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現状使ってる鱗親和75枚

EDHでよくある100枚解説記事にあやかって、現在使っている鱗親和(モダン)の75枚解説記事を書くことにしました。

最近の強化で俄かに鱗親和使いが増えている気がする昨今、新規鱗親和プレイヤーの参考になれば嬉しい&自分自身が改めてデッキの構成やカード採用の意図を振り返りたいと思った…という。そんな記事です。


使用デッキレシピ

現在使用しているデッキレシピは以下の通りです。(2023/10/08段階)


土地(22枚)

土地22枚のうち、1ターン目に確定で緑マナが出る土地(以下、有色ランド)の採用枚数は13枚以上としています。
尚、有色ランド13枚というのはこちらの記事を参考にした数字です。
尚、鱗親和は初手無色ランドからでもオゾリスやバネ葉の太鼓設置で動けるデッキなので、14枚目の有色ランドは不要と考えています。

有色ランド(13枚)

3 森

オイルスリックはええぞ!

基本土地
鱗親和は対戦相手から母聖樹を打ち込まれたり、血染めの月を置かれたりする事が多々あるデッキなので、基本土地の森は最低でも2枚は投入しておきたいです。
3枚目を採用した理由としては…
血染めの月影響下でも機能不全ダニが仕事をする確率を上げたい
②ウルザの物語を狙って使用される母聖樹や廃墟の地の解決時、2枚採用ではデッキの中に森が存在しない…という状況に結構な頻度で遭遇した
…の2点が大きいです

尚、冠雪土地にする必要は特にありませんが、もしもお気に入りのイラストがあるのなら、是非そちらをどうぞ…
と言いたいですが、万が一傑士の神、レーデイン(デスタク)や氷砕き(黒単貴重品室)に遭遇する場合をケアするまで考えて、やはり通常の森を推奨します。100万回に1度しか踏まない相手だとしても、そこで冠雪の森を採用したせいで負けてしまったとしたら、死んでも死に切れませんからね。


4 燃え柳の木立ち

実質3色出る土地。エルドラージとかだと重要

鱗親和の2色土地は2つの宗派があります。それは、フェッチランド+ショックランドを採用するか否かです。
私はあえてフェッチ+ショックを不採用としつつ、その上で確定アンタップイン可能な土地を採用しています。
その理由は…やはり、基本不利となるライブラリーアウトと遭遇した際の相性差を少しでも改善したいと考えたからですね。
鱗親和はメインデッキの合計マナコストが40~45となっており、カード1枚当たりの平均マナコストは0.7前後です。そこに合計マナコストにして20までのカードを追放するターシャズ・ヒディアス・ラフターを打ち込まれたとすると、雑な計算ですが、30枚ほどのデッキが削られる事になります。

そんなライブラリーアウトとの戦いにおいて、わざわざ書庫の罠に自ら飛び込む必要はありません。高揚や探査といった呪文を活用するワケでもないのですし、フェッチランドを使う必要はないのです。

そんなワケで燃え柳の木立ちです。
このカードは"確定アンタップイン"が可能であり、かつ"自分のライフポイントを削らない"という、非常に珍しい2色土地となっています。

このうち、"自分のライフを削らない"という点は、バーンや果敢アグロのような苛烈な攻めを繰り出してくるデッキ相手で結構なメリットとなります。

また、相手に1点のライフを献上するというデメリットはあまり気になりませんし、もしも相手がグリクシスシャドウの様な死の影を採用デッキであったならば、1/1サイズの死の影を一切優先権を渡す事なく処理できるというメリットにもなります。
※土地のセットとマナ能力の起動には相手の優先権介入の余地が存在しないので、燃え柳をプレイ→相手に1点ライフを献上して緑を出す というアクションに対し、相手は何も出来ません。マナ能力にスタックでフェッチを切ろうとしたならば、優しく指摘してあげましょう。

そもそも、鱗親和というデッキは無色タッチ緑とでもいうべき特殊なデッキなので、燃え柳の木立ちが一切色マナを出さないままでゲームを終える…なんて事も多々あります。
総じて安定度が高く、デメリットも薄く、使いやすい二色土地だと感じています。

ちなみにですが、そもそもどうして鱗親和が緑以外の色をタッチするんだ???という点については、クリーチャー編でお答えしますのでお楽しみに。


2 地平線の梢

枠無しフルアートがあるのも推しポイント

上記燃え柳の木立とは異なり、常にマナ捻出のためにライフを要求する土地です。重ね引きしてしまうと結構なライフを要求される事になりますが、ロングゲーム時に1ドロー変換が可能という唯一無二の能力を所持しています。
終盤にトップデッキした場合など、土地のプレイ権利+1マナで使用可能なサイクリングとして使用し、そこで電結の荒廃者や歩行バリスタ、アガサの魂の大釜に繋がって勝利…という事も珍しくありません。
そんなワケで地平線の梢でした。
ライフ損失を気にする場合は枚数を1枚に減らして他の土地と差し替えても良いと思いますが、1枚は絶対に採用する事をお勧めします。


1 ミレックス

スタン需要で最近値上がりしました

新たなるファイレクシアが生んだ使い捨て5色土地であり、毒性1を持ったダニ・トークンを生成する能力を持った、アンタップイン可能な土地です。
基本的に使い捨て、かつミレックスをプレイしたターンにしか色マナが出せないため、インスタントタイミングでの動きが多いデッキでは不採用となります。…が、鱗親和は採用されているほぼ全ての呪文がソーサリータイミングでしか唱えられないので、前述のデメリットは一切気になりません

生成されるダニ・トークンは1/1という小粒生命体ですが、アーティファクト・クリーチャーである点が非常に重要となっています。
電結の荒廃者とは非常に強いシナジーを形成しており、荒廃者の餌や接合先になります。ウルザの物語が生成する構築物・トークンのサイズアップにも貢献しますし、もしもアガサの魂の大釜から歩行バリスタの能力を継承されたならば、ダニが引導火力を叩き込んでくれる事もあるでしょう。(この場合、ダニの毒性は誘発しないので注意。感染と毒性の違いについて確認しておきましょう)

そんなワケでミレックスでした。個人的にですが、地平線の梢を1に減らすのであれば、ミレックスの2枚目を追加する事を推奨します。
梢は手札アドバンテージ供給土地、ミレックスはボードアドバンテージ供給土地…と、貢献する方法は違えども、ロングゲーム時におけるアドバンテージ源としての役目が重なっているからですね。


2 耐え抜くもの、母聖樹

ホーリーマザーツリー

ネオ神河が生んだ最強土地サイクルの緑、母聖樹です。
基本的に緑マナソースとして1ターン目から気楽にプレイしますが、他の有色ランドが手札にある場合は手札に抱えておきつつ、相手が土地コンボだった場合には嬉々として投げつけます。

メインボードでは帰化を内蔵した土地くらいの役目ですが、サイド後には相手デッキに投入される載される各種鱗対策カードを逆に狩る役目を持ちます。
例えば、鱗親和の盤面を一掃する一時的封鎖や、各種起動型能力を封じる石のような静寂・呪われたトーテム像、死亡誘発能力を無効化する安らかなる眠り・虚空の力線等ですね。
魂力は起動型能力なので呪文を唱えているわけではなく、よって対抗呪文などの打ち消し呪文では対処ができません。この点が、母聖樹を最強の置物対策カードたらしめていると思っています。

何気に、土地なので無色のカードであり、よって古きものの活性で手札に引き込めるという特徴も持っています。この点もまた、他の帰化系呪文には無い特徴ですね。

対ウルザトロンでもウルザランドを破壊して展開を遅延させるのに役立ちますが、補填で持って来る森のせいで色マナ供給が安定してしまい、サイドインした虚空の鏡が効かなくなるケースもあり得ます。そういう状況も想定しつつ、対トロンにおいては母聖樹を投げるべきか否か、冷静に考えましょう。

独創力コンボが対象に取った宝物トークンを母聖樹で破壊してフィズらせたり、血染めの月を破壊して墨蛾の生息地を蘇らせたり…と。様々な場面で母聖樹には助けてもらいました。

伝説なので重ね引きのリスクはありますが、それでも2枚採用するメリットの方が上回るだろう……と考え、採用枚数は2枚としています。一時期はサイドボードに3枚目の母聖樹のスロットを用意していたくらいでしたが、最近はサイドボードの枠もカツカツでして、泣く泣く3枚目はお役御免に…。


1 ペンデルヘイヴン

A25のエキスパションロゴ入りがお気に入り

レジェンドに収録という古き時代のカードでありつつ、時のらせんでタイムシフトした事によってモダンでも使用可能となった伝説の土地です。
アンタップイン可能、かつ緑マナが出る…という基本スペックに加えて、「1/1サイズのクリーチャーに+1/+2修正を与える」という他に類を見ない能力を所持しています。

鱗親和のクリーチャーは硬化した鱗影響下では2/2以上サイズである事が多いのですが、各種パーマネントの効果によって生成される飛行機械・トークンやダニ・トークンは1/1サイズのため、前述の効果の対象となる事が可能です。
また、後に紹介する墨蛾の生息地も基本サイズが1/1である為、上記効果の対象となる事が可能です。

ポイントは2/3というサイズでして、これはモダンで大暴れしているファッキン窃盗エテクソモンキー敏捷なこそ泥、ラガバンを一方的に打ち取れるサイズです。
ペンデルヘイヴンを採用する事で、環境を定義するクリーチャーの一角を、一方的に打ち取れる可能性が生まれる…とあれば、採用されるのも納得でしょう。
尚、伝説の土地なので重ね引きのリスクを考慮して1枚のみの採用としています。

