ファンの戯言。僕の大好きなラーメン屋「豚風。」はなぜコアなファンが多いのか?マーケティング視点で考察する。
はじめに
ラーメン、それは人々を虜にする食べ物であり、食べ過ぎると健康を害し、さらに夜食べるラーメンは至高であり、背徳的な行為でもある。
全国のラーメン店舗数は24,257軒(2021年)あるとされ、現在では、日本独自の文化として、成立している。例えば、Twitterの初期(2008年)からラーメンを食べた感想とともに、写メ(死後)添付されたツイートはよくみられていた。
一時期に一世を風靡したSNS「mixi」では、ラーメン二郎コミュニティが2004年から開始している。
「ラーメン文化は、食べる行為を超えたのだ。」
最近、私がハマっている「豚風。」さんというラーメン店では、お客同士(いわゆるファン)の交流が活発であり、独自のコミュニティを形成しているくらい人気である。
なぜこの「豚風。」は人気なのか、コアなファンがいるのか、マーケティング目線で分析を行なってみた。
豚風。とは?
銘店【麺屋一燈】で4年ほど修業し、その後、神奈川県元住吉の行列店【豚星。】で研鑽を重ねた荒井店主が、2021年11月1日独立店として東京都品川区旗の台に創業。
二郎インスパイアの銘店【豚星。】で磨き上げた腕を振るう実力店。
店主荒井さんは、中華料理店で働いていたとのことであり、料理のレパートリーがすごいらしい。
「豚星。」も人気であるが、今回は私が好きな豚風。に焦点を当てる。
「限定」による、食べる「プレミア感」
豚風。には限定メニューというものがある。
↓は私が最も好きな限定「こんぶ。」
限定メニューの「こんぶ。」
限定は、一定の期間のみ食べることができる限定ラーメンであり、次々の内容が変わっていく。その時に食べれなければ、(当分)中々食べれないものである。
さらに、「午前と午後で異なるメニュー」も展開している。
この今しか食べれない、限定感が、ラーメンを食べて写真をあげるファンの心をくすぐるのだろう。
いわゆるプレミア感である。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの資料によると、
https://www.murc.jp/uploads/2013/05/cmc_mr_140501.pdf
とのこと。
また、プレミアム化が、成功するための五つのポイントとして、
機能・知覚品質に、既存商品との差があること
プレミアムの背景にある「ものがたり」があること
手の届く価格設定
ブランド・プロミスの死守
先行投資余力
豚風。の限定に照らし合わせ見ると、
機能・知覚品質に、既存商品との差があること
→通常メニューとの差がある(スープやトッピングも違う。通常メニューももちろんうまい)
プレミアムの背景にある「ものがたり」があること
→SNSの拡散によるそこ(旗の台の豚風。)でしか食べられない感やこだわり、店主の想いなどのツイート。2周年のイベントも最近開催された。
手の届く価格設定
→高くても1300円であり、昨今のラーメンの価格としては許容の範囲。
ブランド・プロミスの死守
→麺やスープ、材料へのこだわりはしっかりと顧客にも共有されている。
→限定でもこだわりの麺は共通であり、創作ラーメンは豚風。というイメージもついている。
先行投資余力
→ここは豚風。さんにしかわからない所であるだろうが、豚星。さんでも行なっていることから、問題ないだろう。
類似したビジネスモデルを行う、お店の紹介
3ヶ月しか食べられない店kitchenわだの
このお店は、3ヶ月限定で、コンセプトに沿った内容のメニューを出す、面白い取り組みを行なっている店である。
こちらも、豚風。の限定メニューに似ているところが多いかもしれない。
UGCが生成される
過去のブログでも紹介したが、ラーメン(ファン)業界は、UGC(ユーザー投稿コンテンツ)が発生しやすい。
UGCが生成されやすい理由として、このブログ(最近の女子大生が「ラーメン画像」をSNSに投稿する3つの理由)で理由が考察されており、とても参考になる。
・金銭的理由(手に届きやすい)
・希少価値(自分では中々作れない)
・親近感(周囲から親近感を持ってもらえる)
これらの理由からSNSで拡散されやすいと考えられる。
また、このUGCを使ったマーケティングフレームワーク
「ULSSAS」
というものがあり、
これもラーメン業界全般に起こりやすいフローとなっていることがわかる。
私もよく、SNS検索でラーメンの内容のものを探し、行ってみるか〜となる。
また、Google検索においては、
ラッコキーワードで見てみると、しっかりと検索されていることがわかる。
これは、Google trendsからもわかる。特に2019年あたりから、検索数が増えている様子が窺える。
ラーメンというUGCが生成しやすいモノという基盤がありながら、プレミア感を出すことで、さらにULSSASのサイクルが回っているのではないか。
コミュニティに関するマーケティングフレームワークに照らし合わせる
次に「豚風。」コミュニティを確認しているので、コミュニティ・マーケティング目線で分析を行う。
SIPS
「SIPS」というこちらもコミュニティに関係のあるフレームワーク。こちらも、豚風。で起きていることが当てはまっている。
特に「参加」に関しては、顧客同士で、飲みに行ったりとコミュニティが出来上がっていることが確認されている。また、ロイヤルカスタマー(ヘビーユーザー)や、エバンジェリスト級の顧客もツイッターを見ればわかる。
さらに、この方々を中心に、情報が拡散し、さらにファンを集めている様子が窺える。
コミュニティ・マーケティングミックス
こちらは、コミューンというコミュニティプラットフォームを提供している企業の方と知り合いになった時に教えていただいた、フレームワーク(Twitterにも情報があります。)を、豚風。で行われているものと照らし合わせてみた。
それが下図のようになる
主に、「限定メニュー」と「ファンの活動」、「ラーメン屋の営業」が中心のマーケティングとなっていると考えた。
限定メニュー
限定メニューに関しては、ファンを生成するための重要な施策となっていると考えたため、上図の内容と考えた。(上でも内容書いたので、ここでは割愛)
ファンの活動
ファンの活動に関しては、SNSでの投稿が中心だが、コアなファンの活動も確認している。例えば、
・コアなファンが、違うコミュニティ(例えば、競馬)へ豚風。を紹介する
・コアなファンが、店舗貸切飲み会イベントを開催する
などがある。
このような活動で、豚風。はファンを増やし、LTV(生涯価値)を大きくしているのではないか。(豚風。TシャツもLTVの貢献になるとも思う。)
最後に
最後に、豚風。に出会えたことは、2023年で最も良いことの一つであった。なぜなら、
・美味しいラーメンにであった
・コアなファンとお友達になれた
・コミュニティ・マーケティングについて考えるようになった
からである。
豚風。のあらいさんと、ラーメンをこよなく愛す弁理士さんに感謝の意を示し、このブログを終える。
豚風。のファンイベントの詳細は↓
以上
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