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一歩先行くリード文

こんにちは! 広報うちこ担当10年目の兵頭です。
前回、読者を立ち止まらせる「タイトルの瞬発力」について書きました。今回は読者がタイトルの次に読む、リード文のお話です。タイトルに目がとまった読者を、テキストにお誘いするリード文。地味なつなぎ役だからこそ、技術の差が出ます。野球のバントみたいなもんですね。

地味だけど、うまいとかっこいい。それがバントだ。いやリードだ。

技術とセンスの差が出る「リード文」

そもそもリード文とは、タイトルの後などに書く要約文です。このページではどんな事が書かれているかを、短くまとめます。『広報うちこ』は100~200文字くらいを基本としています。

私も最初、「リードは本文を読まなくても内容が分かるように書くこと」と教わりました。忙しい読者への配慮で、これも大切な役割です。でも、リード文=要約文と解釈していると、どんどんつまらないリードになってしまいます。

リード文は、短い文章で読者の心をつかむもの。ただの要約文ではないんです。読者はここで「読みやすい文章か」「面白そうな文章か」、というところまで判断します。つまり書く側からすると、技術やセンスを見せる場所でもあるんです。


要約文の書き方を確認

要約文の書き方をネットで調べると、①段落ごとの要点を抽出する②本文の流れの順番で要点を並べる③文章を整えて、短くする―― とありました。うん、だいたいこんな感じ。私も最初、リード文=要約文と思ってたときは、こんな感じでリードを書いていました。
この手順で基本的にOKなのですが、ある問題が生じます。私も読者からのある質問で気付きました。

「なんで同じこと2回書いているのですか?」

なるほど。ここに要約文とリード文の大きな違いがありますよね。それ以来、ひと工夫してリードを書くようにしています。


一歩リードする、リードの工夫

具体的にどんな工夫をしているか、2017年12月号の特集、4ページ目を例に説明します。

読みにくいと思うので、こちらでご確認ください ↓

①本文と違った表現にする

本文の要点を、違う言葉で表現します。その際に意識したいのは、「リードはキレ、テキストはコク」です。どんな言葉を選ぶかは、センスですが、例文ではこんな感じです。

《テキストの要点》
(水車を復元する活動は)メンバー12人が資金を出し、自らが汗を流して作業をする――。石畳の未来へ希望をつなぎたいという若者たちの思いは、地域の人たちの心を動かします

《リード文(抜粋)》
立ち上がった12人の若者たちの思いは、地域全体を巻き込む活動へ

という感じです。少なくとも「同じこと2回書いてる」とは思われないはずです。あと、単文をリズムよく使うと「キレ」が出やすいので、試してみてください。

②特集の出だしのリード文は、引き込み強めで――

ツァイガルニク効果を使いましょう。と、格好つけて書きますが、最近知りました(笑)。「未完成のものほど人は惹かれる」という効果らしいです。「続きは〇〇で」とか、クイズ形式のものとかは、最後まで知りたいというツァイガルニク効果を狙っているということですね。

読者が「どうなるんだろう?」と気になるのも、ツァイガルニク効果。例に挙げたリード文は石畳地区300人、30年間の地域づくりの最後に、「ふるさとを未来につなぐ挑戦は、今も続いている――」としています。何がどう続いているかを書かないことで、読者をテキストへ引き込むという試みです。

③特集の最後のページはリードなしも、あり。

リードの役割を考えると、最後のページまで興味を持って読んでもらえたら、読む勢いの方を優先するのもテクニックだと思います。一気に読んでもらうためには、リードが邪魔になるかもしれません。役割や効果を考えて、いろいろな立ち回りができるようになりましょう。


実例! お直しポイント

次の例は『広報うちこ』の令和5年2月号。特集を担当した後輩のリードを、私が実際に直したものです。手直し前はこんな文章でした。

《後輩のリード文》
天神産紙工場の和紙職人を追った映像作品『紙の人々』。昔ながらの手漉き和紙製造の過程と職人たちの素顔を、美しい映像で伝えています。今回はそのシーンの一部を紹介します。作品を公開した烏谷恒希さんに、制作に至った経緯や作品の思いを聞きました。

《お直し後の効果》
上の太字部分を変えて、「へぇ~」という驚きとともに、一瞬でも写真に目が行くように工夫しました。それはどんな工夫だったでしょうか。答えはこちらでご確認ください(笑)

覚えたてのツァイガルニク効果がさく裂したところで、今回の投稿は終了です。リード文は軽視されがちですが、読者が自分の文章の技術とセンスを見ていると思うと意識が変わると思います。今回の内容を参考に、自分なりのリードの書き方を磨いてみてください。
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。


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