また、忘れがちな事ですが、この能力は対戦相手のコントロールしているクリーチャーであったとしても、サイズが1/1であったならば対象に取る事が可能です。
だから何やねん! と思われるかもしれませんが…例えば、指輪所持者となった1/1のクリーチャーが攻撃してきた際、ペンデルヘイヴンの効果で無理矢理にサイズを2/3にする事で、自分の2/2のクリーチャーがチャンプブロックをする といった小技が可能です。
その他、1/1のシステムクリーチャーのコピーとなった幻影の像をペンデルヘイヴンの効果で除去する といった小技もあります。
余りにも限定的な状況ではありますが、「ペンデルヘイヴンの効果は対戦相手のクリーチャーにも使える」という事だけは、覚えておいて損は無いと思います。

・最後に
有色ランド13枚は1ターン目の緑マナを安定させる為の必須条件です。
また、ショックランドやファストランド等の特定条件下でタップインせざるを得ない2色土地については、よっぽど土地の有するバリューが大きくない限りは不採用としています。少なくとも、2色のマナが出る 程度では採用をする事はできないな というのが現状の考えです。
逆に言うなら、色マナ云々どころではない多大なシナジーが期待できるならば確定タップインランドでも採用も検討できる…ということで、以下の2つを検討枠に挙げておきます。

・ラノワールの再生地

統率者デッキで再録しまくるけどfoilは初版のみという…

確定タップイン移植ランド。小技が多いのですが割愛します。コイツを採用するとネオフォームのアロサウルス乗りが着地した瞬間に移植が誘発し、本来は不可能なハズの"ネオフォームを唱える前に四肢切断を打ち込んでアロサウルス乗りを除去する"というタイミングが生じたりします。相手は詐欺に遭ったような顔をします。
高速化するモダン環境では採用は難しいと判断して見送っているが、14枚目の有色ランドを入れるならば、採用したいと考えています。

・魔力倉庫

アーティファクト土地なのを対戦相手が忘れがち

確定タップイン接合ランド。小技が多いのだが割愛その2。上記の再生地同様に鱗親和ではシナジーが多いのだが、硬化した鱗に使う緑マナが出せないという欠点を有している。その為、現状は不採用。アーティファクト土地という特性を有しているので、万が一オパールのモックスが解禁されたならば、採用を検討するかもしれないですが…果たして。


無色ランド(9枚)

ウルザの物語 4枚

恐らくモダン最強土地の一角

現モダン環境を定義するカードを挙げよと言われたならば、間違いなく名前が挙がるであろう強カードです。
2章で生成される構築物・トークンは、物語のみに限定しても3/3が2体(構築物2体+3章でサーチするアーティファクトが1個、合計3個なので3/3)ですが、鱗親和の場合は1~2ターン目にもアーティファクトを盤面に設置している事が多いので更にサイズは上昇し、概ね5/5が2体程度が基礎スペックとなります。

また、重要なのは「土地である」という点でして、これはつまり思考囲いや悲嘆といった手札破壊呪文で落とせないクリーチャーという事です。モダンの上位に位置する赤黒想起の理想ムーブである1ターン目悲嘆リアニメイトをされたとしても、ウルザの物語から生成された構築物トークン2匹&3章でサーチした絆魂装備品がライフレースを破壊して巻き返す という状況は珍しくありません。

3章能力でサーチ可能なアーティファクトは多岐に渡り、基本は鱗親和専用カードのオゾリスや微光蜂、ザーバスを盤面に展開することで鱗親和軍団を盤石に育て上げ、+1/+1カウンターシナジーを最大限生かすことが多いです。
また、相手がバーンの場合などは、影槍やバジリスクの首輪をサーチして絆魂を持った構築物で殴りかかって速やかに相手が投了するように仕向ける事が多いですね。

上記の他、3章でサーチするアーティファクトの候補には、特定デッキに対するヘイトアーティファクトやマナ加速用アーティファクトも多いです。
例えば、墓地利用デッキに対してトーモッドの墓所やエレヒの石をサーチして墓地を追放、コンボデッキに対して真髄の針をサーチする事で対処。エンチャント・アーティファクトデッキが相手の場合には機能不全ダニをサーチしますし、瞬間的にマナを加速したい場合にはバネ葉の太鼓をサーチする事もありますし、除去が多い相手には溶接の壺をサーチして構築物トークンを守りつつライフレースを押し込む事もあります。
総じて3章のサーチ対象アーティファクトは選択肢が非常に多いので、定期的に該当するアーティファクトを検索し、何か面白いアーティファクトは無いか? と調査するクセを付けると良いでしょう。
……例えば、血の長の刃なんか、隠れ鱗親和カードとしてオススメだったりなんか……。流石にオタクカードかな…。

一方、これ程までに強い土地カードでありながら、英雄譚であるが故の弱点も有しており、特に有名なのは血染めの月や高山の月、広がりゆく海によって一方的に破壊されてしまうという点でしょう。細かいルールはジャッジの方にお任せしつつ、ザックリ説明するならば、ウルザの物語は章能力を失うと問答無用で墓地に叩き落されます。……悲しいなあと思うと同時に、この弱点がある為にモダン環境において禁止されず、2年以上も放置されているのではないか? とも考えています。

また、忘れがちな事ですが、戦場に出たばかりで1章の能力を解決していない状態のウルザの物語は、マナ能力を有していません。(レンと次元壊しなど、別オブジェクトの能力でマナ能力を得ている場合を除く)
つまり、ウルザの物語をプレイ→1章がスタックに乗る→1章の能力を解決する前にエンチャント破壊や土地破壊を受けると、無色マナすら出せずに破壊されてしまいます。自分がウルザの物語を使う場合も、対戦相手にウルザの物語を使われる場合も、この点は覚えておきましょう。

一方、この弱点は対戦相手も熟知している事が多いので、あえて相手のウルザの物語1章を解決させる事で、「相手は活性の力を構えていそうなだけど、ウルザの物語の1章解決をスルーしたぞ? という事は、手札に活性の力は無い!」という具合に思考を誘導させ、そのまま別のアーティファクトを展開した後に物語と他のアーティファクトを活性の力で破壊する なんてゲーム展開もありますね。

総じて、モダンを代表する超パワーカードでありつつも、英雄譚であるが故の脆弱性を抱えたカードです。採用枚数4も納得の風格ですね。
仮に今の鱗親和から禁止カードが出るとしたら、ウルザの物語でしょう。
完全無欠のパワーカードでは無い為に禁止を免れているのではないかと思いつつ、毎回禁止改定のたびに「もし物語が禁止されたら…まあ、ミシュラの工廠でも入れるか…」なんて事を考えています。
ウルザの物語についてはまだまだ語る事があるのですが、流石に長すぎるのでこの辺りで切り上げます。


墨蛾の生息地 4枚

SL版の絵は味わいが深い…

新たなるファイレクシアが生んだ感染持ちミシュラランドです。
個人的には、モダンにおけるミシュラランドの中で最強クラスの1枚だと思っており、後述の通りに鱗親和におけるシナジー具合が凄まじいということで4枚採用しています。
(ちなみに、他の最強ミシュラランド候補は変わり谷&バグベアの居住地です)

確定アンタップインと無色マナ生成という最低限のスペックに加え、1マナを支払う事で1/1の感染と飛行を有したアーティファクトクリーチャーに変身する事が可能です。
この感染という能力が非常に重要でして、墨蛾の生息地が与えるダメージは、プレイヤーに対しては毒カウンターに置換され、クリーチャーに対しては-1/-1カウンターの形で与えられる事になります。

鱗親和は+1/+1カウンターを各種シナジーによって増幅・移動させることを得意としており、その結果、小粒なクリーチャーであったとしても超大型サイズにまで成長します。
墨蛾の生息地も当然ながら、1/1なんていう可愛いサイズで殴りかかったりはしません。基本的に5/5以上の2撃必殺、結構な頻度で10/10以上の一撃毒殺サイズで相手に殴りかかります
最近はアガサの魂の大釜から歩行バリスタの能力を継承されて、毒の弾丸を対戦相手の顔面に直接叩き込み、殴る事すらせずに対戦相手を毒殺しています。無法ですね。

また、毒による勝利は相手のライフポイントに関係ありません。相手がヘリオッドスパイク等の無限ライフコンボを決めたとしても最後まであきらめず、毒殺を狙える…というのは鱗親和の一つの強みだと思っています。

また、クリーチャー化するとアーティファクトになるのも非常に重要なポイントで、ウルザの物語の構築物トークンのサイズを上昇させる、電結の荒廃者の餌になる…等、アーティファクトシナジーの潤滑油となる役目も所持しています。オパモが使えた時代は無理矢理色マナ出すためにセルフクリ化してたモンじゃったわ…。
盤面のアーティファクトを増やしたいだけであれば、自分の生んだ無色マナでクリーチャー化すれば良く、ミシュラランドにとって重要な召喚酔いも一切関係無い点は便利ですね。
セルフクリーチャー化というと、バネ葉の太鼓を無理矢理起動させる為にも使えるので覚えておきましょう。盤面にバネ葉の太鼓・墨蛾の生息地・ウルザの物語…のような無色土地しか無い状況であったとしても、物語の無色マナで墨蛾をクリ化→墨蛾でバネ葉を起動して緑マナを生成する…のような形で、無色2マナを緑1マナにフィルターするような動きが可能です。

