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日記、エッセイのようなもの

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思いついたことを書いてます。
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記事一覧

在学当時から青々としてます。

在学当時から青々としてます。

学生の頃、宮本輝の「青が散る」という小説を何度もくり返し読んだ。

いわゆる青春の群像モノの小説で、将来への不安とか悩みとかが描かれているのだけど、宮本輝が書くと背伸びがない日常の中にこそ小説で描かれるべきものがある、なんてことを教えてくれる。

この小説の中で特に好きなシーンがある。それは、たしか夏の夕方。馴染みの安い中華料理屋さんで汗をかきながら、悩みとかを語り合い、ビールと餃子をたらふく食べ

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古書店破り。

古書店破り。

人通りが少ない道路に面した古書店。
入口にある小さな看板に書かれた店名は読めない。

覗き込むと店内の両脇には天井まで積み上がっている本棚が並び、その奥に店主の姿が見える。

いわば今日の対戦相手だ。

年齢は40代、お洒落なあご髭、
丸ぶち眼鏡、見たこともない新聞を読みながら入口から覗き込む私を一瞥した。

「たのもー!!」

心のうちで僕は叫ぶ。

「ほう。うちに古書店破りとは大した度胸だ。お

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キャラメルとダイエット。

キャラメルとダイエット。

どうして僕の前にまた姿を現したの?
どうして僕らの思い出を
美しいままに残しておいてくれないんだ?
どうして僕の心をまた揺り動かすんだ?

キャラメル、君に言ってるんだ。

わかってる、たしかに君のことが心に焼きついたことだってある。でもそれはもう遠い過去のことだ。僕はもう君のことは、

やめてくれ、
そうやって僕を惑わせないでくれ。
君のその甘ったるい囁きが僕の歯にまとわりついて離れないんだ。

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「ノルウェイの森」が好き過ぎて真似したこと3選

「ノルウェイの森」が好き過ぎて真似したこと3選

学生時代に初めて読み、その後も繰り返し読むことになった「ノルウェイの森」。当時、気がついたら真似していたこと3選をあげたいと思います。

授業は一番前の端の席で受ける私は大学では留年を繰り返し、合計7年通っていました。最後の2年で卒業だけはしようと心に決め、必死に授業を受けました。単位は欲しいし卒業はしたい。授業もそれなりに聞けば面白いのはわかってる。でも、なんとなく従順に授業を受けるのは気恥しい

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書く人はシャイじゃなきゃいけない

書く人はシャイじゃなきゃいけない

本物を見るのは大事だと思う。先日あるイベントに参加してキングコングの西野さんをはじめて見ることができた。この人のことを真似したい、って久しぶりに思えた。

会社でイベントがあった。それは親子の会社見学をするイベントで私はとあるブースの案内役に選ばれた。

私は会社では「控えめ」「大人しい」というキャラであり少し変わったところだと「何を考えているのかわからない」「一歩いつもひいてる」と思われているよ

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人工知能と勝負してみた。

人工知能と勝負してみた。

突然、思い立ちました。

「人工知能と勝負がしたい」

そういうわけで今回の対戦相手は世界の人気者「ChatGPT」です。

パチパチパチパチ。

勝負内容はこちら。

お題 → 「(*´ ˘ `*)にふさわしい文章を作成せよ」

フフフ、相手にとって不足はない。
世の中では世界を変える知能とか言われているらしいが、その実力を見せてもらおうか。

では、文章作成のためのプロンプト(指示)を入れてや

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読まれなくても良い、という境地。

読まれなくても良い、という境地。

閲覧数を意識して日記を力んで書こうとすると
かえって読者から敬遠されてしまうことはよくあるものです。

それはつまり、自分を良く見せようとか、普段以上の自分を演出しようとするからそういう事態に陥ってしまうのでしょう。

それならば、何も考えずに、ほぼ「無」の状態で日記を書けば邪念は消え去り、自ずと閲覧数が伸びる日記が書けるようになるのではないでしょうか。

いや、これは誤りでしたね。

気がついた

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「小説に例えるの、好きだね?」

「小説に例えるの、好きだね?」

「小説に例えるの、好きだね?」

そう言われた事がある。それまでは自覚が全くなかったから気づきもしなかったけれど、たしかに僕はある出来事を、それまでに読んだことがある小説や漫画やアニメ、観たことがある映画、演劇、ドラマ、などに例えてしまう癖があるのかもしれない。

