世界にあんこを広めたい話
3日後、私は上海経由オランダ行きの飛行機に乗る。いつもふらふらしているけれど、今回はただの旅ではない。あんこを広める旅だ。どうやら突拍子もない話らしいが、私の中では突拍子もない話ではないので、ここに至るまでの話をしよう。
あんこは好きじゃなかった。就職して、摂食障害になって、なんでもいいから胃に放り込みたくなる期間があって、食べ物に見境なくなった。甘いものならなんでもよくて、あんこも食べた。味とか、そんなものはどうでもよかった。ただただ、そのときを何かで埋めたくて、食べた。