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【SNS】もう有名人はTwitter(X)やるメリットないよっていう話

Twitterは炎上騒動が非常に多い。メジャーなSNSの中で最もこうした炎上騒動が多いのは間違いなくTwitterだと思う。悪口や差別が当たり前のように万バズするのははっきり言って異常だ。

では何故Twitterはこんなにも民度が悪いのだろうか?今回はTwitterの民度の悪さの原因を考察し、それを踏まえて何故有名人はTwitterをやらない方がいいかについて述べていこうと思う。


【文字主体のプラットフォーム】

実は文字主体のSNSはかなり稀である。インスタは画像と動画がメインだし、BeRealは画像のみだし、TikTokやYouTube(ここでは便宜上TikTokやYouTubeもSNSとさせていただく)は動画がメインだ。このことからわかるようにSNSは基本画像や動画がメインなのだ。文字主体のSNSとしてTwitterの他にLINEが挙げられるが、LINEは最初から現実の人間関係の延長線上のために作られているので、人と人との繋がりの規模は他のSNSに比べると限定的だ。

そしてこのことがTwitterが何故陰湿なのかの鍵を握ると思う。

当然のことだが画像や動画はわかりやすい。人は目から入った情報が全体の情報の7〜8割を占めるらしく、それだけ視覚に頼った生物なのだ。だからこそ人類は常にわかりやすさを求めてきた。壁画→彫刻→紙/パピルス→写真→映像というメディアの進化の歴史を見れば明らかだ。

一方文字はどうだろう。文字は画像や動画に比べるとどうしてもわかりやすさで負ける。しかしそれが良さとなっているのも事実だ。例えば三島由紀夫の仮面の告白を読んだ時に抱く"美しい"とウォニョンのインスタの投稿を見た時の"美しい"は同じ"美しい"でも全く異なるのは当然のことだ。文字はわかりやすさを捨てた代わりに、受け手に考えさせる余地を与えてくれるものなのだ。

しかし裏を返せば陰湿さにも直結する。例えばTwitterでよく使われる構文として「〇〇で好き」というものがある。そのまま解釈するなら(XXが〇〇の理由で好き)となるが、実際はこんな使われ方はほぼないと言っていい。殆どが「相手の矛盾や落ち度を明るみにした上で、自分はそんな〇〇が好き(笑)」という、極めて冷笑的な使われ方だ。

こうした単純だが鋭く相手を刺せる比喩というのは、文字だからこそ気軽に生み出せるのだ。画像関連にも風刺画のようなものがあるが、これは一定数の画力が前提条件として必要とされるため一般人にとってはハードルが高い。受け手に考えさせる余地を与えてくれる文字だからこそ、画像や動画に比べると未完成である背景をそのまま伝えることができるし、それは美しくもあり陰湿でもある。

この「〇〇で好き」構文は相手の矛盾や落ち度、つまり叩けそうな部分を明るみにした上で、自分は上の立場から冷笑できるという非常に便利な構文だ。こういう構文が当たり前のように流行る時点で色々と察するだろう。そしてこれが次の【利用者層】を読み解くヒントになる。


【インスタの台頭と利用者層の変化】

薄々気がついてる人が多いと思うが、もう中高生の若者はTwitter使ってない人が多い。私のリア友でも、陽キャであるほどTwitterを使っている割合が低くなるし、逆に陰キャであるほどTwitterを使っている割合が高くなる。

何故若者はTwitterを使わないのだろうか。それはインスタの台頭が大きな原因だと思う。

ユーキャン新語•流行語大賞に「インスタ映え」という言葉が初めて載ったのは2017年だ。このことからわかるが、若者の間にインスタの存在が大々的に広まったのは恐らく2017年だ。このことは必然だったと思う。陽キャの若者がSNSに求めるのは、キラキラだとか、映えだとか、そうした視覚的で単純な美しさなのだ。インスタはそれらの需要にしっかり応えてくれる。またもう一つ陽キャの若者がSNSに期待するものとして、「現実の延長」がある。