と、ここまで強さを語った墨蛾の生息地ですが、弱点も多々存在しています。
クリーチャー化後のサイズが1/1と小さいので火力除去の的になりがちな事や、アーティファクト除去に引っかかる事。
感染によるダメージは毒に置換されるので、残り数点のライフを狙った方が早いケースなどで、どちらのプランを取るべきか? の判断を迫られる事。
何より、10/10サイズの毒殺一撃死プランは鱗親和側としても盤面のリソースを消費した上でのギャンブルである事が多く、墨蛾の育成に合わせて孤独や致命的な一押しを唱えられた結果、取り返しのつかない状況に追い込まれてしまう事…等でしょうか。

あくまでも毒プランはサブプランとして頭の片隅に置いておきつつ、使い勝手の良いミシュラランドとして活用しています。


宝石の洞窟 1枚


梢と同じくフレームレスフルアートが美麗

後手0ターン目から盤面に設置できる土地です。限定的な条件下でしか色マナが出ないので、基本的に荒地扱いで採用されています。

メインボードでは荒地以上の期待はしておらず、言ってしまえばお守り枠ですね。ダイスで負けた時に初手7枚にあればちょっと嬉しいな…程度の存在です。

一方、サイドボード後は重要度が上がります。
というのも、鱗親和はハンデス・カウンター呪文がほぼ無く、コンボ系に対しては妨害アーティファクトを設置して蓋をするという対処をするケースが多いのです。
そういう時に、コンボの相手が先手で動いた場合、後手1ターン目であったとしても2マナの妨害置物を設置できるというのは非常に大きなアドバンテージとなります。
例えば、トロン相手の後手1ターン目に虚空の鏡が間に合う、感染相手の後手1ターン目に呪文滑りが間に合う、墓地利用デッキ相手の後手1ターン目にアガサの魂の大釜が間に合う、レンと6番を使うデッキ相手の後手1ターン目にアガサの魂の大釜を構えてフェッチランド回収封じが間に合う、鱗親和同型相手で後手1ターン目に機能不全ダニを出しつつ緑マナを構えるのが間に合う…等ですね。

サイドに更に1枚の宝石の洞窟を追加し、後手追加専用枠を準備しておく…というのも度々議論になりますが、現状の自分のデッキであれば、そこまでしなくて良いと思っています。
というかサイド15枚がカツカツなので宝石の洞窟のために貴重な1枠を使いたくないし仮に土地を積むとしても3枚目の母聖樹の方が良いと思います。

・最後に
有色ランド13枚以上、かつ合計土地枚数22~23枚…ということで無色ランドの枚数は9~10枚が限界です。そしてウルザの物語と墨蛾の生息地が非常に強いので、宝石の洞窟くらいしか入れ替える枠はありません…が、サイド後後攻にコンボ相手で云々を考えると、ここも不動の枠になりそうです。
仮にウルザの物語が禁止された場合には、追加のミシュラランドや有能な有色ランド、あるいはゼンディカーの夜明けで出た両面土地カード(表面が呪文で裏面が土地のカード)などが候補になるかなと考えています。

クリーチャー(20枚)

4 微光蜂、ザーバス

ザバザバザバザバ…(羽音)

モダンホライゾン2で登場した伝説の接合1クリーチャーです。

テキスト欄に色々と書かれていますが、物凄くザツにまとめると…
①戦場に出る時は接合1なので+1/+1カウンターが1個乗って出る(常在型能力)
②接合1なのでザーバスが死亡すると他のアーティファクトクリーチャーへ乗っていた+1/+1カウンターを移植できる(誘発型能力)
③自分が戦場に存在している時に他の接合クリーチャーが死亡すると、その時に移植する+1/+1カウンターの個数を1個増やせる。接合の誘発型能力時にのみカウンターを増やすので、常在型能力の方は増えない点に注意。
④赤マナ効果で自分のアーティファクト一つを破壊できる。これによりザーバス自身を自爆させ、接合能力によって他のアーティファクトクリーチャーへカウンターを移植できる。
⑤白マナ効果で飛行を得る。イラストがいかにも飛行持ちっぽいのでよく対戦相手に「飛んでます?」と聞かれます。

…ザツにまとめたはずが、長くなりましたね。
とかく、定期的に対戦相手にテキスト確認を求められるカードです。情報量だけでいうとオムナスも同じようなモンだと思うので、これから鱗親和が増えてメジャーデッキ扱いされる様になればテキスト確認される機会も減るのかな…なんて事を思っています。

閑話休題。このザーバス、鱗親和においては非常に良い潤滑油としての働きをします。
例えば…
・1マナ2/2の優秀なクロックとして相手を殴る
・電結の荒廃者の餌となり、自身の接合能力+荒廃者自身の能力の重複で一気に荒廃者のサイズを成長させる
・赤マナ効果で自身や他のアーティファクトクリーチャーを破壊し、接合等の死亡誘発を引き起こす。真髄の針によって電結の荒廃者が指定された場合など、意外と使用するタイミングは多い。
・ウルザの物語の3章でサーチされ、戦場のクリーチャー展開に貢献する。
・前述のウルザの物語3章サーチ状況で既にザーバスが存在していた場合、レジェンドルールによって片方が破壊される。この時、死亡した方のザーバスの接合(誘発型能力)が解決され、戦場に残ったザーバスの効果によって移植されるカウンターの数が水増しされる。ズルい!
・白マナ効果によって空を飛ぶので、濁浪の執政のような超大型クリーチャーの攻撃をチャンプブロックで防ぐ。そして死亡し、接合で後続に+1/+1カウンターを遺す。
…などなど。1マナのクリーチャーとは思えないくらいに多芸な生物なのです。

特に、伝説のクリーチャーのくせに接合を持っているせいで重ね引きをしても問題が無い、というのはザーバスの唯一無二なポイントだと思っています。堂々の4枚も納得です。

一方、サイドボーディング後には1~3枚を抜く事もあります。どうしてもザーバスが必要な場合にはウルザの物語3章でサーチが可能である点や、後述のクリーチャー4種がザーバス以上に強い事が理由です。

また、鱗親和が緑以外の色(特に赤)をタッチする理由が、このザーバスです。白マナ効果も便利といえば便利ですが、赤マナ効果による任意のタイミングでの自軍生物破壊がは死亡誘発効果を多用する鱗親和にとって非常に重要です。その為、ザーバスの赤マナ効果を使う為だけに、鱗親和は赤マナが出る土地を採用しているのでした。

と、いうのが一か月前までの常識だったのだが!!!!!!!!!??!!?!?!?!?!?!?!(詳しくはアガサの魂の大釜のコーナーで!!!!!!!)


4 電結の荒廃者

初代は部族が書かれていないから注意(ビーストです)

最強のクリーチャー1号です。
ザーバスと同じく接合1を有しており、かつ、自分のアーティファクトを食べることで自身に+1/+1カウンターを乗せる事ができます。
これにより、荒廃者が戦場に存在している限り、他のアーティファクトクリーチャーへの除去はスタックで荒廃者が対象を食べることで無効化…どころか、自身の成長に繋げてしまいます。

また、荒廃者が食べるのは自分以外…に限定しておらず、自殺をする事も可能です。よって、荒廃者が成長したところで自殺を行い、墨蛾の生息地や歩行バリスタにカウンターを移植。相手に致命のダメージや毒を与える…という動きも可能となっています。

尚、再録されるたびに絵が変わる事でも知られており、ベーシックな姿をした初代やモダマス1再録版、枠がギラギラ光るのとシャープな形状が特徴的なカラデシュマスターピース版に、スックと立ち上がった姿がアンゴラウサギの様なMCQ参加者プロモ版、ゴジラじみたポーズで直立したSL版に、兎が駆け抜ける2023年末のマジックリーグ版…などなど、絵のバリエーションが非常に多いです。
このうち、初代のみ部族(ビースト)が掲載されていないので注意が必要です。対戦相手によっては、電結の荒廃者の部族を構築物と思い込んでおり、その状況で疫病を仕組むものを唱えて…なんて事もありますから…。

モダン発足時より各種アーティファクトデッキで活躍しており、今後も4枚採用が固定となるであろう。鱗親和を支える不動の屋台骨、その1でした。

4 継ぎ接ぎ自動機械

稲妻で除去したい?3マナ払えよな?

