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人生で初めての長編小説を完結させるまで

今回カクヨムで長編小説を初めて投稿して、完結させることができました。

この文章を投稿したときは震えました。

完結までの予約投稿も終わり、現在余韻に浸っています。
処女作ですし、つたない部分もあると思いますが、一生懸命書いたので読んでいただけると嬉しいです。

完成した小説

悪役令嬢になった私は卒業式の先を歩きたい

完結させたテンションそのままに、この小説をどうやって完結させたか、どうやって書いていったかを、自分自身の備忘録としてもまとめていこうと思います。
もし、小説を書いてみたいと思っている人の参考になれば本当に幸いです。

2023/3~:悪役令嬢との出会い

きっかけは一年前でした。
よく遊ぶ友人4人と喫茶店での会話がきっかけになり「悪役令嬢モノ」の小説を書こうという話になりました。
そのため先にジャンルが決まったことになります。

このころの私

  • 「悪役令嬢モノ」について、漫画もアニメも小説も何も知らない。

  • 一般向け長編小説を書いたことがない。高校自体に文芸同好会の文化祭向け雑誌にスポットで短編を書いたことがある程度

さて、困りました。対象の「悪役令嬢モノ」というものが、そもそもどういったジャンルのものなのかも知らないところからのスタートです。

悪役令嬢って?

まずは「悪役令嬢モノ」というものがどういったものなのかを知るところから始めました。
その日のうちに「私の推しは悪役令嬢。」「ふつつかな悪女ではございますが」「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」の漫画を読みました。
また、それ以外にも情報を仕入れ、自分の中で「悪役令嬢モノ」というものがどういったものを理解しようとするところから始まりました。

こんな感じでいろいろと情報整理。合ってるかどうかは目をつむってください。

簡単なプロット作成

少しずつ「悪役令嬢モノ」の輪郭らしきものが見え始めてきました。このころ初めて「ハイファンタジー・ローファンタジー」や「転生・転移の違い」といったこともようやく知り、「それならハイファンタジーの転生モノにしよう」とプロット(のようなもの)を起こしていきました。

見えてきた課題

何となく方向性は見え始めてきました。ただ、このころから自分の知識のなさが露呈してきます。

  • 乙女ゲーの世界に転生するのに、そもそも乙女ゲーを知らない(結果これは放置)

  • ハイファンタジーの小説を書こうとしているのに、ファンタジー世界を知らない

  • 長編のストーリーの作り方がわからない

昔、テイルズオブエターニアの設定集などは目を輝かせて読んでいた記憶があります。あそこまで作りこむことはできませんが、ファンタジー世界に対しての解像度が低いまま書き始めてもまとまる気がしませんでした。完全にご都合主義の作品に振り切ってしまう作品も好きですが、私の性格上、書いていくにあたり何らかの世界観みたいなものが欲しいと感じました。
また、行き当たりばったりではない長編ストーリーを組み立てる方法なども知りません。もし「お作法」のようなものがあるのであれば、プロットを創る前に知っておきたいところです。
そのため、一度プロット作成は中断してお勉強を始めました。

2023/4~:知識の収集

お勉強と言ってもいくつか本を読んだだけです。特に印象に残っている本をいくつか紹介します。

シナリオのためのファンタジー事典

まずファンタジーの世界のお作法をこの本で知りました。
「ファンタジー世界」ですから色々な派閥もあるとは思うのですが、世界のイメージを膨らませるためにはこの本は最適だったと思っています。

色々とメモをしながら読み進めていきます。
例えば「メイド」と言うのがどういった存在なのか、メイドにひどい態度を取っている作品はあるがああいったのはありうるのかなど、考え方の基本の様など非常に参考になる本でした。
「これから初めてファンタジー小説を書く」と言う方は一読していて損しないと思います。

SAVE THE CATの法則

ストーリー展開の学習として、この本を参考にしました。


この本は全文書き写して吸収しようとしていたように思います。それくらい衝撃的な本でした。
三幕構成をもう少し細分化したものやどういったものをテーマにすると良いか、構成の仕方など、細かく書かれていて、脚本家の舞台裏を少し覗いた気分になれます。

