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240414 KHIMAIRA@池袋EDGE

※個人の感想です

びじゅなび主催の若手集合対バンイベント第1回。
第1回、というのは、終演後に階段でスタッフから「2回目決まってまーす」と軽く次回予定のポストカードをもらったからである。このイベントはシリーズ化するらしい。朗報である。

出演者は
・裏切り者には制裁を
・ヤミテラ
・HOWL
・CHAQLA.
・XANVALA
の5組

特に目当てのバンドがいるわけではなかったが、今のヴィジュアル系シーンのリアルな若手ゾーンを集めているのでどこも楽しみだった。
お客さんの入りもよく、ソールド直前という感じ。KHIMAIRAは3DAYSイベントでこの日が最終日だったが、ソールドした日もあるらしい。すごい。

備忘録がてら、各バンドの感想を書き残しておく。
改めてこれは特に深い知識もなく、広く浅く観ているいちおばばんぎゃる個人のなんとなしの感想です。


1.裏切り者には制裁を
観る前:初見、全く何も知らないまま池袋に向かう山手線のなかで曲を聴いた。曲、いいやん…?ボーカル以外サポートらしい、誰かのソロプロジェクトなのかな…?これが前情報の全て。

観た後:最高じゃん……
最初は呆然と観ていたが「あ、これ私が好き系のやつだ」と思ったらニコニコが止まらなかった。今夜池袋に来てよかったと思った。

ボーカルは上下ラフなグレーのスウェット姿で、夜中にドンキに生息し日中は部屋でカーテン閉めてそうな雰囲気。最高である。関西バンドだが、おちゃらけた感じはなく、暗い厭世感、退廃的なのに令和スタイリッシュ、そしてラフな危うさを見せるステージング。関西の路地裏にいる近づいたら駄目なタイプのダウナーあんちゃん系。
作り込んでない風に作り込まれたモノを感じる。

私は甘い暴力の曲が好きだが、なかでも「ゲロ」とか「躾」「愛の地獄」とかが好きな拗らせ女子に刺さる方向性だと思う。
アートワークは最近で言うと鐘ト銃声チックな、退廃レトロ感もあり、少しずつ他バンドに似た印象を感じる部分がありつつもその掛け合わせをうまく昇華してこのボーカル独自の世界観を作っている。
音源を聴くとシンプルに美声(最初宮野真守かと思った)、ヴィジュアル系らしい捻くれつつ遊び心ある韻が心地いい歌詞に、聴きやすいメロディラインと、楽曲面でもかなりセンスを感じる。何者?

まだ始動して1年程で音源が解禁されたのも今月。これが東京での初ライブだったということで、1列目しかフリを知らぬような状態だったけど確実にこの日爪痕を残したはず、個人的に大注目株となった。いまだに何者かよく分かっていない。


2.ヤミテラ
観る前:観るのは2回目。ヤミと入っているので勝手にダークなバンドを想定していたが、結構ウェイで楽しかった記憶。

観た後:やっぱり楽しかった。
キラキラのブレスレットをつけた腕がたくさんあがり、結構ヤミテラ目当ての人も多かったのかも?と思った。モッシュでフロアが揺れた。

このバンドはボーカルのパワフルさが他に見ないタイプで魅力的だと思う。盛り上げ方も、嫌味なく、変な乱暴さもなく、ただ楽しくなれる。頼れるいいやつキャラのような印象。
一方で楽器隊はステージを見る限りわりとクールな印象で、そのギャップ故に、完全に陽気なウェイ系になっていない絶妙なカラーがある。(ビバラッシュ、グラビティともまた違う色)
でも総括すると程よく暴れて「楽しい!」って体験をしたい時に見たいバンド。
「前線敬礼歌」好きです。


3.HOWL
観る前:これで3回目。初見が昨年末のV系って知ってる!だったので、可愛い系の歌モノバンドなのかな?という印象。

観た後:可愛い系というところはそのままだったが、歌モノバンドではないらしい。この日はいろんなタイプの曲を披露していた。作画・こげどんぼ先生かな?となる美少年風の見た目はもちろんだけど、全体的にメンバー全員が醸し出す空気感がきゃっきゃしてるので、ヴィジュアル系バンドながらピュアさすら感じる。
が、曲はボーカルの声質もありどこか切なさや儚さがあるのでそういう曲がマッチする印象。

キラキラでもなく、コテコテでもない自分たちはある種の「はぐれもの」であるということに悩み、それを魅力として昇華しようとしている、というような旨を話していた。(と思う)

MCやステージングも親しみやすさがあるので、ヴィジュアル系初心者にもおすすめ。個人的には上手ギターのプレイが好きだった。
ボーカルの声質とうまくフィットしているアンダーテイカーがおすすめ。


4.CHAQLA.

