【ひとくちふぃじっくすVol.1】バスが止まる前に立ち上がっちゃいけないのはなぜ?

こんにちは。LIFE&C HOKKAIDOインターン生のユウです。

今月から、ひと月に1つ”身近な科学(とくに物理)”をテーマに記事を書こうと思います!

みなさんは、バスに乗っているときこんなアナウンスを聞いたことはありませんか?

「バスが完全に止まるまで立ち上がらないでください。」

なぜ、こんなアナウンスがされるのでしょうか?実際、バスが止まるまえに立ち上がっている人はいますよね。

おばあちゃんとかが、止まる前に立ち上がってよろけてしまっている光景も見かけることは少なくないと思います。

そう、バスが止まる直前には、よろけそうになるんです。

そこで今回は、”安全なバスの乗り方”をご紹介します。

・・・といいつつ、答えはもう出てしまっています。バスが完全に止まってから立ち上がればいいんです。といいつつ、この”人がよろける原因の追究と応用”を考えることには価値があります。その仕組みを理解すれば、まだ見ぬ危険を察知したりすることができるからです。

実は、この背後には、我々の生きる世界の根源ともいえる原理が潜んでいます。

それが、ニュートンの力(ちから)の法則です。

ニュートンといえば、聞き覚えがある人もいるかもしれません。りんごが落ちるのを見て、万有引力を発見した(*これは正しくないとも言われています。)

さきほど紹介した”よろけてしまう”という現象は、”力が加わったから、よろけてしまう”と考えることができ、ひとがよろける原因として”力”という存在を考えてみましょう。ニュートンは実験をして、その結果から、力の性質をまとめました。

簡単に言えばこれは、”どんなときに人はよろけるか?”というルールをまとめたものです。

ニュートンの運動法則は3つありますが、今回はそのうちの1つを抜き出して紹介します。

それは、

”力の大きさは、短い時間での速度の変化の大きさに比例し、物体が重いほどかかる力の大きさは大きくなる”


というものです(*)。これが今回覚えていただきたい法則です。

ミソは、速度の大きさに比例するわけではなく、速度の変化の大きさに比例するということです。

つまり、短い時間で速度がかわるときには強い力がかかり、長い時間で速度がかわるときにはそこまで力は変わらない、ということを言っています。

では、さきほどのバスの中での話に戻ってみましょう。

バスはだいたい、結構急に止まりますよね。長い時間ブレーキを踏みながら止まることはあまりないと思います。つまり、速度の変化の程度が大きいということです。

このとき、椅子に座っているときは身体の重心が比較的下の方にあり、座っている人というのは揺れに対して強い状態といえます。

しかし、バスが止まるときに急に立ち上がってしまった場合のことを考えると、まず身体はこのバスの速度の変化による力を受け、それに加えて、足に力をいれて立ち上がることに起因する”床から受ける力”も加わってしまい、重心の位置も変わってしまっています。これは結局揺れに対して弱い状態になっているということです。

これが、バスで立ち上がった人がよろけてしまう原因でした。

では、よろけないようにするにはどうすればいいでしょうか?

・・・そうですね。バスが止まってから立ち上がればよいでしょう。この場合、短い時間(この場合、バスが止まる直前から止まった瞬間までの時間でいいでしょう。)でのバスの速度の変化というのはほとんど0です。このとき、力はほとんど加わりません。

いかがでしたか?物理学はなにか難しい話ばかりするよくわからない科目だと思っていた人もいるかもしれませんが、実際にはこのような身近な現象の原因を追究することもしているんです。

(*この記事では物理を学んでいない読者を想定しており、正確な表現ではありません。)

次回は、半導体って、なんなの?というテーマで書いてみようと思います。
北海道にラピダスっていう半導体メーカーがくることは知っているけど、半導体ってどういうもので何の役に立っているの?という方にむけて書いてみようと思います。ぜひお楽しみに!


 

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