく少ないので困ることはないです。
デュアルネイティブISOをショートカットで切り替えれる
S1Hのショートカットボタンの登録項目に「ディアルネイティブISO」という項目があります。
デュアルネイティブISOの最低感度に一発で設定できればいいなと思っていたところ、ショートカットで
- AUTO
- 低感度
- 高感度
の三項目で設定できたとき、マジで神だと思いました。
これで毎回ISOを400→4000までくりくり設定しなくて済むだけではありません。
デュアルネイティブISOはピクチャースタイル毎に違うので全部暗記するのだるいじゃないですか。スタンダードとポートレートとLモノクロームとCineライクD2とV-logで全部違います。
これをボタンで「高感度」を押せばそのピクチャースタイルのデュアルネイティブISOの高感度側の最低感度がわかります。
V-logだと4000、CineライクD2だったら1250、スタンダードだったら640とか。
もちろんわかることが本質なのではなく設定が楽になります。
全てのカメラに搭載して欲しい機能です。それとももうあるのか・・・?
バリアングルではなくチルトフリーアングル
僕はバリアングルがとても嫌いです。
開くのにもワンテンポ遅れるし、ケーブルに干渉するし、何より軸がズレてて見にくいし、、
でもバリアングルの「縦位置でのローアングルが撮りやすい」というメリットも理解していて、
それを良いとこ取りするチルトフリーアングルには拍手を送りました。
チルトフリーアングルによって分厚くなっているので代償もあるのですが、
S1Hはでかいからいいのですよ。後継機でもデカく育って欲しいものです
気になったところ
オートホワイトバランスが実際より青っぽいです。
屋外でも4600K~4900Kくらい(太陽光は5500Kくらい)
対策としてはカスタムホワイトバランスを作ってケルビンを5500Kにして色調整もしておく必要があります。
また、S1Hというかミラーレスというか日本製品は全体的に機能や設定項目が多すぎてシンプルに使えないのでSL2-Sの「ただ撮るだけ」感はいいですね。撮影に集中する、ということが元々やりたかったことなので。
あと気になる人は4K60pで1.5倍クロップされることと、動画のAFが弱いことは気になると思います。
(まぁでもこれ気にしだしたら動画ならα7siiiかFX3しか選択肢がなくなる)
最後に
相変わらず愛機のレビューは熱が入ってしまいますね。
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