正直これが陰キャとの大きな違いだと思う。現実の人間関係に満足している人はわざわざSNSで友達を作らないのだ。そしてインスタはこの需要にもしっかり応えてくれる。フォロワー(友達)がインスタに浮上しているか確認できる機能はまさしくインスタがリアルの延長線上にあることを象徴しているし、24時間で消えるストーリー機能は、「わざわざネットの海に残そうとするまでもないけど、友達に見せて話すきっかけにしたい」という要望を反映したものだと言える。他にもDMのしやすさや、ストーリーに友達を気軽にメンションできることや、リール動画をそのまま転載しフォロワーに見せられることなど、とにかくインスタは現実の人間関係を拡張する機能に溢れているのだ。

余談だがこのようなインスタの機能はLINEの機能と被る。したがって最近の中高生はLINEをあまり使わない人が多い。インスタのDMで済ませる人が多いし、その方が相手にストーリーをきっかけに気軽に会話が始められるので良いとのことだ。以前の記事でも書いたが、やはり情報社会の到来により流行りよりあっという間のものになっている。

話を戻そう。このようなリアルの人間関係の延長を提供するインスタの台頭により何が起こったかというと、一言で言えば陽キャの若者が減った。私のネッ友は全員Twitterをやっているが、全員陽キャではない。今中高生なのにTwitterを毎日使っている人は間違いなく陰キャだと思う。そういう層が新規として入ってくるのだから、陰湿となっても仕方のないことなのだ。

【引用ツイートと文字数】

引用ツイートの存在も大きい。ネットでは常にレスバトルが繰り広げられているが、それは基本的にレスバを仕掛ける側が仕掛けられる側より多くのリスクを負う。例えばYouTubeのコメント欄で「日本はもっと英語教育を盛んにすべき。」と主張するAさんがいたとし、そのコメントに130のいいねがついていたとする。そこに「まずは国語教育をよりきちんと行うことが必要。適切な国語教育が日本人の基礎学力を上昇させる。」と考えているBさんが、Aさんのコメントの返信欄で自分の意見を書き込んだとしよう。この時Bさんは単純計算で130人の賛同者のいる意見に真っ向から立ち向かったと考えることができ、当たり前だがBさんは不利だ。

つまり、レスバトルをふっかける側は基本不利なのだ。

しかし引用ツイートは違う。簡単に言えば引用ツイートは「レスバ相手を強制的に自分のフィールドに引き摺り込める」のだ。今までは自分が相手の陣地に単騎で突入しなければならなかったが、引用ツイートは相手の意見の更に上から自分の意見をぶつけることができる。爆撃機と歩兵、どちらが強いかは明白だ。更に自分のフィールド(アカウント)に引き摺り込むことで、自分のフォロワーやそれ以外の自分と同意見の人を巻き込むことができる。

更に厄介なのが字数制限だ。Twitterは1ツイートにつき140字しか書き込めない。社会問題などに対し自分の意見を展開させていくにはどう考えても140字は足らなすぎる。なのでリプ欄にまで大量にツイートをぶら下げるか、140字に収まるように主張を簡潔かつ論点を矮小化させなければならない。当然それでは相手に誤解を与えてしまうだろうし、140字だと1分以内に「自分の思いを言語化→ツイートの構成を考える→書き込む→投稿」までの流れを完成させてしまうことが可能なので、一旦感情を切り離して頭を冷やす時間がない。なので感情的でめちゃくちゃな主張や陰湿な誹謗中傷が次から次へと生まれてしまうのだ。


【拡散のしやすさ】

最後はこれだろう。このツイートを見て欲しい。

1週間ほど前のTwitterはこのツイートに関する話題ばかりだったはずだ。Twitterをしている人なら絶対見たことあると思う。インプレッション数はゆうに1億3000万を超え、いいね数は約5万。リツイート数は2万を超えるまさしく鬼バズりしたツイートだ。日本の人口が1億2000万なので、単純計算で日本人全員がこのツイートを見たことになる。

