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「BABEL LABEL」は、「日本のスタジオドラゴン」となれるか?

2021年12月、サイバーエージェントはコンテンツスタジオ「BABEL LABEL」の株式を取得して連結子会社化した。
BABEL LABELといえば日本アカデミー賞受賞作品『新聞記者』の藤井道人監督らが所属しているスタジオだ。

今回のパートナーシップから見えてくるのは
日本の制作現場と韓国との差、これから必要な考え方だった。

パートナーシップの経緯

世界で通用する作品をつくるには、テレビ局ではなく、制作会社が主体となるべき。目指すは韓国のスタジオドラゴンで、BABELはそうなる可能性を秘めています。それを支援することが今回の目的です。

サイバーエージェント藤田社長

制作会社は制作費の中でやりくりして映像をつくりますが、ほぼ自転車操業。クリエイティブを消費している自覚があって、これを永久にやり続けていくと、潰れてしまうと感じていました。

本当は自分たちから企画を出して、日本を代表するような作品をつくって、クリエイターを次々に輩出できるようなコンテンツスタジオにならないといけない。

BABEL LABEL藤井道人

切実なのは、日本の制作現場にあるように思う。
国内マーケットだけで楽しむことが出来いたのが今までの邦画の考え方。

「男はつらいよ」「釣りバカ日誌」は小さいころから大好きだけど
やっぱりこれで世界と戦っていけるわけじゃない。

特にNetflixという世界基準での配信が入った結果
完全シームレスな世界になり、
「男はつらいよ」と「イカゲーム」などが
同じ棚に並べられる世界となっている。

藤井道人監督のように、新進気鋭の監督たちはもちろん世界に学び
技術も負けてないと思っているにも関わらず
美術やキャスティングでの圧倒的な資金面での敗北を受け入れざるを
えない現実があるようだ。

日本と並べられそして資金面での充実を国策で行う韓国。
その中でそのトップを走るスタジオが「スタジオドラゴン」だ。

「スタジオドラゴン」の圧倒的な強さ

「愛の不時着」「Sweet Home ー俺と世界の絶望ー」「ヴィンチェンツォ」などタイトルはどれか一度は聞いたことがあるのではないだろうか?

Netflixを観れば視聴ランキングで出てくるのは
この韓国ドラマ、映画、そして他はアニメがくる。

特にここ2年ほどで韓国ドラマに席巻されてるように肌で感じる。
数ある韓国ドラマの中でも「スタジオドラゴンでははずれなし」と言わせる強さとは何なんだろうか?


韓国語で「金のスプーンを持つ(裕福な家出身の)会社」と言われるスタジオドラゴンの母体は大手財閥CJグループだ。

映画配給や放送局tvN、Mnetを運営するCJ ENMが2010年に設けた「ドラマ事業部」が前身。2016年5月に分社化し、現在はまだ6期目。2017年に韓国KOSDAQ市場に上場したほか、2019年11月からはNetflixとの「戦略的パートナーシップ」を提携し、多額の制作費の調達に成功した。母体CJ ENMも先月31日に今後5年間で5億ウォン(約4900億円)をコンテンツ制作に投資すると発表した。

「愛の不時着」に「ヴィンチェンツォ」──大ヒット韓国ドラマを連発する“スタジオドラゴン”の強み

要は財閥による莫大な資金力はベースにある。
ドラマ「Sweet Home〜俺と世界の絶望〜」を例に挙げると、1話あたりの制作費は2億円以上と言われている。全10話で単純計算しても総額20億円、NHKの朝ドラ150話分の制作費とほぼ同等の額だ。

資金力だけかというともちろんそうではなく
スタジオドラゴンでは、超人気脚本家の囲い込みを徹底的に行い
クオリティの担保は確実に行う。

そして企画からキャスティング、撮影、宣伝、販売、管理まで社内で一括して行うため、作品全体の戦略と軸にブレが生じにくい。

複数の会社が入りみだる日本の現場とは大きな違いがある。

まとめ Cool Koreaの発想から学ぶ

藤田社長が言っている、スタジオドラゴンを目指すというのは
今後相当体力がいるところではあるが、
日本での大資本が動き出してくれたことに、少なくても喜び希望を感じた。

日韓の意識は、国策の違いも影響しています。Cool KOREAは、国内の文化エンタメ産業を世界で通用する水準まで高める支援をしてきました。Cool JAPANは逆で、日本水準のいいものを世界に知らせようとしてきた。「日本にもこんなにいいものがある」という発想をしているかぎり、韓国との差は縮まらないし、世界市場では勝てない。その意識を一回改めないとダメでしょう。

サイバーエージェント藤田社長

実際一度Netflixとタッグを組んだら、もうそこの環境でやり続けたいのが現状だろう。
BABEL LABELの藤井監督も1月13日配信開始ドラマ「新聞記者」。
こちらもNetflixとの作品。
クオリティや条件面を考えても日本民放との制作ドラマとはならなかったのは自然の流れかもしれない。

「日本にもこんなにいいものがある」という発想をしがちだが
世界水準まで高めるという考えが、エンタメビジネスには必須であると思う。

今回パートナーシップは締結はしてるが
莫大な資金の確保課題はこれからだと思う。

いい作品を作り続けることも期待したいが
同時に企業、そして国策にも今後期待したい。


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