小池一夫のキャラクター創造論

小池一夫さんの本についてはほかにも何冊か出ていて、3冊くらい読みました。
特に【主人公に弱点、ライバルに欠点】は本当に目から鱗でした。
キャラクターを作るうえで参考になる金言がたくさん詰まった本でした。

まとめ

こういった本を読みましたが、結論として「知っていること」と「出来ること」との間には本当に大きな隔たりがあることを身に染みて実感しました。
例えば主人公に弱点を持たせて読者にハラハラさせるという事は「小池一夫のキャラクター創造論」に書いてありましたが、なかなかそうは出来ませんでした。また、「主人公が物語を動かすべき」と言うのも「SAVE THE CATの法則」に書いてあったことですが、そうでないシナリオになってしまったり。

ただ、「知っている」と「知らない」の間にも同様に大きな隔たりがあるとも思います。次回長編小説を書くことがあれば、もう一度読み直してから描こうと思う、そんな素敵な本でした。

2023/4~:設定作成

知識の収集と並行して小説の設定を考えていました。
「あとでやろう」と名前を適当にして書き始めると後で大変なことになるのは身にしみてわかっています。また、キャラクターを決めないとプロットもおかしいことになってしまうので、設定を考え始めました。

キャラクターの名前

この時点で名前や性格なども決めました。項目としては「名前」「性別」「属性」「1人称」「二つ名」「性格」「立場」「魔法学園での将来」「キャラクターのイメージ」「将来」「趣味」「長所」「弱点」「欠点」「コンプレックス」「口癖」「備考」です。
この項目を18人分作成したため、次の様な巨大な表になっています。

当然この中にも活かすことができなかった設定もありますが、この時点でやっておいてよかったと思います。

この悪役令嬢の小説ではそうしな語ったのですが、ビジュアル化はしておけばよかったと思いました。そのため、ほかの作品ではキャラクターのビジュアルを描いて、それを見えるところに表示させながら書くようにしています。

別作品のキャラ。小説を書いていて「口調」とか「行動」とかがイメージしやすくなる気がします。

最近は生成AIもあるのでそう言ったものを生かしてもいいかもしれませんね。

魔法の設定

攻略対象を4人出すことは決めました。それぞれ攻略対象のキャラクターに対しては火、水、風、土など属性を分けるのが自然でしょう。さらに悪役令嬢は雷にしたい、それ以外にも氷や光といった特殊な立ち位置の属性も出したい。回復などの補助魔法も必要。それも1属性1種類の魔法という訳にもいかない……などなど。
世間のRPGゲームは凄いですね。この魔法を考えるのも本当に苦労しました。各魔法ごとに「属性」「名前」「威力」「範囲」「持続時間」「難易度」「消費魔法」「特徴」「詠唱」の項目で作成しました。

この表を作成するのも大仕事でした。

まとめ

世界の名前、転生する先のゲームの名前、主人公たちが通う学校の名前、アイテムの名前、ボスの名前……。
ストーリーを書き始める前に必要になりそうなことは全部決めました。
物語をノってかいているときにいちいち「この魔法の名前どうしよう」など筆を止めることなく書き進めることができたので、大変でしたがこれはやっておいて本当に良かったです。

2024/4~:プロット作成

ここからはMiroというツールを使ってプロットをひたすら作っていきます。

大きな章を配置して、そこで書きたいこと、書くべきこと、そして伏線など書き入れていきます。

ずらずらと。。。

本当はここまで長くするつもりは無かったのですが、色々書いているとここまで長くなってしまいました。
このようにプロットを書いていくと「少なくともここではこれを書かないといけない」という事が明確になるので大きく脱線することが無く書き進めていくことができます。また、こういったWeb小説は「完成させる」ことが難しいと思います。プロットを作っておけば「この順で書き進めていけば完成する」という点もわかるので今後も作っていこうと思います。