最強のクリーチャー2号です。
アーティファクト呪文を唱えるたびに+1/+1カウンターで自己成長する効果と共に、護法2という絶妙に除去しにくい除去耐性を有しています。
自己成長効果は硬化した鱗系の影響下で2倍、3倍…と効率が上がる上にマナ等不要とあり、極まった時の成長速度は凄まじい事になります。3ターン目に5/5のサイズで相手に殴りかかっている事は珍しくありません。

また、護法2の方も非常に重要でして、現状のモダン環境は単体除去中心環境で、全体除去はごく一部のデッキでしか採用されません。
少なくとも、メインボードで採用される全体除去というと、トロンが使用する忘却石か、青白コンが使用する至高の評決、黒単が使用する滅び、そしてリビングエンドくらいではないかと思っています。
一方、単体除去となると充実しており、例えば虹色の終焉や稲妻、終止に邪悪な熱気に力線の束縛といった優秀な単体除去呪文。孤独と激情の想起エレメンタル。3ハゲ時を解す者、テフェリーのマイナス効果などなど…多岐に渡ります。

そんな単体除去中心なモダン環境において、護法2は非常に輝きます。特に、レンアンドオムナスの様な、大量の単体除去を搭載したグッドスタッフ相手の場合、継ぎ接ぎ自動機械が大暴れして勝つ事も珍しくありません。

そんな有能クリーチャー、かつ、アーティファクトを唱えれば成長する能力持ち自身もアーティファクトクリーチャーという事情により、多く採用すればする程に継ぎ接ぎ自動機械同士がシナジーを形成して強固になる…という事情もあり、採用枚数は4となりました。

環境から単体除去が減り、全体除去を採用するアーキタイプが増加傾向になってきた場合には、枚数を減らします。
また、相手がリビングエンドの場合などは白目を剥いて墓地に叩き込まれ、サイドボーディングでは2マナの対リビングエンドカードと入れ替えます。

4 搭載歩行機械

宇宙戦争(トムクルーズ版)に出たような

最強のクリーチャー3号です。
普通に使うと2マナあたり1/1のサイズで着地し、それ以降も毎ターン+1/+1カウンターが乗り続け、死亡すると1/1の飛行機械トークンに分裂する…という、マナレシオは悪いが場持ちは良いクリーチャーです。

鱗親和の場合、上記初期サイズと成長速度が全て2倍、3倍となり、死亡誘発で生成される飛行機械トークンの数も凄まじい事になります。よって、鱗親和における搭載歩行機械はマナレシオがバケモノで場持ちもヤバくて一度倒したら分裂して襲ってくるヤベェクリーチャーです。

相手に追放やバウンスの除去を使われると性能を発揮しきれませんが、それらを有していない赤黒系デッキが相手の場合には無類の強さを誇ります。環境にラクドス想起やカウンターモンキーが存在する限り、搭載歩行機械は4枚採用されるでしょう。
特に、対戦相手がラガバンを使う場合など、除去呪文1発では置き土産の飛行機械によってラガバンが相打ちを取られてしまい、かといって呪文2枚以上を使って除去すると手札が大損…という、お猿さん絶望して棒立ち厳しい選択を迫る事ができます。

尚、相手が追放除去を多用する場合(=特に、虹色の終焉と孤独を擁する白入りミッドレンジ)や黒力線系の墓地追放置物を用いる場合には少数をサイドアウトする事はありますが、それでも2枚以下にはしません。
搭載歩行機械は盤面に鎮座しつつ、ヒマな時に浮いたマナで成長し、十分育ってから相手を殴るだけでも十分役目を持てるカードだと考えています。

4 歩行バリスタ

カラデシュ!!!本当にすごいんだ!!!!!!

最強のクリーチャー4号です。
搭載歩行機械同様に2マナあたり1/1のサイズで着地しつつ、自身の+1/+1カウンターを1点火力に変換する事ができます。また、4マナを支払う事で自己成長をする能力も持っており、搭載歩行機械程の効率ではありませんが、自己成長も可能となっております。普通に使うのであれば、マナレシオは控えめだけど盤面除去が可能で、本体火力にもなり、一応成長も可能なアーティファクトクリーチャーといった所でしょうか。また、歩行バリスタ本体が対戦相手を攻撃した後、全ての+1/+1カウンターを火力に変換することで、実質2段攻撃のような凄まじい瞬間最大火力を発揮する事も可能となっています。

で、前項の搭載歩行機械は前振りでした。

鱗親和の場合、上記初期サイズと成長速度が全て2倍、3倍となり、当然ながら打ち込める弾丸の数も2倍、3倍であり、効率の良くない成長能力も2倍、3倍なのでそこそこ良い効率となります。よって、鱗親和における歩行バリスタはマナレシオがバケモノで成長はしにくいけど盤面をズタズタにして顔面を殴りながら銃撃してくるヤベェクリーチャーです。

特に電結の荒廃者やザーバスから+1/+1カウンターを接合で継承し、そのまま全弾を発射して勝利など、鱗親和の定番勝ちパターンです。

採用枚数の4は最強クリーチャーだから4! という気持ちもありますが…、鱗親和で唯一のクリーチャー除去カードだから限界まで投入して4! というのが実態です。
鱗親和というデッキはサイズ自慢のアーティファクトクリーチャーが揃っているものの、相手の盤面に干渉できるカードが少なく、メインボードにおいて盤面へ干渉する手段は歩行バリスタの火力くらいです。例えばドルイドコンボのようなクリーチャーコンボデッキの場合、歩行バリスタの有無が勝敗に直結します。

除去札が4枚だけというのいは心もとなくないか?もっと何か無いのか?という気持ちにもなりますが、他のアーティファクトクリーチャー同様に無色のカードなので古きものの活性(4枚採用)でサーチ可能です。そういった構築事情もあり、概ね問題はありません。
でも同型再販でバリスタMk2が出たら活性減らしてバリスタ8枚採用するかも…

・最後に
ザーバスと継ぎ接ぎ自動機械、搭載歩行機械の項目では、メタゲームや対戦相手によっては構築上の枚数を減らす・サイドアウトするといった記述がありましたが、歩行バリスタと電結の荒廃者については今後も永久に4枚投入、かつサイドアウトもしないでしょう。それくらいに、この2種類のクリーチャーは鱗親和の屋台骨を支える最重要枠です。

クリーチャー以外の呪文(18枚)

4 硬化した鱗

なんとエルドレインの森でも再録したんだぜ!

"鱗親和"の"鱗"とは、このカードの事よ!なお、親和と書かれたカードは0枚採用な模様。
そんな、このデッキの最重要カードにして、全てのシナジーの中心を担うカードです。キーカード故に、採用枚数も4枚ですね。特殊な事情でも無い限り、4枚採用は揺るがないでしょう。(レガシーで2マナランド&虚空の盃を採用する場合は2マナの同タイプカードを使うとかはあるかも)
効果は至ってシンプルで、クリーチャーの上に+1/+1カウンターが乗る場合、その個数に1個を追加します。……シンプルですねえ。そこが良い……。

この能力は非常に幅広く影響し、接合クリーチャーが唱えられて戦場に着地する際(接合の常在型能力)にもカウンターを増やしますし、その接合クリーチャーが死亡して別のアーティファクトクリーチャーにカウンターを継承させる(接合の誘発型能力)にも適用されます。当然、クリーチャーの項目で紹介した各種クリーチャーの育成イベント(搭載歩行機械の起動型能力やら……継ぎ接ぎ自動機械の誘発型能力やら…)でも+1/+1カウンターは水増しされます。
重要なポイントとしては、鱗の影響下において別々のイベントで+1/+1カウンターが乗る場合、それらすべてのイベントにおいて鱗による水増しが行われる事でしょう。
例えば、今は不採用のラノワールの再生地を使う場合など、鱗がある状態でザーバスを唱えたとすれば、着地時に+1/+1カウンターが2個乗って2/2……の後に移植が誘発して解決すると+1/+1カウンターが2個乗って4/4にまで急成長する事になります。だから誘発型能力でしれっと+1/+1カウンターを乗せる何かしらが欲しかったんですね…太っ腹、グラングリーではダメだったんですね…

とかく鱗親和というデッキの理想の1ターン目はアンタップイン土地から緑マナを生成し、硬化した鱗を叩きつける事だと思っています。その為の鱗4投入、その為の有色ランド13枚採用。その為の20体クリーチャー選定…などなど、このデッキの構築は、硬化した鱗ありきなんですね。
よって、サイドボーディングでも絶対に数を減らしません。そりゃ当然ですね。

注意点としては、硬化した鱗の+1/+1カウンター増加効果はクリーチャーに乗る場合のみ適用されます。有色ランド編で紹介したラノワールの再生地やら、後に紹介するオゾリスの上に+1/+1カウンターが乗る場合においては、カウンターの水増しは行われないので注意が必要です。
あ~あっ、どこかにアーティファクトの上に乗る+1/+1カウンターの個数も増やしてくれる硬化した鱗Mk2でもあればなァ~!(棒読み


2 打ち砕かれた尖塔、オゾリス

うわああああああ適当な事言ってたら鱗Mk2が出たああああああ

ということで、機械兵団の進軍にて登場した硬化した鱗Mk2です。
能力は概ね硬化した鱗と同じなのですが、微妙な差異があります。
+1/+1カウンターの水増しタイミングはクリーチャー・アーティファクトに乗る時に適用される。よって、後述のオゾリスに乗る時にもカウンターが1個増える。この影響範囲の広さは機械兵団でファイレクシア軍団のキーワード能力であった培養との兼ね合いと思われる。ありがとうエリシュノーン(BIG LOVE)
伝説のパーマネントなので重ね張りは不可能
③自身の起動型能力(ソーサリータイミング限定)で1個の+1/+1カウンターをクリーチャー・アーティファクトに乗せる事ができる。尚、1個乗せるといいつつ自身の効果で水増しするので、最低でも2個乗るので見た目よりもずっと乗る。コメダ珈琲か??????
④サイクリングを有しており、重ね引きした場合も最低限の役目は持てる。何故サイクリングを持っているかというと、オゾリスというのがイコリア次元の置物だから。
⑤アーティファクトなので構築物トークンのサイズカウントに貢献する。荒廃者で食べることも可能

……といった具合でしょうか。
④に揚げたサイクリングのおかげで重ね引きに耐性はあるものの、やはりそもそもとして重ね引きはしたくないという点や、2マナという重さが滑らかな動きを阻害する点もあり、採用枚数は2~3枚になりがちです。少なくと4枚は無いですね。

また、③の起動型能力は歩行バリスタにカウンターを乗せる際、バリスタ本来の必要マナコストを思えば圧倒的に格安です。タイミングはソーサリーに限定されていますが、マナが浮いた時などは積極的に使っていきましょう。
尚、起動型能力で+1/+1カウンターを乗せる場合、直接的に歩行バリスタに乗せるよりも、電結の荒廃者やオゾリス(通常版)を一度経由させた方がトータルの+1/+1カウンター個数は増加します。これは、+1/+1カウンターが移動するたびに自身の常在型能力で水増しを行うので、
・直にバリスタに置く(カウンター個数水増し適用回数1回)
・オゾリスに乗せてから、オゾリスの誘発型能力でバリスタに置く(カウンター個数水増し適用回数2回)
…と、水増しイベントの適用回数が変わるからなのですね。
手なりで直接クリーチャーに乗せるのではなく、+1/+1カウンターの設置・移動イベント回数を最大にする乗せ方は何か? を意識していきましょう。

ところで、砕かれる前のオゾリスってどんなカードなのかなぁ~?(棒読み)


1 オゾリス

これが本家オゾリスかぁ~!

