yuhi(ゆひ)

79年生まれ|一児の父|短い小説&短歌|春ピリカグランプリ2023 すまスパ賞…

yuhi(ゆひ)

79年生まれ|一児の父|短い小説&短歌|春ピリカグランプリ2023 すまスパ賞受賞|ダウン症の我が子のインスタ&短歌中心のX(Twitter)もどうぞ↓

マガジン

  • 毎日超短話2024

    超短い話を毎日1話ずつ。2024年版

  • はちなな名曲選&おうちラジオ

    夫婦デュオはちななの名曲MV&おうちでのトークラジオ。

  • 神さまたちの詩歌集。

    降りてきた詩や短歌たち。

  • 受賞作品&ご紹介作品記事一覧

    応募企画の受賞作品、ご紹介頂いた作品の記事を収納しています。

  • ショートストーリーまとめ。

    【小説】毎週ショートショートnote&シロクマ文芸部&他短編小説。400〜2000字程度。

記事一覧

固定された記事

【書籍化】毎日超短話(歌)2023 amazon/楽天ブックス

2023年に書いた「毎日超短話」ほぼ全話、そして2023年の短歌の中から71首を、一冊にまとめました。 タイトルは「毎日超短話(歌)2023 」。 全272ページ。 ※画像は見本版…

yuhi(ゆひ)
1か月前
26

毎日超短話631「傘」

「相合い傘用」と書かれた置き傘が、下駄箱に置いてある。ふたりがすっぽり傘に入って余るくらいの大きな傘だ。彼女が傘を忘れたので、それで帰ろうかと、ぼくは聞いた。 …

yuhi(ゆひ)
12時間前
17

第4回おうちラジオ〜#なりたい自分〜

00:00 | 00:00

夫婦でまったり語り合うラジオ、おうちラジオ第4回。今回のテーマはnoteお題企画「なりたい自分」について語っております。エンディングで弾き語り付。※無料版

yuhi(ゆひ)
1日前
14

毎日超短話630「ヒルガオ」

朝の通学路にヒルガオが咲いていた。そのヒルガオが、「あ、」と気付いてシュッと花びらを蕾めた。恥ずかしそうに。まだ朝だったって、思ったんだろう。 一年前の超短話↓

yuhi(ゆひ)
1日前
22

毎日超短話629「ガクアジサイのイヤリング」

イヤリングが落ちてる。ガクアジサイのイヤリング。そういえば昔、恋人にあげたっけ。と思いながら拾い上げると、ガクアジサイの真ん中に恋人の顔が現れて、「ハロー」と言…

yuhi(ゆひ)
2日前
26

第3回おうちラジオ〜#日々の大切な習慣〜

00:00 | 00:00

夫婦でまったり語る、おうちラジオ第3回。今回は、noteのお題企画「#日々の大切な習慣」について語り合っております。※無料版

yuhi(ゆひ)
3日前
14

5月の全短歌⑥《終》夏の手前

51 ソプラノとアルト、テナーとバスたちがケラケラ笑う四重奏の家 52 生きている副賞として差し上げますよく飛ぶ星となぐさめのチョコ 53 ビル街を選んで咲いたたんぽぽ…

yuhi(ゆひ)
3日前
22

毎日超短話628「それでも猫になりたいか」

暗闇で傷を負った猫が、こちらを向いて「それでも猫になりたいか?」と聞いた。さっきまで猫になりたいと思ってたことが伝わったみたい。「傷を舐め合うことならできるよ」…

yuhi(ゆひ)
3日前
22

毎日超短話627「涙腺コルク」

ガラガラと音はしているけれど、玉が出てくる気配はない。あれ〜? 出ないねえ。と福引担当のおじさんも困っている。ガラガラガラ、ポン! ようやっと玉が出てきたと思っ…

yuhi(ゆひ)
4日前
22

毎日超短話626「百葉箱」

保護者会があって出向いた学校に、辻くんがいた。小学校の頃に転校してきて、次の年に転向していった辻くんだ。辻くんは、会が終わると校庭へ向かった。たぶん、あそこだ。…

yuhi(ゆひ)
5日前
24

毎日超短話625「小人祭り」

シャボン玉を膨らませていたら、小人がシャボン玉に乗ってきた。割れたら落ちてしまいそうなので、ゆっくり膨らませていると、いつのまに顔より大きく膨らんだ。その中に小…