2024/4~:ラフ小説作成

設定やプロットができたので、文章として書き起こしていきます。
ただ、いきなり清書をするのではなく、イラストで言うところのラフスケッチのようなラフ小説を書いていきました。
狙いとしてはキャラクターのイメージをより正確につかんだり、足りない設定や伏線の確認がメインになります。そのため、地の文はそこそこに会話文をメインで書いていきました。
書きながら足りない部分や書き足した方がいい要素はmiroに書きだして、各要素と線をつないでいきます。

修正事項メモ。プロットに反映したら決して、ラフ小説を書いたら追加して……を繰り返していました。

この時点でボス戦、プロットで言うところの7割くらいまで書き進めていました。

文字数にすると次の量書いていてたようです。

ラフで清書や修正を考えていないので筆が速いですね(個人比)。

2024/6~:休止期間

ここから少しこの小説の作業を中断します。
理由は色々あったのですが、ほかに優先したいことを行っていた結果として11月までこの小説は1文字も進みませんでした。

2024/10~:書き出しのきっかけ

ずっと頭の片隅にはこの小説があって、いつか完成させてあげたいなぁという気持ちだけが残っていました。
そして、とうとう書き始めることになります。書き始めるまでのきっかけは2つあります。

文学フリマ

夏頃悪役令嬢の小説を書き始めたのとは別の友人とのひょんなことから人生初めての文学フリマに出品することが決まりました。

このタイミングでこの悪役令嬢モノとは関係ない3万文字程度の小説を書き、レトロプリンというサークルで参加してきました。

お手にとっていただいた方、本当にありがとうございます。

この会場を歩き回っていて「あぁ、こんなに小説・文章を書いてる人がいるんだなぁ」と強く胸を撃たれました。

カクヨムWeb小説コンテスト

いや、負け惜しみでもなんでもなく、このカクヨムコンで何か章が取れるとか勘違いしたわけでは無く、とはいえ「こういったものにエントリーをする」と言うのは強い動機付けになりました。
「カクヨムコンエントリー」ってXの名前に付けるのって、なんか創作をしている人みたいでかっこいいじゃないですか。

おすすめ

完成させていない小説を貯めている人は「文学フリマ」の会場に足を運ぶのをお勧めします。
会場いっぱいにブースが並び、大量の小説が販売されています。なんとも壮観で、実にテンションが上がります。

2024/11~:再開

鉄は熱いうちに打ての通り、その月のうちに再開を始めました。
半年ほど寝かせると、自分の中にも多少なりとも新しい発想が生まれていたり、もっとこうしたほうがいいのではないか?というアイデアが生まれてきます。そう言った部分を書き出して修正していきました。

こういったノートの走り書きが見開き4ページくらい続きました。

一週間ほど練り、miroも整理しなおし、伏線などの線がまた増えました。


縦の項目も増えました。左が2024/4時点、右が11月時点です。

ここからカクヨムに投稿する小説を書いていきました。

2024/12~:カクヨム毎日投稿

小説を投稿するにあたり、ルールを設けました。

  • 毎日投稿する

  • 今のプロットで完成させる

  • 読まれなくても完成させる

この3つです。
私自身がそこまで意志が強くないので、もう理屈無しに完成までの毎日19:00に投稿する、たとえ100文字しかかけていなくても毎日投稿するとだけ決めました。毎日投稿し続ければいつかは完成します。
プロットの修正などを考え始めたらいつまでたっても完成させることができません。また、一般向け小説+1次創作小説+知名度もない、こういった状態でPVが得られると考える方が正直無謀でしょう。

結果

2023年12月15日に第1話を投稿して、2024年4月30日まで141話投稿しきり、完結させることができました(日数と和数が完全に一致していないのは初期時点は「土日は2話投稿する」といった無謀なことをしていたため)。
4月27日に<おわり>と書いて予約投稿したときはふわふわしたテンションでしばらくぼーっとしていました。