ということで、本家オゾリスです。
こちらは1マナのアーティファクトとなっており、効果はカウンターの貯蓄と移植…でしょうか。
テキストが長いのでザツに説明をすると、
①自分のクリーチャーが戦場を離れると、そこに乗っていたすべてのカウンターをオゾリスに乗せる。死亡以外でもオゾリスにカウンターが乗る。追放除去やバウンスでもオゾリスに乗るし、安らかな眠りや虚空の力線の影響下でもオゾリスはカウンターを見逃さない。
②自分の戦闘開始時、オゾリスの上のカウンターを対象のクリーチャーに全て乗せる。
…という具合です。
前項の砕かれた方のオゾリス(砕リス)とのシナジーは凄まじく、上記①と②の両方のイベントで砕リスの水増しイベントが適用され、+1/+1カウンターが凄まじい勢いで増加、移植されます。

また、オゾリス特有の小テクとして、②の効果は対戦相手のクリーチャーであっても対象に取る事が可能です。相手のクリーチャー育ててどうするんだよ! と思うかもしれませんが、ヨーグモス医院や感染や果敢(というか損魂魔道士)と相対した場合など、自軍クリーチャーが除去される際、-1/-1カウンターを乗せられて除去されてしまい、オゾリスの上に大量の-1/-1カウンターが溜まってしてしまう という事があります。
この場合、あえてオゾリスの②の効果の対象を対戦相手のクリーチャーとすることで、オゾリスから大量の-1/-1カウンターを発射し、対戦相手のクリーチャーを除去できるのですね。
たまに使用するテクニックなので、覚えておきましょう。

そして採用枚数ですが、概ね1~2となっています。
鱗親和で輝く強いカードではありますが、古きものの活性やウルザの物語3章でサーチが可能である事。砕かれる前はサイクリングが無いので重ね引きに弱い事等が原因です。
虹色の終焉や母聖樹で破壊される場合を見越して2枚採用するか、あるいは1枚の採用に留めるか…の選択の末、今はオゾリスを1枚のみ採用するという形でデッキを組んでいます。

あ~あっ! せめて、どっかに超強くって+1/+1カウンターを0マナで乗せられるヤッベェアーティファクトでもあればなぁ~!オマケみたいに墓地対策も付けてさぁ~!(棒読み)


3 アガサの魂の大釜

エルドレインの森トップレア(暫定)です

ということで、墓地対策もできる癖に+1/+!カウンターも乗せられてオマケみたいに激ヤバ効果が付いた古きものの活性でサーチ可能なぶっ壊れアーティファクト、アガサ鍋の紹介です。

色々な所で騒がれているカードなので紹介は不要かもしれませんが、軽く説明をすると
①自分のクリーチャーは起動型能力を使う際、色マナの指定を無視できる。無色マナでザーバスの赤マナ効果を使える。
②タップして墓地のカードを1枚追放できる。追放したのがクリーチャーなら、自分のクリーチャー1体を対象として+1/+1カウンターを乗せる。
アガサ鍋で追放されたクリーチャーの起動型能力は、自分の+1/+1カウンターの乗ったクリーチャーに継承される。
…です。

このカード、とかく鱗親和との相性が良いです。
まず、採用しているクリーチャーは継ぎ接ぎ自動機械以外の全てが起動型能力を有しており、電結の荒廃者と搭載歩行機械は自己成長能力、歩行バリスタは火力発射、ザーバスは飛行獲得とアーティファクト破壊です。
この中でも最も危険なのは、歩行バリスタでしょう。なにせ、デッキに4枚しか無いはずの歩行バリスタの理論上の枚数が20枚以上(墨蛾やミレックスの生むダニトークンまで含む)となり、鍋でバリスタが煮込まれた瞬間、自軍の全生物が弾丸を発射して対戦相手のクリーチャーや顔面を盤面をズタズタに引き裂き始めるのですから。
また、忘れてはいけないのは墨蛾の生息地です。感染を有するこの土地は、歩行バリスタの能力を継承した瞬間、毒の弾丸を対戦相手に向けて発射し始めます。酷いですね。

また、地味ながら対戦相手の墓地のカードを追放する事で、小規模な墓地対策カードとしても役立ちます。
ドレッジの様な大量墓地送りを得意とする相手には効果が薄いですが、例えば頑強リアニメイトやレン6の+1効果の様に、墓地のカードを対象とする効果がスタックに乗った瞬間、その対象を追放する事で相手のゲームプランを破壊する事も可能です。

そんな強すぎるアガサ鍋の採用枚数は3枚です。
砕リスとは違って重ね引きをした場合のリスクはありますが、やはり勝利への貢献度が大きいのと、対戦相手の墓地を追放できる機能が非常に有用な事が3枚という採用枚数の理由です。
仮に、自分の墓地のカードしか追放が出来なければ、採用枚数は2枚にしていたかもしれません。
また、仮にモダンでレンと6番が禁止となったならば、採用枚数を2枚に減らす事を考えるかもしれません。それくらいに、対戦相手の墓地を追放できる…という機能が偉大でした。

何気に、鱗・砕リスとは違って無色のカードというのも重要ですね。
後述の古きものの活性で引き込める超強力カードという事ですから。


4 古きものの活性

思案は禁止なのにコイツは使える

1マナで5枚ものカードを見る事ができる超すごいキャントリップ呪文です。色や効果が違うので一概に比較はできませんが、モダンで禁止指定を受けている思案の緑バージョンの様な、凄いカードです。
1マナで5枚を掘りつつ、無色のカードを1枚手札に加える…という効果は、通常であれば土地カードか一部のアーティファクトくらいしか手札に加える事はできません。
が、鱗親和の場合はそもそもとしてアーティファクトばかりなので、一切問題はありません。私の構築の場合、メインボード60枚中の50枚は無色のカードとなっています。

使用前には「今何が欲しいのか?」を明確にしつつ唱える事が重要で、「土地を引き込んで次ターンの2アクションを確定させたい」「+1/+1カウンターが乗るクリーチャーを引き込んで戦線を強化したい」「サイドから入れた妨害置物を引き込んでこのターンに設置したい」…等、1~2ターン先までのゲームプランを明確にしつつ、最善の選択をできるようにしましょう。

サイドボードに無色のカードを多く取っており、それらを探しに行くことも多いので現状の採用枚数は4ですが、構築によっては1~3にする事もあります。
土地22+活性3~4で安定して4枚目までの土地が並ぶ…くらいの使用感なので、もしも活性を2枚以下にする場合には、土地を23枚にする事を推奨します。
また、サイドボーディングで有色のカードを多めに入れる場合、2枚まで抜く候補となります。


1 溶接の壺

そろそろ絵違い再録してほしいなぁ

0マナアーティファクトで、自身の生贄と引き換えに他のアーティファクトを再生することができます。再生という最近では珍しい効果を持っているあたりは、古いセット特有の空気を感じますね…。

主な役目はオゾリスや砕リス、アガサ鍋といった重要な置物を守る事です。クリーチャー軍団はそもそも接合や護法などで除去に強く、チャンプブロックして返しで殴り切る場合等を除き、あまり再生した記憶はありません。

0マナというマナコストも結構重要で、継ぎ接ぎ自動機械を速やかに育成する事が出来ます。1ターン目鱗→2ターン目に継ぎ接ぎ&溶接の壺 で3/3の護法2、更に再生も構えている…という状況は、軽い追放除去を持っていないデッキの場合、悪夢の様な光景でしょう。

採用枚数はウルザの物語の3章からサーチ前提の1枚です。2枚以上にする構築もありますが、現状は枠の都合もあり、この枚数となっていますね。
継ぎ接ぎ自動機械を人一倍強く使いたい場合などは、2枚以上にする事もあります…が、あまり0マナを増やすと自身の虚空の鏡と正面衝突をする事もあるので、お気をつけて。
少なくとも、サイドボードに虚空の鏡を2枚以上採用する場合、溶接の壺は1枚以下が適正枚数ではないか と思っています。


