(ソネット) 「秋 記憶 風」






開きかけている扉がはげしく軋み
静寂を抑え込んだ風がたえず
ただ甘美なばかりの過去へ吹く
すべてをひとつの起伏にかえる川

矛盾、混沌を内包しない透明はなく
薔薇 窓 石 が
儚い調和を生んでいる場所を探して
一本の線で縫いとめてゆく

私はそこで 彼方で混ざり合う
ふたつの香りを嗅ぐ
香りはいつも記憶を癒し 体を包む

ただ 眠りをもとめている
季節の内側で 何もかもをあらう
優しい眠りを 風を 今