しかしこのアカウント、元はと言えばフォロワー5000人ほどで、決してフォロワーが多いわけではない。更に水商売に関することを発信しているアカウントで、お世辞にも万人受けするようなアカウントではない。

では何故こんなにバズったのだろうか。

それは単刀直入に言えば拡散されまくったからである。

当たり前のことかもしれないが、これは他のSNSには見られない時代だ。

例えばインスタはリール動画を除けば、投稿に万単位のいいねがつくのはそれこそ大物YouTuberだとか、有名アイドルだとか、人気芸人だとか、いずれにせよ有名な人ばかりだ。YouTubeもショート以外で数十万再生以上を記録している動画は、基本的に登録者数万以上のYouTubeチャンネルが発信しているか、ミームや流行りに乗っかった動画であるかの2択だ。なので本来フォロワー数千人という、ネットの広大すぎる海の中ではプランクトンのような存在のアカウントがこれほどバズるはずがないのだ。

しかしこのツイートはバズった。有名人がリツイート、引用ツイートという形で簡単かつ大規模に拡散しまくったからだ。更に本当に様々なアカウントが元ツイに対し引用ツイートで自分の意見を書き込み、それが万バズし、それに対する引用ツイートが更に万バズする…という無限ループのような現象が起こったことにより、短期間でこれだけバズることになったのだ。

更に内容も良くなかった。最近のTwitterは本当に男女が云々の話題ばかりだ。安部政権下で急速に進んだ女性の社会進出の弊害が今になってやってきたのだろう。この男女論の厄介なところは、当事者があまりにも多すぎることだ。生きていれば必ず異性と関わる。つまり全ての人が当事者になりうるのだ。これが他の社会問題と決定的に異なる点だ。更に元ツイートを見ればわかるが、極めて感情的で、差別的で、悪意に満ち溢れている。

今最も議論されている話題と、最も人を刺激するような文体。このツイートがバズるのは必然のことだったのだ。これはTwitterが良くも悪くも拡散しやすすぎることを象徴していると思う。

【まとめ】

長々と書いてきたが、ここに来てようやくこの記事の本来のお題に触れようと思う。

ここまで見てくれればわかるが、有名人がTwitterをするメリットはほぼないと言っていいだろう。まず収益を得るプラットフォームとして利用するにはあまりにもユーザーの質が悪すぎる。ホリエモンがこの前言っていたが、ビジネスを展開するならTwitterよりインスタで行った方が何倍もリターンが大きいらしい。また拡散のしやすさにより、有名人が持っている最大の武器「知名度(=フォロワー数)」の優位があまり発揮されない。更に思い立ったらすぐに書き込める上、相手を自分のフィールドに強制的に引き摺り込める引用ツイート機能があるため、有名人を狙った陰湿な誹謗中傷が横行している。ネットなんてオタクがやるものだと世間から思われていた10年以上前なら、ネットに顔を出したり自分の意見を述べたりする人はある程度の覚悟がついていたと思うが、今は気軽に自分の意見をすぐさま発信できる上、顔だって当たり前のように出している人が非常に多く、何より若者が多すぎる。だからこそ、ネットのドス黒い闇の部分と向き合う覚悟がなっていない人が多いのだ。そうした人にとってTwitterの陰湿な誹謗中傷はあまりにも心にダメージを与えすぎてしまう。

だから有名人はTwitterをやらない方がいい。 少し前にパリ市のイダルゴ市長が「Twitterは憎悪や偽情報を広める巨大な世界規模の下水道」と語りTwitterを退会すると発表していたが、まさしくその通りなのだ。


だが私はそんなTwitterが好きだ。多分Twitterはやめられないと思う。Twitter上で社会問題や自分の好きな分野について情報を吸収し、考えて、発信し、ネッ友と語り合う。自分にとってこれは何事にも耐え難い幸せだ。その陰で陰湿な誹謗中傷が横行しているのはわかっている。しかし、それでも悪意の下水道は私にとっては最高の環境なのだ。私はドブネズミのような存在なのかもしれない。



最後まで私の駄文を読んでくださり、ありがとうございました!!!

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