1 バジリスクの首輪

影槍からバジ首へ…鍋の影響は凄い

装備すると接死と絆魂を得る…という、リミテでは活躍しそうな装備品です。
1マナというマナコストがポイントで、これまたウルザの物語3章からサーチ可能です。よって採用枚数は1枚です。
同じような役目のカードには影槍が存在しており、装備コストまで含めて同じであるならば、サイズが上がる影槍の方が良いのでは…? となりそうですが、アガサ鍋のせいで自軍全クリーチャーが歩行バリスタ化する可能性がある現状、こちらを採用する事になりました。
接死バリスタが完成するとオムナスやヨーグモス、濁浪の執政に悲嘆に寓話のトークンに…と、多数の高タフネスクリーチャーを除去し続ける事が可能なのですね。
安定性を求めるのであれば影槍だと思いつつ、今はバリスタ鍋とのコンボの瞬間最大風速に期待をして、バジリスクの首輪を採用しています。

尚、この装備品を装備した構築物トークンで一撃殴るとバーンのゲームプランはほぼ詰みを迎えます。粉々などを使い、全力で粉砕してください(というのを狙ってるバーン使いが多いから溶接の壺やらタミヨウの保管で守るんだよなぁ~…)


1 バネ葉の太鼓

どんがどんがどんがどんが

クリーチャー1体のタップをする事で、色マナを供給するマナアーティファクトです。
ウルザの物語は3章を迎えると墓地へ送られる都合上、4ターン目あたりから土地が不足するというリスクを抱えています。そのリスクを軽減する為、ウルザの物語3章からサーチする前提で、1枚の採用としています。
サイド後、後攻の場合には1枚多く引ける事に期待し、サイドボーディングで抜くこともあります。…が、アーティファクトである事のメリットが潤滑油としての役目も果たしており、少なくとも今年の鱗親和を使ったゲームでは、サイドアウトをした記憶はありません。


1 完全化の杖

60枚目にして完全化を迎える

デッキで唯一の3マナであり、威圧の杖のファイレクシア版です。
完成化を経たせいで、マナの代わりにライフを要求する様になり、効果は以下の通りです。
①1点のライフを払う。自身のパーマネントを破壊する
②2点のライフを払う。好きな色マナを出す
③3点のライフを払う。増殖をする
④4点のライフを払う。1ドローする
⑤5マナを払う。自身をアンタップ

主に、3点支払いの効果による増殖のバリューを期待しての採用です。
鱗親和は+1/+1カウンターを山の様に扱うデッキなので、増殖を1回解決すると、戦場のクリーチャーサイズが凄まじい事になります。概ね、増殖1回でゲームが圧倒的有利に傾き、増殖2回で勝ちが決まります。
また、ウルザの物語を1章進めて強制的に3章とし、ライブラリから0~1マナのアーティファクトをサーチする、相手の得ている毒カウンターを増やして毒殺する…等、+1/+1カウンター以外とのシナジーもあります。
その他、相手の虚空の盃のカウンターを1個増やして無力化する・相手の使った一つの指輪の上の重荷カウンターを1個増やして次ターンのアップキープに指輪死させる なんて経験もあります。

また、4点のドローもアドバンテージに乏しい鱗親和としては嬉しく、バジリスクの首輪を装備したクリーチャーでガンガン攻撃してライフを回復しつつ、杖でドローをする という事もあります。
1点のパーマネント破壊はザーバスの赤効果同様に疑似サクり台として機能し、死亡誘発効果のトリガーとなります。また、自分の土地も破壊できるので…例えば、ウルザの物語めがけて広がりゆく海を貼られた場合等、どうせ破壊されるなら杖で破壊してドローをさせない といったプレイングもあります。
2点のマナファクトは、ファイレクシアマナをイメージした効果でしょうか。あまり使いませんが、1ターン2アクションの為、稀に使う事はあります。

採用枚数は1枚。古きものの活性で中盤に引き込む前提での採用です。
2枚以上以上採用しても重ね引き時の扱いに困りますし、ライフの払い過ぎで死ぬのは避けたい所です。

また、この枠(中量級サイズでアーティファクト、アドバンテージ源)の対抗馬は、一つの指輪でしょう。
指輪との比較としては、杖の方が1マナ軽く、また唱えたターンに増殖モードで勝てる可能性がある点です。
指輪は2~3ターンかけて格安のライフ効率で大量にドローができるものの、土地が4~5枚で止まりがちな鱗親和では手札を使い切る事が出来ずそもそもとして4マナのアーティファクトを唱えるのが難しい というマナ事情もあります。
レンオムやトロン、アミュレットの様な大量マナ捻出システムを擁するデッキであれば指輪を100%以上使いこなせるのでしょうが、マナがカツカツの鱗親和ではそれも難しく…指輪の性能を70%くらいしか使えていないのではないか と思っています。
そんなワケで、鱗親和の場合は性能を150%引き出せるであろう、完全化の杖の方を採用しております。
……でも指輪も強いし、サイドボードに1詰むとかしても良いと思うんですよね。ここは今後使用感比較してメタゲームを見て、採用検討繰り返していきます。

・最後に
以上が呪文枠、18枚の枚数説明と採用意図です。
このスロットのうち、固定スロットは鱗4・オゾリス1・アガサ鍋2・砕リス2・バネ葉1の10枚だと思っています。
それ以外の8枠について、ウルザの物語3章でサーチするツールボックス枠・中級サイズのアドバンテージ源・固定スロットの追加・デッキの潤滑油…等を敷き詰めています。

鱗親和の強みの一つは、ウルザの物語の3章です。
例えば、メインにトーモッドの墓所や魂導ランタンといった1マナ以下の墓地対策アーティファクトを採用すれば、リビングエンドの相性は圧倒的に改善するでしょうし、メインに真髄の針を採用すればコンボ耐性を獲得し、メインに機能不全ダニを1枚採用する事で同型対決の相性は劇的に変わるでしょう。
自由枠についてはデッキビルダーの意図が一番出る枠だと思います。
どんなデッキを意識しているか。どんなメタゲームを想像しているか。どんなデッキを絶対に倒すと考えているか…が、最も出やすい領域なので、今後もちょくちょく内容が変わると思います。

サイドボード(15枚)

サイドボードについては、有色の呪文・0~1マナのアーティファクト・2マナ以上のアーティファクト で分類します

有色の呪文

2 四肢切断

ファイマナが生んだ奇跡の呪文

マナベースの都合上、黒マナは基本的に出ない物として扱っているので、1マナ4ライフで打つ想定で採用をしています。

主な仮想的はヨーグモスやオムナスでしょうか。-5/-5という修正で環境に存在するクリーチャーの大半を打ち取れる優秀な除去です。
メインボードの除去が歩行バリスタ4枚のみという構成なので、追加の除去が欲しい場合にはほぼ確定でサイドインを行います。有色の呪文なので古きものの活性で引き込めないという事情もあり、初手の7枚にあると嬉しいタイプのカードですね。

また、感染やLOといった、そもそもライフ支払いがどうでもよくなる相手に対しても、蟹への除去・感染クリーチャーへの除去という役目でサイドインを行います。
特にLOが相手の場合、ラフターのケアとして、デッキ内のトータルマナコストを少しでも上げたくなるという事情ともかみ合いますね。

非常に有用なカードであり、頻繁にサイドインをするので、メインボードへの採用やサイドボード3枚目を検討する事もあります。
…が、サイドボードの枠がカツカツなのと、4点支払いは馬鹿にならない事。アガサ鍋のおかげでバリスタの能力を継承して除去をするシーンが増えた事もあり、現在はサイドボードに2枚の採用としています。


1 タミヨウの保管

この後、タミヨウは拉致改造されたんだよね…

非常に範囲の広い防御型呪文です。
1マナの緑インスタントの防御呪文というと、レインジャーの悪知恵の系列ですが、それらの中も唯一のパーマネント保護呪文…ということで、群を抜いて守れる範囲が広いです。

同様の呪文には蛇皮のヴェールがあります。ヴェールは+1/+1カウンターを乗せる効果を持っているので鱗親和により噛み合う様に思えますが、守れる対象がクリーチャーに限定されているという欠点があり、タミヨウの保管を優先しています。

蛇皮のヴェールに差し替えた場合、ウルザの物語やオゾリスやアガサ鍋を狙った除去を弾く事が出来ず、非常に歯痒い思いをする事でしょう。
特に、対戦相手がマーフォークだった場合、蛇皮のヴェールでは広がりゆく海からウルザの物語を守れないのは致命的です。

また、墨蛾の生息地に大量のカウンターを乗せて一撃毒殺を行う場合等も、タミヨウの保管であれば土地の段階で破壊不能と呪禁を付与し、安全を確保してからクリーチャー化し、接合やオゾリスからのカウンター継承を行う事が出来ます。
もし蛇皮のヴェール採用の場合は、先に墨蛾をクリーチャー化しない事にはヴェールで守る事が出来ず、クリーチャー除去呪文2枚で墨蛾へのカウンター継承を封じられてしまう…という裏目も考えられます。

主な仮想的は、除去呪文が多いデッキ全般ですね。赤黒想起やジャンド、グリクシスにレンオムにetc…モダン環境は軽くて優秀な除去が飛び交う環境なので、タミヨウの保管のお世話になる事は多いです。
オマケで付いている2点回復を目当てとして、バーンにもサイドインを行います。もしオゾリスを狙って唱えられた粉々をこれで弾き返したら、差し引き5点のライフ回復に相当するワケでして…バーン使としては踏んだり蹴ったりでしょう。

概ね、サイド採用枚数は2枚でしょうか。
後に紹介する呪文滑も優秀な防御カードなので、タミヨウの保管+呪文滑りで防御用カードが合計2枚 という考えで現在のサイドボードを構成しています。
呪文滑りではウルザの物語を広がりゆく海から守れない…等はありますが、そこは割り切っています。何より、呪文滑りは古きものの活性でサーチが可能なのが偉大ですから。


0~1マナのアーティファクト

0~1マナのアーティファクト。つまり、ウルザの物語3章でサーチ可能な連中です。古きものの活性でサーチが可能なのもあり、1枚刺しが多くなっています。

2 機能不全ダニ

指輪だけは許さねえ!! 俺が追放する!!!

