やうやう 創刊号 vol.1 映画ドラマレコメンド

コンテイジョン
コロナが特集の今号でこの映画を取り上げないわけにはいかない。「SARS」(2003)、「豚インフルエンザ」(2009)に続く世界的なパンデミックの恐怖を描いた作品。2011年公開で、今回のコロナを予見したとも言われる。巨匠ソダーバ―グの作品なのでコロナとは関係なく見応えがあり、役者に脚本もしっかりしている。主人公の娘が自宅から出られない状況に「ワクチンができても私の時間を取り戻せるワクチンはないの?」とかけがえのない時間を奪われる痛みへのセリフが心に響く。WHOの活躍や、感染症の恐怖、どのように人に感染するか、そしてデマが流されるかもうまく描かれていて今、必見。 レンタルDVD、Netflixで見れます。

悪い男
2001年 韓国映画 キム・ ギドク監督 「悪い男」 街中で一人 の美しい女 に恋をした ヤクザの男。 女子大生で まだ処女 であった女を自分のテリトリーである最底辺まで引きずり下ろす。売春宿で見知らぬ男に破瓜される姿をマジックミラー越しに見つめる姿は異常である。自分では宝物に触れるがごとく、髪を撫でることしかしない。やがて、女はその男のためだけに体を売り始める。理解できない愛の形。洗脳とかストックホルム症候群とか共依存という言葉にしてしまうと味気ない。「悪」も魅力の一つである。(DVDまたはAmazonプライムで ご覧になれます。)



よこがお
小さな気持ちのすれ違いから、被害者になった女性が復讐をする。最初は時系列が二つあるので混乱するかもしれないが、すばらしい作品。人は誰でも被害者にも加害者にもなりえる。 被害者と加害者は多くの場合、くっきりと区分けできるものであるが、それは結果的にそうであって、加害者や被害者に【なるかどうか】はとても些細なことで、誰もがその危うい立場になりえる。そして、その事実は加害者、被害者という関係だけでなく、恋愛や結婚、仕事上の関係などすべてにおいて、今の立場の違いは誰でもそうなりえた立場でしかない。そう考えるととても怖くなる物語でもある。主人公演じる、筒井真理子が名演。レンタルDVD

カーネーション
NHK朝の連続テレビ小説 「カーネーション」世界で活躍するデザイナー、コシノ3姉妹の母親である小篠綾子をモデルにした朝ドラ史上最高傑作(個人的に)。大阪は岸和田に生まれた「だんじり」好きな少女が洋服に魅せられ、洋装店を営みながら娘3人をデザイナーに育て上げる、という一見よくあるど根性ものと思いきや、昔堅気で自分勝手な父親の壮絶な死、そして道を外れた恋、とタブーまでもが一人の女性に決して明るく強いだけではない人間臭い魅力を与えている。主演に尾野真千子を据えたNHKの慧眼を褒め讃えたい逸品。

北の国から
脚本家、倉本聰の誰もが認める日本を代表するドラマシリーズの一つ。1981年から2002年までの息の長い作品を作り続けていくことができる時代だったともいえる。今見ると女性がばんばんタバコをすい、水商売で働き、トルコに売られる。男は金に困り、死ぬ。【UFO登場】など、めちゃくちゃなところもあるが当時のテレビ局の力もあったのだろう。その点、現代はテラスハウス(おなじフジテレビ)の問題にみられるように、とにかく体裁は整えないといけないけど、実はバズることだけを考えているように見える。昔がよかったとは言わないが、五郎さんがいかだ下り大会で「返せ北方領土!!」といかだに書くアツさを懐かしく楽しみたい。

呪怨
ゲゲゲの鬼太郎を思い出せば、昔の祟り(たたり)は、何も知らない人間が土地を破壊したり、封印をといたりして呪い(妖怪)が立ち上がっていた。基本的に人間が何もしなければ呪いは生まれないもので、妖怪も基本的に無垢な存在だった。そして、この数年のJホラーは、過去に悲惨なことをした人間や被害にあった人間の罪や恨みが呪いを生み出し人間を襲う作品が多かった。今回の呪怨はさらにすすみ、その「場所」自体が悪く、ただ単にそこに住むのがよくないという構造になっている。作中に様々な実際おきた事件の報道がながれて、現代社会の問題は、ただ単に「場所」が悪く、原因や対処法などとくだらない話ではなんともならないと思わせる。それは絶望であり、恐怖でもある現代を浮き彫りにする。Netflix作品


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