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毎日超短話607「五月病」

一匹のアリが行列を離れて空を見上げている。空とのあいだにいる俺と目が合って、アリは「五月病になってしまった」と言った。おまえも働きすぎたか、と俺は返す。アリは頷いている。アリと同じように、俺は空を見上げる。青い、青い、と思っていると涙が出た。視線を戻すと、さっきのアリは行列に戻っていた。アリか俺の涙の跡がある。俺はもう少し、風に吹かれていたい。



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