本節において、唯一の2枚刺しカードです。
ウルザの物語からサーチする前提であれば1枚採用でも良い筈なのですが、ダニ本人がアーティファクト・クリーチャーなので接合やオゾリスからのカウンター継承を経て相手に殴りかかれる というのが複数枚採用の理由ですね。戦力になる事を見越し、2枚採用している…というワケです。
何気にペンデルヘイヴンにも対応の1/1サイズというのもあり、鱗親和の各種カードとのシナジーには期待ができます。

主なサイドボーディング相手は鱗親和同型やトロン、アスモフードにウルザソプター、アミュレット、レンオム等です。
クリーチャーではないアーティファクトやエンチャントしか追放できない点には注意が必要ですが、それでも仮想敵は非常に多いです。主に、一つの指輪・力線の束縛・豆の木・ウルザの物語を追放するのが役目です。

また、死亡誘発のライフ2点回復のみを目的として、バーンに対してもサイドインを行います。概ね2点回復できるチャンプブロッカーですが、たまに乱動する渦を追放しながら2点回復させてくれます。便利な潤滑油ですね。

忘れてはいけないのは、機能不全ダニの能力は起動型能力である事。
つまり、アガサ鍋で煮込む事で自軍の全生物がダニの能力を継承します。アガサ鍋がある前提ならば、無色マナで能力が起動できるのも見逃せません。
こうなるとフィーバータイムです。飛行機械トークンやダニトークンを投げつけて、敵陣の置物をズタズタにしてしまいましょう。
ザーバスや荒廃者といった接合生物がダニの効果を継承した場合、接合の死亡誘発効果が発揮されるのも最高のシナジーです。

また、メインボードに1枚・サイドボードに1枚…の様な形もいつも検討しています。現状はサイドに2枚ですが、古きものの活性とトレードオフでメインボードに昇格してもおかしくない、極めて有能な小粒アーティファクトクリーチゃーでした。


1 エレヒの石

丸い置物は妨害の証(所説アリ)

指輪物語より参戦した、若干クセの強い墓地対策アーティファクトです。
常在効果で、相手限定の安らかなる眠りとでもいうべき能力を有しており、また2マナ+生贄で墓地1つを追放しつつ1ドローができます。

期待される役目は墓地追放であり、であれば大祖始の遺産や魂導ランタン、失われし者のランタンでも良いのでは? となりますが、エレヒの石にしかこなせない役目があり、ウルザの物語からのサーチ前提で1枚採用しています。

まず期待する役目は、鱗親和同型やヨーグモス医院、赤黒想起における死亡誘発の封印です。また、2マナ起動の墓地掃除モードについても、自分の墓地を掃除しないという点がアガサ鍋の具を追放しないというメリットになります。
大祖始の遺産や失われし者のランタンでは自分の墓地を追放してしまうのが、アガサ鍋と噛み合わないのですね。
何気に、最近の強化で鱗親和の数が増えているというメタゲーム事情もあり、使う側としても使われる側としても、今後は頻繁に目にする事になりそうです。

その他、リビングエンドやドレッジ等の墓地利用コンボ、高揚妨害と濁浪の執政の探査コスト吹き飛ばす事を前提にカウンターモンキー相手でもサイドインします。後述する墓地対策サイドカード、及びメインに3枚搭載されたアガサ鍋と協力して、徹底的に対戦相手の墓地を掃除してしまいましょう。


1 トーモッドの墓所

墓地対策・オリジン

エレヒの石と同じく、墓地対策用のアーティファクトです。
こちらは0マナで設置が可能なのと、墓地掃除のモードにマナが不要な点が差別化ポイントでしょうか。

エレヒの石の項目でも述べた通り、鱗親和の墓地対策カードはアガサ鍋との噛み合いの都合、自分の墓地を掃除しない事が重要となりました。その条件を満たすカードのうち、唱える+起動するコストが最も軽いのがトーモッドの墓所です。
0マナというコストは継ぎ接ぎ自動機械の爆速育成に貢献するコストであり、速やかに相手を殴り倒す上でのシナジーが期待できますね。

基本的にエレヒの石と同じく、墓地利用を活用するデッキ相手に投入します。リビングエンド相手の場合、続唱対策用の虚空の鏡とカチ合ってしまう点には注意が必要です。


1 真髄の針

針をブッ刺して相手を止めよう

極めて対応範囲の広い起動能力対策カードです。
メインボードに1枚投入する事で各種コンボデッキ相手の勝率に寄与しますが、刺さらない相手には徹底的に刺さらないという事情もあり、現状はサイドボードに1枚の採用としています。

ウルザの物語の3章からサーチして設置&戦場に存在するパーマネントの名前を指定する事で、そのパーマネントの起動型能力を問答無用で(スタックで起動もできず)封殺出来るのは有名です。モダン初心者がそれで起動前のフェッチランドを封印され、実質的な土地破壊を食らうのは風物詩かもしれません。

入れるべき相手、指定するカード名は多岐に渡るので割愛します…が、とりあえずPWを軸としたデッキや起動型能力を多用するデッキの場合、お守りでサイドインしています。

忘れがちなポイントですが、戦場に存在しないカードの起動型能力でも指定をする事で能力を封じる事が出来ます。
耐え抜くもの、母聖樹を指定することで魂力による置物・土地破壊を封じる事ができるのは、覚えておくべきテクニックでしょう。


2マナ以上の無色呪文

ウルザの物語ではサーチ不可能ですが、古きものの活性でのサーチが可能なカードです。

1 引き裂かれし永劫、エムラクール

永遠名誉終身鱗親和サイドカード

唱える事は想定しておらず、ライブラリー修復能力目当てで採用されている、ライブラリーアウト対策のカードです。

燃え柳の木立ちの項目で説明をした通り、鱗親和はライブラリーアウトとの相性が非常に悪く、その為に専用サイドカードを1枚採用しています。期待している役目は正気破砕やカニの上陸効果で墓地へ落ちた後、ライブラリー修復能力を誘発させる事です。

同様の能力はコジレック&ウラモグも所有していますが、ラフターの都合上マナコストが最大である事が望ましく、その為にエムラクールを採用しています。

もし、LOを踏まない自信があるのであれれば、この枠は他のアーティファクト呪文に差し替えても構いません。ここは、本当にお守り専用サイドボード枠なので…。


2 食事を終わらせるもの、ジンジャー卿

ガラク野郎許さねえ!!!!!!!!!!!

旧エルドレインのトレイラームービーで登場し、伴侶を喪い、ガラクへの復讐を誓った怒れる伝説のクッキーです。

能力としては
①相手がPWをコントロールしている場合、速攻・トランプル・呪禁を得る
②自分のアーティファクトが墓地へ落ちるたびに+1/+1カウンターが乗り、占術1を行う。
③2マナ支払いをしつつ生贄に捧げることで自身のパワー分のライフ回復をする。

2マナのアーティファクトクリーチャーにしては盛りに盛った能力を有しており、特に②の能力は+1/+1カウンターを多用する鱗親和とナチュラルに噛み合っています。
この効果のせいでザーバス同様に重ね引きにある程度の耐性を有しており、1枚目のジンジャー卿がいる状態で2枚目のジンジャー卿を召喚すると、レジェンドルールで片方が死亡→生き残ったジンジャー卿が②効果を誘発、成長する…というシナジーを形成しています。

期待する役目はPWを用いたミッドレンジへのスイーパーです。
より具体的に述べるならば、着地して-2効果でサイドボードからアーティファクトを引き込んだ忠誠値3の大いなる創造者、カーンを速やかに撲殺する事です。もしカーンが+1スタートしていた場合は一撃で落とせませんが、それでも二回殴ってカーンを撲殺します。
鱗親和はアーティファクトの起動型能力を多用する都合上、創造カーンが致命的に刺さってしまうという構造上の弱点を有しています。その為、前述のエムラクール同様、対カーンの専用サイドカードを準備する運びとなりました。

とにかく、ジンジャー卿に期待することは、カーンの討伐です。(2回目)
ガラクへの怒りに燃える伝説のクッキーですが、鱗親和においてはカーンの喉元にフォークを一撃叩き込む事が期待される役目です。
相手がカーンを使うデッキならば、起動型能力を有する潤滑油系のアーティファクト(溶接の壺など)と入れ替えでサイドインします。
相手の戦場にカーンが存在する限り単体除去を呪禁で防ぐので、黒単貴重品室でもカーン討伐のためにサイドインされます。

その他、レンオム相手でも採用されます。こちらの場合は、カーン討伐というよりも使い勝手の良い優秀クリーチャーとしての採用ですね。レン6、テフェリーの2大強PWを採用しているデッキなので、呪禁で孤独や虹色の終焉といった有能な単体除去を物ともせずに殴りかかれるのが採用理由です。
概ね、継ぎ接ぎ自動機械と共に巨大なサイズとなりながら、PWを無視して直接対戦相手を殴っています。

食物由来の③効果は、食物トークンやジンジャーブルートとは異なり、自分のパワーを参照しています。
よって、鱗親和においては3点以上のライフ回復が見込める能力です。…ということで、この能力を目当てにバーン相手でもサイドインします。
万が一、アガサ鍋経由で自軍鱗クリーチャーがこの能力を継承したならば、バーン相手に10点以上のライフ回復が可能となるでしょう。