実績

このくらいの文字数を書いていたようです。キーボード君はよく頑張ってくれました。

感想

実際12月中旬から141話毎日書き続けるのは正直大変でした。当たり前の話ではあるのですが、毎日投稿は今日投稿してもまた明日も投稿しないといけません。
12月、年末進行で仕事が忙しくなり1週間体調を崩し、それまでのストックを全部吐き出しました。
1月末も同じように体調を崩し、近況ノートに「少し滞るかもしれません。」と記載しました。毎日投稿と誓いを立てていたにもかかわらず、たぶん結構メンタル的にもしんどかったのでしょう。
また、最後のほうも「毎日投稿しない言い訳」は心の中に浮かんできます。それでも毎日投稿できてよかったです。ただ、たぶん毎日投稿はもうやらないのではないかと思います……。(もしくはほかの創作活動をすべて停止して行うか)。

また、自分でそういったシナリオを考えて書いているのに、自分で泣くという経験もしました。
喫茶店やファミレスでノートPCとにらめっこしながら書いているのですが、一瞬完全に不審者だったように思います。

難しかったこと

「大人数」「伏線」、この2点が本当に大変でした。
小説は文章を書かないと存在できません。漫画や映像作品であれば、話している人の後ろに書くことで、会話や行動させなくても存在させることができますが、小説だと「○○はーーー」と書かないとキャラクターが消えてしまいます。かといってそういったことばかりを書いていると物語が全然進まない。大量のキャラクターを捌いている小説はそれだけで本当に文章力がすごいんだなぁと実感しました。
また、伏線も難しかったです。漫画のようにコマの隅やちょっとしたしぐさで「明示的にしないけどちゃんと提示する」ということは小説ではできません。かといって「アリシアはマリウスに薔薇の花を手渡した」なんて突然書いたら「これ何かあるのでは?」となってしまい、伏せるどころではありません。

少し落ち着いたので改めてアガサ・クリスティー作品など読もうかなと思いました。

結末についても本当に悩みました。
プロットも作成し、結論もあらかじめ決まってはいたのですが、それでもたぶん3回くらい、細かい修正を合わせたら10回以上、投稿した文章を開き修正して、また開いて……ということを繰り返しました。
やっぱり何かを「完成」させるのは本当に難しいと実感した次第です。

感謝

カクヨムの私の小説を見てもらえればわかるのですが、コメントをくださっている方がいました。そして、更新のたびに読んでくださり♡マークを付けてくださっていました。
小説を書くのは本当に孤独です。ただPCに向かい合って淡々と書いて投稿する、それだけです。
そんな中、コメントやよんでますという意思表示をしてくれることがどれだけうれしいか、今回本当に実感しました。

もしこのnoteを読んでいる方でWeb小説の読者さんが居たら、ぜひコメントをしてあげてください。気の利いた言葉でなくても「更新楽しみにしてます!返信不要です!」だけでもいいと思います。きっと本当に喜びます。

自分で好き勝手書いた小説ですが、毎日何名かには読んでいただき、感想までもらえて本当に貴重で素晴らしい経験ができました。
書き終わって、書ききってよかったなぁと思います。

反省

完成させてから、完成させるまで、いろいろ反省点は見えてきました。
ただ、心のうちにしまっておきます。次回の小説で生かせたらと思います。

これから

また小説を書きたいですね。

私なりに「なんで悪役令嬢なんてしているの?」「あんな風にふるまっていたのはなぜ?」みたいなところと、「何を転生してからの目標は何?」と言ったところに対して焦点を当てて書ききったつもりですが、恋愛やざまぁ、逆シンデレラ、変身願望といった悪役令嬢の王道を書くことはできませんでした。
そのため今度は違ったテイストで、ファンタジーモノを書いてみたいと思います。

次の作品もカクヨムで投稿する予定ですので、もしよければこちらからユーザーをフォローしていただけると嬉しいです。

また、あまり動かしていませんが、X(旧Twitter)もありますので、こちらもよろしくお願いします。

それでは、ありがとうございました!
また次の作品で皆さんとお会いできるのを楽しみにしております!

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