食事/荒木経惟


アラーキーの
愛称で知られる、
写真家の
荒木経惟さん著


『食事』



今日
お昼ごはんに
長崎の鯵を焼いて頂いた

お皿に残った骨と頭を
眺めていたら
この写真集を
思い出し
本棚から取り出した


本の中は
アラーキーさんの
奥さま、陽子さんが
退院後、作られたお料理の
接写
接写
接写
これでもか
の、
接写
接写
食い入るような
吸い込まれるような
超接写
の、
連続


途中
数ページある
活字表記では
何を食べたか、だけ
ひたすらに羅列

すがすがしく
いさぎよい

加えて
1ページだけ
アラーキーさんの筆跡

「食事は死への情事だった」
と、記されている



ご存知の方も居られると
思いますが、

アラーキーさんは
かつては
トラブルから
ニュースになったり
しているし
世間一般的には
なんというか
異色ゆえ
色眼鏡で見られることも
あったかもだけど、

わたしは
彼の本が
好き


女性の裸体も
あんなこんな
撮りまくるけど
どれも
土偶に見える

おとしめる「以下」も
おおげさな「以上」も
ない、
土偶

どんな過激っぽい写真でも
かわいた
あたたかさが
街の雑踏や
ベランダの花や
空や猫へ
向けられるのと
等しく
対象を
包んでいるかのよう

(荒木経惟写真集全集20
『センチメンタルな5月』)


生きてるって、
時に
ざらついてる
生々しく
匂いと温度と何かがある

食べものみたい

だからいい

きっと、

異物を
噛み砕き
噛み締め
味わえるように
できている

毎日

くり返し
くり返し





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?