観る前:対バンで被ることが多くもう6回目ぐらい。今ヴィジュアル系の若手で勢いあるのどこ?とフラットに聞けば、たぶんCHAQLA.の名前が一番にあがる。そういうバンド。

観た後:とにかく、ミスキャスト、楽しすぎる。そこそこインディシーンに通うバンギャルが皆「ダメ人間」で暴れられるように、そのうち皆ミスキャスト踊れるようになると思う。
この日の会場でも一番の一体感があった。

一番最初にCHAQLA.を観たのはたしか孔雀座の始動ライブで、そのときはどことなくボーカルがアルルカンの暁さんに似ている印象だったのだが、時を経て良い意味で個性が確立した気がする。演奏や歌声も当時はバランスが不安定だったが、場数を踏んで確実に鍛え上げられており、今は不安を感じない。

独特のアートワーク、型破りなステージング(ベースがお立ち台で歌い出すと毎度驚く)、破茶滅茶が成り立つのは互いへの信頼があるからで、teamwork makes the dream workが頭をよぎる。

観るたびに「売れそう」と思うものの、ヴィジュアル系好きな人がストレートに好きなスタイルからは少し外れていて、その異質さが魅力なので、界隈を拡げたらもっと好きな人増えそう、と思っていたら実際にロック系のフェスにも出るらしい。めちゃ良いと思う。

上手ギターの機材に「何見てんねん殺すぞ」などという文字が書いてあるのが好きすぎて、毎回見てしまう。
各メンバーのキャラ立ちもよいため、わちゃわちゃが好きなオタクに勧めたくなる。


5.XANVALA
観る前:完全初見。観る前のイメージは、コテ系、曲は意外とキャッチー、ワンマンのチケットが安い(2000円)、いつもクリエイティブがスタイリッシュ。よく広告出してる。1年ぐらい観たい観たい言い続けてなかなか対バン被らず、ようやく観れた。

観た後:これがXANVALAか。トリに相応しいステージング。爆音の楽器隊と圧倒的なボーカルの圧。
CHAQLA.がヴィジュアル系ど真ん中から外れた魅力を持つとしたら、こちらはヴィジュアル系の中心をがっつりと貫くタイプ。
見た目も音もコテコテだが、曲はキャッチーなのとボーカルが圧ありつつもメロディアスに歌えるので聴きやすい。
暴れられる曲も多いので、個人的にはRAZORとか好きな人に勧めたい。実際ヘドバンの波がすごかったし、この日たぶん唯一のWODもあった。

コテ系ではあるが全体のステージングはあまり世界観作り込み系ではなく、MCはラフな雰囲気で緩ささえ感じ、曲フリからゴリゴリになっていく。
「外タレかよ」の流れ笑ってしまった。あの見た目で親しみやすさのあるボーカルすごい。ファンもすごく元気。

CHAQLA.のボーカルが出てきてセッションしたCREEPERという曲は、友達に「埋葬っぽくて好きそう」と言われて聞いていたが、実際好きである。

この日は聴けなかったけど「春が刺さる」も好きな曲。

そんなわけで、全バンドが終わり。
アンコールでXANVALAがもう1曲歌って終了。
なんだかんだ21時近かったような記憶。

XANVALAとCHAQLA.のツーマンが発表された。ブラホでキャパ足りる?と正直思ってしまうぐらい2組の熱量はすごかった。

ヴィジュアル系の時代は終わったのか、そうじゃないのか、そんな議論がどうでも良くなるような、沸々とした新時代の熱量を感じる良いイベントだった。

びじゅなびというメディアとシーンの若手たちのタッグは、事情より熱量で動いている雰囲気があるのが非常に魅力的。ヴィジュアル系好きとして今後も期待しているし、次回も楽しみである。

おわり

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