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メルカリからなんで米国で食品コマースの起業? (2/3)

前作、米国で糖尿病患者向けの事業を立ち上げ (1/3)の続きです。

前職メルカリでは何をしていた?
メルカリUSではファイナンスDivisionを統括していました。具体的には、FP&A、IR、M&A、Treasury、Equity Incentive設計といった機能が管轄の範囲です。最初は1人でやっていたのですが、2021年には念願の単月黒字、チームも10人近くに増え、チームぽくなり軌道に乗っていたところです。

新卒ネスレ、KPMGシンガポール、JPモルガン、メルカリときて、次のキャリアは、スタートアップのCFOを目指すかー、と考えていましたが、そんな時にTeatisと出会いました。

なんでメルカリ辞めるの?
自分の中で区切りができたのが一番です。
2018年にUSに拠点を移した当時は、会う投資家の9割くらいに米国から撤退しろと言われていた記憶があります。月間$100MのGMVに達しなかったら撤退も辞さないと宣言していた中で焦りを募らせていました。

またファイナンスという職種柄、エンジニアと違い、実際に手を動かしてモノやサービスを作れるわけではなく、コメンテーターっぽい役割で、事業・人を上手く動かせずに、悔しい思いをしたことは数知れず。次は自分でゼロイチでサービスを作れたら楽しそうだなぁとぼんやり思っていました。

そんな中で無事にメルカリUSも一定規模まで育ってきて、個人OKR「USを黒字にする」にもだいぶ納得ができたので、区切りとして、次の挑戦をすることに決めました。

2018年2019年2020年の記事

なんで食品?

年齢を重ねるにつれて、また海外での生活が長くなってきて、日々の食事が自分の健康に与える影響というのを痛感してます。運動せず食べ過ぎると太るし、健康診断で悪い数値が出てきそうな年頃です。

今回「食」に再チャレンジしようと思えたのは、新卒で入った業界へのリベンジ、そしてCo-Founderとの出会いが大きかったです。

暗黒のネスレ時代
学生時代に米国公認会計士に合格して、「俺はネスレの財務でグローバルに仕事して食品業界に革命を起こすんだ!」と意気揚々と入社したつもりが、最初の配属は営業・関西支社でした。(キックボクシング部主将で後楽園ホールやRISEで試合をしてたので、キックボクサーの印象が強かったんだと思います)

2010年前後にキットカット新幹線を東海キオスクさんとコラボで発売。商品企画から店のエンド陳列まで自分でやりました。ファイナンスで海外経験あります!みたいなキャリアで店の陳列を3年もやったことあるのは僕くらいじゃないか

バリバリ、ドメな食品業界の営業職。なぜ「暗黒の」ネスレ時代と書いたかと言うと、自分の思い描いていた働く姿と、そのギャップを埋めるのに3年苦しんだけど、結局耐えれず、何も結果を残せずに辞めた苦い思い出があるからです。当時は特に何を成し遂げたいかが特に定まってないまま仕事をしていたので、目の前の仕事を嫌々こなす状態でした。

食品会社の若手営業職の仕事内容、私の場合はこんな感じ

  • 関西のイズミヤ、オークワ、万代といったスーパーの店舗に実際に行き、ネスカフェを棚に積む。そしてスーパーの加工食品担当と仲良くなり、各店舗から本部にネスカフェの商品補充を促す

  • 加工食品のスーパー本部バイヤー、もしくは卸業者と交渉する先輩の横で補佐。議事録をとる

  • 途中でキットカットの営業担当となり、菓子二次問屋と交渉。10銭単位の攻防戦。卸バイヤーのタバコ率高い

  • 一日三時間以上は企業ロゴの入った車で爆走。車内で昼寝休憩。

今思えば大変貴重な経験で、特にスーパー店舗の裏側、本部における棚割決定プロセス、加工食品・菓子の卸売りでの交渉と、現場でしか得られない知識、経験で今でも重宝しています、ただ当時は焦りの方が大きく、辛かった。。