カーン対策のカードは他にもあるので、今後他のカードに変わる可能性はあります。例えば、内にいる獣や過大な贈り物等です。
しかしながら古きものの活性で引き込めるカーン対策カードというのは現状唯一無二の特性であり、鱗シナジーを有している点も含め、今後もサイドに1~2枚の採用をする予定です。


1 呪文滑り

双子禁止前はサイド定番でした

青マナ、もしくは2ライフで能力や呪文の対象を自分に誘導するアーティファクトクリーチャーです。

主な役目は、ウルザの物語やアガサ鍋へ撃たれる除去を誘導して自分が破壊される事ですね。役目としては、タミヨウの保管と同様です。
タミヨウの保管の項目でも書いた通り、保管+滑りで2枚を防御用カードとしてサイドに投入しています。

一か月前までは採用候補にすら挙がらなかったカードですが、アガサ鍋の登場で評価が一変したカードです。
呪文滑りの効果は起動型能力なので、死亡した後に鍋で煮込むと、自軍の全クリーチャーが呪文滑りの能力を継承します。
万が一、継ぎ接ぎ自動機械が呪文滑りの能力を継承した場合、除去を自分に誘導しつつ護法2を誘発させ、対戦相手に2マナの支払いを要求する…という、とんでもない事態になります。こうなると単体除去はまともに機能せず、盤面のカードを除去する事は困難になるでしょう。
ちなみにですが、この時に継ぎ接ぎ自動機械が2匹いると、継ぎ接ぎAに誘導→2マナ要求→2マナ払ったら継ぎ接ぎBに誘導→2マナ要求→2マナ払ったら継ぎ接ぎAに誘導… と延々と護法2を誘発させ、相手が無限マナでも成立させていない限りは問答無用で除去を打ち消す事も狙えます。

起動型能力は青ファイマナなので基本的に2点ライフを払う前提での採用…ですが、アガサ鍋があると起動型能力の色指定を無視できるようになり、無色マナでも呪文滑りの能力が起動可能となるのも見逃せません。

仮想敵は除去の多いデッキ全般、及びクリーチャーコンボです。
感染は呪文滑りが着地するとすべての巨大化系呪文を吸い取られて機能不全を起こしますし、ヨーグモス医院に対しては不死クリーチャー2匹を用いたループを止めることが可能となります。

また、鱗親和同型対戦においても非常に強力なサイドカードとなります。
オゾリスの項目で説明をした通り、オゾリスの自分戦闘前カウンター移動効果は対戦相手のクリーチャーに対しても乗せる事が可能なので…相手のオゾリスの上に溜まった膨大な数の+1/+1カウンターを、強奪する事が可能です。
また、接合の死亡誘発効果についても、実は対戦相手のアーティファクトクリーチャーへ+1/+1カウンター移動が可能です。よって、接合の死亡誘発についても、オゾリスからの移動同様、呪文滑りで強奪する事が可能です。

ここまで書いて何ですけど、鱗親和が増えたから普通のデッキが呪文滑りを使い始めたら辛いな~と思うのでした…。頼む流行らないでくれ~!!!!創造カーンでサイドから滑りを抜かないでくれ~!!!!!!!!!!!


2 虚空の鏡

踏み倒しは許しません

2マナの妨害アーティファクトです。
呪文を唱える際に色マナが払われていないと、その呪文を問答無用で打ち消します。

何よりも期待される役目は、続唱対策です。リビングエンドやカスケードクラッシュは、虚空の鏡を設置する事で続唱からの0マナ待機呪文爆発を封印され、理想の動きが出来なくなります。

また、続唱以外でも唱える際に色マナが支払われていなければその呪文を打ち消してしまうので、活性の力や孤独、激情といったピッチ呪文に対しても一定の抑止力として機能します。
土地を並べて普通に唱えられると意味はありませんが、覚えておいても良いでしょう。

無色マナと言えば……という事で、トロン対策でもサイドインをします。
母聖樹の項目で述べた通り、相手の戦場に森があると効果は半減してしまいますが、それでも3ターン目にウルザランド3枚を揃えて7マナからカーン(4マナ、7マナ両方)やワームとぐろエンジンを投げる といった動きを牽制できるのはメリットとなります。
トロンからすると、彩色の星/宝玉と森の数を常に意識する羽目になるので、非常に窮屈な思いをする事でしょう。そういう具合に窮屈な思いをしている間に、速やかに鱗親和軍団を育成し、殴り倒してしまいましょう。
※余談ですが、トロン対策で虚空の鏡を採用する場合、メインボードの土地にヤヴィマヤを採用するのはアンチシナジーとなってしまいますのでご注意を。

注意点としては、(当然ですが)自分も虚空の鏡の影響を受ける事ですね。
有色土地13枚の構成なのでほぼ影響はありませんが、稀に1ターン2アクションをしたくてもできない…という事があるので、ご注意を。だから5色マナファクトも兼ねている完全化の杖を入れてるんですね!!!!!


1 魂なき看守

ティムバートン映画っぽい

新たなるファイレクシア原産のヘイトクリーチャーです。

能力の影響範囲が結構広く、墓地から戦場へのパーマネント移動、及び墓地と追放領域からの非クリーチャー呪文を否定します。

第一に期待しているのは、虚空の鏡と同じく、続唱対策です。
続唱は追放領域を経由してから唱える都合上、戦場に魂なき看守が存在している限り唱えられなくなります。

また、死の国からの脱出を用いたアドバンテージ稼ぎを牽制する役目もあるので、イゼット果敢等にも抑止力としてサイドインをします。この場合、0/4というサイズが丈夫なのもあり、地上のクリーチャーを食い止める肉壁としても活躍してくれます。

猫かまどコンボやリアニメイト、不死頑強に想起エレメンタルのリアニメイト等、墓地からクリーチャーを吊り上げる全ての挙動も否定されます。
そういう意味で、エレヒの石、トーモッドの墓所と同様に墓地対策の役目も兼ねています。墓地を掃除する事はできませんが、墓地からクリーチャーが湧き出るのは止められるので、抑止力としては十分でしょう。
地味にですがクリーチャー以外も墓地から戦場に出る事を禁止されるので、例えば脂牙+パルヘリオンの機体リアニメイトコンボやら、ウィンドグレイスの魂による土地の釣り上げ等も禁止します。

そしてこの看守、虚空の鏡やエレヒの石とは異なり、アーティファクト・クリーチャーです。よって鱗ギミックで強化することで巨大なサイズに成長し、フィニッシャーとなれます。
現在は他の続唱対策・墓地対策カードと枠を食い合う都合で1枚の採用としていますが、クリーチャーの数を減らしたくない場合には、虚空の鏡の数を減らして看守の数を増やす という構築も十分にあり得ます。
環境の除去カードの選択などを見つつ、適切な枚数を検討したいと考えています。

余談ですが、この看守、バーンにも刺さります。
裂け目の稲妻の待機を否定し、ゴブリンの先達・僧院の速槍の攻撃を肉壁となって食い止めてくれます。ぜひ、お試しを。このnoteバーン虐待知識が多すぎない????


最後に

めっちゃ疲れたあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

ということで、デッキ75枚のカード選定理由と役目の説明、枚数の説明などなど。合計3万文字になってしまいました。多いですね!!!!

2023年10月現在、モダンの鱗親和はアガサ鍋を経て環境トップクラスへと躍り出つつあると思っています。
だいたい、モダン四天王には入らないけど、モダン十神衆なら入るんじゃない?くらいの感覚ですね。烈火の炎のアニメが関西だと裏武闘殺陣3回戦で突然打ち切られたのは忘れないぞ。

鱗親和というアーキタイプは、常に進化と成長をしています。
というのも、デッキを構成するギミックの中核が+1/+1カウンター&アーティファクトという、どんなセットにも収録されている汎用的なギミックだからなのですね。その他、増殖や毒も活用しています。
2023年を振り返っても、
・ファイレクシア:完全なる統一 増殖再録、毒性収録
・機械兵団の進軍 砕リス。賛助ギミックで+1/+1カウンターをフィーチャー
・機械兵団の進軍:決戦の後に 特に無し?????地底街の激動???
・指輪物語 オーク動員(BG鱗親和の可能性があります)、エレヒの石
・エルドレインの森 アガサ鍋、ジンジャー卿
…と、定期的にとんでもないテコ入れを受けていました。

開発部に熱心な鱗親和オタクがいる可能性はありますが、これは前述のとおり、そもそも+1/+1カウンターが絡む何かしらのギミックや強いアーティファクトが出るたびに鱗親和はそれらを取り込み、取り入れ、貪欲に成長を重ねたからだと思っています。

今秋発売のイクサラン:失われし洞窟や、来年発売のカルロフ邸殺人事件、サンダー・ジャンクションの無法者でも恐らく+1/+1カウンターは用いられるでしょうし、そうなれば鱗親和には何かしら追加パーツが得られる可能性はあります。凄くワクワクしますね。
というか来年ってモダホラ3あるんですよね。
めっちゃワクワクしますね。
歩行バリスタMk=2期待して良いですかね。

そんなわけで、2023年10月現在の自分の鱗親和デッキ語りでした。
こうして文章を書くことで自分の中のデッキ構築理論やカードの選定基準、プレイング指針等を言語化できたので、とても良い経験となりました。

読了頂き、ありがとうございました。

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