yuhi(ゆひ)
6日前
26

毎日超短話624「てふてふ」

授業中、頬杖をつきながら、ぼんやりノートに花の絵を描いている。隣の席の子の手が伸びてきて、その花の上に「てふてふ」と書いた。絵心がないんだよね、と笑う。「てふて…

yuhi(ゆひ)
7日前
21

毎日超短話623「乗れるタイプ」

崖にいるとき、乗れるタイプの雲がきて、「どうぞ」と言った。すごく迷って、乗るのをやめた。どうやらまだ生きたいのだと、はじめてわかった。 一年前の超短話↓

yuhi(ゆひ)
8日前
27

5月の全短歌⑤ファミリーツリー

41 安全なベルトがあるから楽しめるどれほど人生旋回しようと 42 片割れと再会の日が来たときの練習をする余りものたち 43 夜明け前報われなかった歌たちが誰かの星にな…

yuhi(ゆひ)
8日前
21

毎日超短話622「7階から神様」

2階から目薬が落ちてきたあと、3階から胃薬が落ちてきた。髪が白く染まったあと、4階からモモンガが飛んできて、見事に着地した。5階から羽根が落ちてきて、羽根は背中に付…

yuhi(ゆひ)
9日前
25

第2回おうちラジオ〜妻の姓を選んだ話〜

00:00 | 00:00

※試聴版です。オリジナル版(09:59)は購入後に視聴できます。

夫婦でまったり語る、おうちラジオ第2回。今回は結婚の際に名字を妻の姓にしたことについて語っております。

100
yuhi(ゆひ)
9日前
9
【書籍化】毎日超短話(歌)2023 amazon/楽天ブックス

【書籍化】毎日超短話(歌)2023 amazon/楽天ブックス

2023年に書いた「毎日超短話」ほぼ全話、そして2023年の短歌の中から71首を、一冊にまとめました。

タイトルは「毎日超短話(歌)2023 」。
全272ページ。

※画像は見本版のため、実際の色合い、紙質などと異なります🙇

簡易的な作りのため、背表紙は入れられませんでした。自分でラベルしてもいいかも。

4月から3月へと流れていく構成。
文字はちょっと小さめ。
歌詞カードのようなイメージ

もっとみる
毎日超短話631「傘」

毎日超短話631「傘」

「相合い傘用」と書かれた置き傘が、下駄箱に置いてある。ふたりがすっぽり傘に入って余るくらいの大きな傘だ。彼女が傘を忘れたので、それで帰ろうかと、ぼくは聞いた。

「傘、持ってるんでしょ?」
「うん、でも、折りたたみだし」
「ちょうどよかった」

何がちょうどいいのかわからなかったけれど、折りたたみ傘を相合い傘にすると、小さいので、ぼくの半分は見事に濡れた。でも、いつもよりずっと近づいている。それが

もっとみる

夫婦でまったり語り合うラジオ、おうちラジオ第4回。今回のテーマはnoteお題企画「なりたい自分」について語っております。エンディングで弾き語り付。※無料版

毎日超短話630「ヒルガオ」

毎日超短話630「ヒルガオ」

朝の通学路にヒルガオが咲いていた。そのヒルガオが、「あ、」と気付いてシュッと花びらを蕾めた。恥ずかしそうに。まだ朝だったって、思ったんだろう。

一年前の超短話↓

毎日超短話629「ガクアジサイのイヤリング」

毎日超短話629「ガクアジサイのイヤリング」

イヤリングが落ちてる。ガクアジサイのイヤリング。そういえば昔、恋人にあげたっけ。と思いながら拾い上げると、ガクアジサイの真ん中に恋人の顔が現れて、「ハロー」と言った。ハローと返すと、恋人はにっこり笑った。

「それ」と、声をかけられたその人の耳の片方には、ガクアジサイのイヤリングが付いている。「ああ、あなたのですか?」とイヤリングを渡すと、その人はそれを耳に付け、「グッバイ」と言った。グッバイ。そ