自分の食べるもの、特に加工食品の裏ラベルは呪文のような栄養表示になっていて意味不明。学生時代はキックボクシングの減量もあったので、栄養表示をキチンと理解できるようになりたい!なるべく体にあったものを摂取したい!という欲求は当時から変わらず。というのがこの業界に興味を持った原点です。

なんで起業コース?
この事業をしようと思えたのは元々Co-FounderがFood as a medicine、食で健康を支える事業で試行錯誤していた瞬間に出会えたのが大きかったかと思います。最初はエンジェル投資家という立場で1年関わったのですが、自分でやりたいことが溢れすぎてJoinを決めました。

Teatisでどんな課題を解決したい?
最終消費者に直接食を届ける事業体として、その人の身体にとって悪い、もしくは合ってない商品は売るべきでない、というのが僕の意見ですし、最終消費者の判断力だけに栄養ラベルの読み取りを任せるのは無責任かなと思います。Teatisではこの小売業界のジレンマに挑戦してみたいです。

自分が「食」で課題に感じていることは 1) 健康の定義は人それぞれ違うのに 2) コンビニやスーパーで売られる商品は棚割り競争が激しく、塩分・糖分が高いものに偏りがち 3) しかも大手食品メーカーが提供する商品は売れ続けなければいけない、4) そもそも食品の裏ラベルは読みづらいです。

  1. 健康の定義は人それぞれ違う

アジア人、男性、30代で運動も週7でする私にとっての健康的な食事と、50代女性の欧米人であまり運動もしない方との必要な食事、栄養は違うし、美味しいと感じるかどうかも、継続的に健康な食事をするには重要なファクターかと思います。ただし人それぞれに合った商品がアクセスしやすい状態に今あるかと言われると、それは難しいと思います。それは二番目に挙げる点。

2.コンビニやスーパーで売られる商品は棚割り競争が激しく、売れるために塩分・糖分が高いものに偏りがち

大手コンビニの棚の、目の高さ(売れやすい位置)に商品を置いてもらうことは食品メーカーにとって非常に大事です。POSデータはリアルタイムに小売側でレビューされ、定期的に商品が入れ替えになります。

そうなるとブランド力があって認知度が高い商品が棚に残るようになる。もしくは売れやすい商品が残る。売れやすいように、美味しいと思ってもらうように、糖度と塩分濃度が高く調整された商品が多くなるという悪循環。カロリーオフ!だけど糖質量が多かったり、各国の基準によっては人工甘味料の取り扱いが違ったりと。問題は根深いです。

また、日本で戦後まもない頃は、糖分、カロリーが高い方が手軽にとれて保存が効く方が重宝された時代もありましたが、今は違う形で十分に栄養が取れる時代です。それなのにその頃から栄養成分が特に変化もない商品のブランドが、長年かけて強くなりスーパーの棚を占拠してるというスーパー・メーカー側のジレンマとあるかと思います。

3.それでも大手食品メーカーは売り続けなければいけない

身体に悪くても売れる商品は、小売としても消費者が求める限りどうしても棚に置くケースがあると思います。カロリー摂取はできるが、身体作りには向いてない。Empty Calorieなんて言葉もあるくらいで、しかもそういった商品がめちゃくちゃ美味しかったりします。

4.食品ラベルは読みづらい
これは説明不要かもしれませんが、原材料を読んで全てを正確に把握できる人は非常に少ないのではないでしょうか。また糖アルコールといった成分は米国で表示規制もなく、Hidden Sugarとして使われたりします。

自分にあった健康に良い食に気軽にアクセスできる、というテーマは、今まさに機械学習が発展してきており、YouTube関連動画のオススメは洗練されてきてますよね。ただし、もっとデータを活用して、栄養・味を解明していき、個々の健康状態に合った食品をオススメする動きがあっても良いと思います。

更には、所得と健康寿命に相関があるという状況も、人として何らかの形で助けたいとも思っています。

続く。。

#フードテック

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