(詩) 「地層」




微かに 開き始めた新たな季節の
扉がある
風はあくまでも乾き 星の軌道
夜の瞬きを
そっと私の額に記して去る

流砂のように広がってゆく静寂が
未だ こちらへ届く事のない
遠い音の記憶を孕んでいる
胎動の声が鼓膜に触れる

確かに 開き始めた新たな時代の
河がある
私は ひとつの思いを込めながら
歩き慣れたいつもの道に立っている
一本の樹に手をあてる

そして
あなたの内にながれ 響いている
遥かな時間を聞いてみようと
いまこの両目を閉じている