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毎日超短話611「絵描き」

美術の先生が辞めるらしい。最後の授業は、「適当に好きな絵を描いてて」と言われたが、全然上手くかけなくて泣きたくなった。

そのあいだに先生は、黒板になにかを描いていた。チャイムが鳴ると、先生はいつものように、「See you!」と言って教室を出ていった。黒板にはQRコードのようなものが描かれている。誰かがそれを読み取ろうとしたけど、何も読み取れなかった。なんだよー、適当かよー、と言い合っている。

ぼくにはそれが読み取れたことを言わないでおく。それが絵描きになろうと思ったきっかけであることも。



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