こと葉たち 凪と風 / 詩




海に行かなくても
凪に会えるんだよ。

あなたは言う

潮の満干期は
何も女性に
限らないんだよ

静かに皮膚に
手を当てがって
じっとしていれば
発見できる

呼吸のそれとは
異なるんだよ

内巻き
外巻き
繰り返し

誰しも
海に行かなくても
満ち引きを
生きてる

なら、
凪もあるだろうね

夕刻のそれは
お祭りのような
昼間の終わりを
告げる

終われることの
止まれることの
やすらぎ

海に行かなくても
凪れるらしいよ

風が
止まる

陸の
上の

潮が

ぴたり


止む

海に行かなくても
凪れるんだって

いつ
なんどき
でも

凪を
みずから
興すなら

風も
みずから
きっと
起きるだろう

それは
真新しい
何か、
かも
しれないよ

違う。なんて、
誰も言って
なんか
ないよ

そうで
ありたいのなら
そうで
あることを
はばむ
何ものも
はじめからなく

ほかの
誰も
何も
言ってなんか
ない



だれもいないからね




海に行かなくても
凪と風は

海に行けなくても
凪と風は

そのまま
あなたのものだと
あなたは言う

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