ベタな例だが、例えば自分にも理由や説明がつかない行動をしてしまったときに「うん、まあ『異邦人』にあったけど、そういうことがあるもんだよ

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浦島氏の危険な読書

浦島氏の危険な読書

浦島は海辺で小説を読んでいる。
時折ページから目を上げ遠くの水平線を眺める。

どこからか数人の若者が現れる。
そして次々に大量の本を積み上げていく。

浦島はじっとその様子を伺っている。
彼にしてもこれから何が始まろうとしているのかは分からない。

するとある若者がマッチを擦り、
無数に積まれた本の上にそれをかざした。
本を燃やすつもりなのだ。

浦島は静かに立ち上がり、
若者たちの輪に近づいた

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同級生とミニスカート

同級生とミニスカート

会社から車での帰り道、いつも目に入るキャバクラがある。その前を通るたびに、あの夏の夜を思い出す。

と言っても大したことは起きてないのだけど、なぜか妙に心に残っている。

なぜだろう?

当時の僕は一浪中。その他の友達の二人は大学生となり青春を謳歌していた。三人でお酒を飲み、夜も更けてきて、当然のようにキャバクラに行くことになったのだ。

お店に入り席に着くと、さっそくキャバ嬢が隣に座ったのだけど

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片言日記

片言日記

駅に着いて改札口を通る。小さな郊外の駅。多くの人は左の方に進む。左に行くとバスのロータリー、タクシー乗り場があって駅前の唯一のコンビニがある。

右に行くと駐輪場があってたくさんの自転車が置いてある。もう日が暮れてはっきりとどんな自転車が置いてあるのかは見えない。小さな無数の緑色のライトが光っている。朝には見えなくなってしまうような光り方だ。

あたりは暗い。通り過ぎる人の顔がちょうど見えないくら

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片言日記

片言日記

中くらいのマンションのような建物が目の前に見えるのだけど、それが景色の一部かと言われるとちょっと違う気がする。長くここに住んでるいるけど、このマンションのような建物が話題にあがったことがない。

僕が小学生の時も、中学生の時も、大学生の時だって変わらずそれはあったけど、思い出の背景にも何かの匂いと関連してることもない。

初めてその建物を見上げてみるとそれはやっぱりマンションだった。たぶんマンショ

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僕のPERFECT DAYS

僕のPERFECT DAYS

朝、4時半に起きる。寒いので寝巻の上に上着を羽織ってから階段を降りる。給湯器に水を入れコンセントを入れる。トイレに行き用を足してから鏡の前で寝ぐせを直す。仏壇の前に座り線香をあげて、りんを鳴らす。

水が沸騰するまでもう少し。お気に入りの雑誌を1ページだけ読む。インスタントコーヒーを作って自分の部屋に行き椅子に座る。パソコンの前で自分の時間を過ごす。

玄関で財布と鍵束をポケットにつっこみ家を出る

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「春の足音」

「春の足音」

とあるオシャレな雑誌のページをめくる。すると、余白たっぷりの真っ白な見開きのページに「春になったらしたいこと」と小さな明朝体で書かれた黒い漢字が目に入る。

そのタイトルの下には、いくつかの春になったらしたいことが、さらに少しだけ小さくなった言葉となって縦に並んでいる。

その言葉たちの横には淡い小さな風景写真。

たいしたことでもないのに、なんだかとてもオシャレなことのように思えてくる。

「ハ

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