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【KYOTOGRAPHIE振り返り】ドキュメンタリーらしからぬ写真表現【クラウディア・アンドゥハル編】

KYOTOGRAPHIEの振り返り6回目、クラウディア・アンドゥハル編です。

KYOTOGRAPHIEに行った人にも、行けなかった人にも楽しんでもらえたらと思います。

見た展示はシリーズ化して全部書くつもりなので、もしよければフォローしてください!


人物などの概要

1931年生まれとかなり歳をめされていらっしゃり、スイスでユダヤ教徒の父とカトリック教徒の母の間の子でホロコースト(ユダヤ人の迫害)の経験から社会的弱者のコミュニティに興味を持つようになったようです。

そして先住民ヤマノミに出会ったことからライフワークとしてヤマノミを撮り続け、
ヤノマミの人々のための意識啓発や政治的活動のツールとしてアート表現を用いました

作風としては古い感じではなく、むしろこのnoteを書くために調べるまで若い写真家だと勘違いしていました
というのも以下の特徴があったからです。

- 赤外線フィルターや古いカラーフィルムなど特徴的な色を使う(モノクロもあるけど)
- フラッシュ直当ても多い
- ブレなどを使った勢いのある表現で、少しレトロなのに新しく感じる
- その他にも長時間露光や多重露光など表現を重視した写真

そのため日本で言うと奥山由之さんが近いなと感じました。

展示の特徴

ヤマノミの世界観を写すところから始まり、
非先住民による採掘、伐採、薬物密売などヤマノミの置かれた状況、
そしてアマゾンへの気候変動の影響が写されています。

なので分類としてはドキュメンタリーにあたります。
写真だけでなく映像もありました。

またヤマノミのシャーマンによるドローイングや、研究資料なども展示されています。

写真自体の見せ方は割とオーソドックスでした。

ドキュメンタリーなのにビジュアルインパクトと感情表現が乗っている

展示を見て真っ先に出てきたのが、美しい、かっこいいという感情でした。
割と派手目な色使いだったり、逆にモノクロのコントラストの効いた写真などインパクトのある写真が多いです。

そして見る人を惹きつけ、ヤマノミや彼らを取り巻く環境、起こっている問題を社会に伝えようとしていることも伝わってきました。

ドキュメンタリー写真というとまずは写すことを重視してオートフォーカス精度、広角、低照度耐性などが重視して客観的に撮られますが、
クラウディア・アンドゥハルはフィルム、カラーでも撮っており、尚且つ露出もギリギリを攻めたりして主観的に撮ってます
(報道写真がフィルムで撮られていた時代は露出ミスのリカバリーがしやすいためモノクロが多かったようです)

ナショナルジオグラフィックなどで民族・部族のドキュメンタリー写真を見ることもありますが、
クラウディア・アンドゥハルのインパクトのある写真は個人的にはそれらの写真以上に深く印象に残りました。

写真の技法・表現方法を、伝えるための手段として使う

「写真の技術は伝えたいことを伝えるためにある」というのはよく言われることです。

ただ、頭では理解していながらも、ビジュアルインパクトを出すためだけに派手なレタッチや極端な露出などを、僕も使ってしまいます。
そういった写真は「自分の写真を良いと思ってもらいたい」という気持ちから生まれるのですが、
クラウディア・アンドゥハルの写真はそういうものが感じられませんでした。
(そういう感情自体は誰にでもあるので、否定するものではありません)

アートの役割は様々ですが、共通しているのは「自分の中にあるものと社会を結びつける」ことだと個人的には考えています。
自分の技術を見てもらう、自分の努力を見てもらう、自分の素晴らしい感性を見てもらう、ということが一番の目的になってしまうと誰かに響く作品を作るのは難しいと感じています。
(自分で書いてて耳が痛い…)

それを超えてからが写真家なのかなぁ、とか思ったりしました。

自分に取り入れるとしたら

すぐには見つけられなくても「自分が自分が」とならない、
取り組みたいテーマやライフワークのようなものを見つけたいなと思いました。

また技術面ではドキュメンタリーこそドキュメンタリーっぽくないように撮ってみる、ポートレートこそポートレートっぽくないように撮ってみる、などあえてオーソドックスとは逆の撮り方に挑戦していこうと思いました。

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