もっとみる

夫婦でまったり語る、おうちラジオ第3回。今回は、noteのお題企画「#日々の大切な習慣」について語り合っております。※無料版

5月の全短歌⑥《終》夏の手前

5月の全短歌⑥《終》夏の手前

51
ソプラノとアルト、テナーとバスたちがケラケラ笑う四重奏の家

52
生きている副賞として差し上げますよく飛ぶ星となぐさめのチョコ

53
ビル街を選んで咲いたたんぽぽの後悔さえもアイデンティティ

54
出席に丸を囲んだカマキリの同窓会はすごくせつない

55
火曜日のサザエさんから告げられるとにかく明るく生きていこうと

56
人間のために生きてるわけじゃない若手の虫が翻す羽根

57

もっとみる
毎日超短話628「それでも猫になりたいか」

毎日超短話628「それでも猫になりたいか」

暗闇で傷を負った猫が、こちらを向いて「それでも猫になりたいか?」と聞いた。さっきまで猫になりたいと思ってたことが伝わったみたい。「傷を舐め合うことならできるよ」そう答えると、猫はゆっくりまばたきをして、暗闇に消えた。

一年前の超短話↓

毎日超短話627「涙腺コルク」

毎日超短話627「涙腺コルク」

ガラガラと音はしているけれど、玉が出てくる気配はない。あれ〜? 出ないねえ。と福引担当のおじさんも困っている。ガラガラガラ、ポン! ようやっと玉が出てきたと思ったら、小さなコルクのようなものだった。そのコルクはにっこりと笑っている。それを見たとき、その場にいた人々の涙がポロポロこぼれはじめた。どうやら、このコルクが涙腺を締めていたようだ。人々は泣いているが、どことなくみんな、安心している顔だった。

もっとみる
毎日超短話626「百葉箱」

毎日超短話626「百葉箱」

保護者会があって出向いた学校に、辻くんがいた。小学校の頃に転校してきて、次の年に転向していった辻くんだ。辻くんは、会が終わると校庭へ向かった。たぶん、あそこだ。わたしは窓から辻くんを見る。いまもまだ百葉箱の前で、親友と出会うのを待っているんだろうな。あのころ行けなかった場所へと、わたしの足は向かっている。

一年前の超短話↓

毎日超短話625「小人祭り」

毎日超短話625「小人祭り」

シャボン玉を膨らませていたら、小人がシャボン玉に乗ってきた。割れたら落ちてしまいそうなので、ゆっくり膨らませていると、いつのまに顔より大きく膨らんだ。その中に小人が入って、ケラケラと笑っている。そのままシャボン玉は離れて、空に舞った。柔らかいところで割れますように。

*
小人祭り2
妻の詩↓

小人祭り3
一年前の超短話↓

毎日超短話624「てふてふ」

毎日超短話624「てふてふ」

授業中、頬杖をつきながら、ぼんやりノートに花の絵を描いている。隣の席の子の手が伸びてきて、その花の上に「てふてふ」と書いた。絵心がないんだよね、と笑う。「てふてふ」を付け足すと、ふたつのてふてふはつがいになって、ノートから飛び出していった。わたしたちが、つがいになるのは、ずっとあとのこと。

一年前の超短話↓

毎日超短話623「乗れるタイプ」

毎日超短話623「乗れるタイプ」

崖にいるとき、乗れるタイプの雲がきて、「どうぞ」と言った。すごく迷って、乗るのをやめた。どうやらまだ生きたいのだと、はじめてわかった。

一年前の超短話↓

5月の全短歌⑤ファミリーツリー

5月の全短歌⑤ファミリーツリー

41
安全なベルトがあるから楽しめるどれほど人生旋回しようと

42
片割れと再会の日が来たときの練習をする余りものたち

43
夜明け前報われなかった歌たちが誰かの星になろうとしている

44
どうしてもそれをしたいという吾子の瞼の水と尊厳を抱く

45
死にかけるところでなにか気がついた空を見て鳴く仰向けの虫

46
止まってるわけではなくて凪いでいる愛する人の庭先の風

47
わたくしのすべ

もっとみる
毎日超短話622「7階から神様」

毎日超短話622「7階から神様」

2階から目薬が落ちてきたあと、3階から胃薬が落ちてきた。髪が白く染まったあと、4階からモモンガが飛んできて、見事に着地した。5階から羽根が落ちてきて、羽根は背中に付いて翼になった。それを6階から天使が見て笑って、7階から神様は虹を落とした。その日は、色のなかったぼくが、はじめてカラフルになった日だった。

一年前の超短話↓

00:00 | 00:00

※試聴版です。オリジナル版(09:59)は購入後に視聴できます。

夫婦でまったり語る、おうちラジオ第2回。今回は結婚の際に名字を妻の姓にしたことについて語っております。