ボドゲ の 中 の 価値観

「リスクと共に高いメリットはある」

これが、僕がボードゲームを作る際に考えていることです。
特にトリックテイキングなどの数字のみなどのカードを用いた抽象的なゲームで僕がやりがちなことです。

「ボードゲーム」とひとえにコールしても、その面白さには様々なベクトルがあるわけで…
・どこまで行けるかのハラハラ
・小さな元手から徐々に大きくしていくワクワク
・ウソがばれないかのドキドキ
・しっかり戦略を練るフムフム
というふうに、挙げればきりがないと思います。
その中でも、いわゆる「拡大再生産」とか「エンジンビルド」とかは、「ワクワク」と「フムフム」に分類されると思います。昨今のアメリカンなゲームや60分以上の中・重量級ゲームはこの分類です。
じゃあ「ハラハラ」と「ドキドキ」は何なのよ?って話なんですけど、これは60分未満の簡単なゲーム、いわゆる軽量級のゲームはここでしょう。
その中でも、特に「アブストラクト(=抽象的)」なゲームには多いと思います。数字のみが書かれていたりとか…。そういったカードゲームやダイスゲームには多く見られると思います。

では、冒頭に上げた「価値観」に戻ります。

「リスクと共に高いメリットはある」

これは…どういう意味?といわれましても…。
ぼくには「そりゃそうよ」としか言いようがありません。
逆に言えば

「小さなメリットであればリスクを気にする必要はない」

ということでもあって…。うーん、ゲームを出した方が早い。

このモデルの考え方として優秀なモノに「ゲシェンク」と呼ばれるカードゲームがあります。
簡単にルールを説明すると、
*「3~35」までのカードが1枚出ます ただし数字はマイナス点
*引き取りたくない? なら手持ちのチップを場に出ているカードに付ける
*引き取りたい? なら付けられたチップと共にカードを引き取る
*隣り合う数字のカードは合体して「連続数の最小値だけマイナス点」
 他は全部0点でマイナス点はなくなる(ex:13-14-15-16は4枚合体して-13点)
*手持ちのチップが残っていたら1枚につき1点プラス

という形です。引き取るか引き取らないかは手番ごとに選び、どちらか選んだら次の人に回っていきます。

この時に考えられるリスク(よくないこと)とメリット(いいこと)を考えます。あ、リスクっていい意味も含むらしいんですけど、今回は「悪」だけ考えてください。ごめんね、そういう知識に強い人。

・リスクは見ての通り「マイナス点となるカード」です。誰だって普通は引き取りたくありません。
・ではメリットは?「ついてきたプラス点のチップ」?確かにそれもそうですが、もっと大きなメリットがあります。「カードの合体」です。カードの合体ルールは明瞭でわかりやすいですが、言い換えればこうも取れます。
「カードを引き取ったら、その点数を減じる代わりに、隣り合う数字が0点になる」低い数字ならマイナス点が1軽減されますからもっとメリットです。
つまり、言ってしまえば「カード」がリスクにもメリットにもなり得るという状態なわけです。

これ!
これなんです!

僕が作るときにやりがちなのが「メリットかつリスク」という手法。
良いことをすればその後悪いことがやってきてトントンになる…その逆もしかり。という人生の縮図のような手段ですね。やかましいわ。

でも、それが確実なメリットなのでしょうか。言い忘れていましたが、ゲシェンクには以下のルールもあります。

*開始前に、裏向きに伏せたカードからランダムに9枚除外し、ゲームに登場させなくする。

例えば、20のカードを引き取っても、19,21がこの世に存在しなかったら?それこそ、骨折り損のくたびれ儲けというやつです。
捕らぬ狸の皮算用です。待ちぼうけです。チクショー!ってなるでしょ?

リスクを冒すということは、失敗した時の負債も大きくなることを表します。常に大きなことをする奴が勝てたら面白くありません。ちまちま稼いでいる奴が、周りの大口をたたいている人をみて、墜ちるさまを眺めてあざ笑うのも1つの勝利方法ですから。

「メリットかつリスク」で気を付けたいのは、難易度のグラフがあったとして、それよりも幅狭な曲線にしてはならない事だと考えます。それよりも幅広にしてやらねばならないのです。

レベルが1~10まであって、デカいほどムズイ。で、レベル1のクリア報酬/失敗ペナルティが+3点/-1点だとします。通常であれば、これを基準に「レベルの数」だけ倍にしてやればいいのですが…。もし同じレベルを1人が何度も達成できるとするならレベル1から離れない人がいるかと思います。
そうならないよう、レベル10は+300/-60とかにしてやるなど、明らかな「違い」を見せつけて引き付けてやる必要があります。
逆にレベル10の報酬が+15/-10なんて論外です。それこそレベル10に魅力を感じなくなってしまい、離れてしまうわけです。

分かる人向けになりますが、「SCOUT」もこのモデルに当てはまるかもしれません。
手札に捨て札を加えて強化出来る!…でも、出せなかったら手札は1枚1減点になるし…
というふうに同じ「カード」という媒体が「タイミング」によって価値が変わってきます。

ここまで読んでもらっても、「なんのこっちゃ?」な人はもう次の文章だけ覚えて帰ってください。

「タイミングで」
「1つのアイテムの価値が変わったら」
「面白いんじゃないの!?」

…ということです。

だってそうじゃん。

小さいころ庭で拾った小石が
大人になって宝石になってたら面白くない?

逆も一緒

小さいころめっちゃ大事にしてたトレカがあって
大人になって調べてみたらレアカードじゃなくて流通量多くて大したもんじゃなかったってオチ。

僕はこの「価値」のずれがおもしろいな~と思いながらゲームを作っています。

おわり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?