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ソロギター2番【鎮魂火】


私はある美大生の役に立てたのか?

つい先日の話です。
夜の京都にて、とある楽器店に趣味であるギターの調整に来た彼と少しだけお話をしました。
非常に真面目な印象の、しかし断固たる独自の哲学を持ったような美大生で、絵画あるいは漫画等の様々なコンテストに出展しているとのこと。
若い頃の創作意欲というのは止まれないもので、彼はさらに作曲まで挑戦したいと言っていました。

その日は時間的な都合もあったので昼頃に私が作った曲にて、テーマやモチーフの使い方のさわりだけを説明したのですが、最中に彼から興味深い話を聞かせてもらえました。
何でも過去に京都アニメーションから下請けの仕事があったようなのですが、かのスタジオ襲った放火事件により仕事そのものが無くなってしまったとのこと。
ここにも被害者が、、、いたたまれない気持ちになりました。
犠牲になったのはスタジオに勤務していた人だけではありません、そこから仕事を貰っていた業者や彼のような駆け出しの若人も巻き込まれていたのです。
報道で目にする凄惨な悲劇は、しかし実際には報道すらされずに二次被害に遭われた方もいたんですね。

これは他人事ではありません。
何故なら私自身もヤマハさんにアレンジを納品したり楽器店から委託されたレッスン等を行う下請け業者の一人だからです。
彼の気持ちは痛いほど分かります。
自分の創作物や成果が何の関係も無い暴力により閉ざされる。
このような事が許されて良いはずはありませんが、、、その続きは司法関係者の方々のお仕事ですので私にできる事はほとんどありません。

無力です。
ひたすらに無力さを感じます。

私がその日、彼と会う前に作った曲はレクイエムでした。
しかしこれでは足りません。
彼の話を聞いてしまった以上は魂だけでなく火も鎮めるような曲を書かねばならない。それこそが私のような、しがない音楽家にできるたった一つの抵抗なのでしょう。

よってこの曲は鎮魂火になります。
皆さま、2月3月は最も火事の多い季節です。
自戒の念も込めて、ここに注意喚起をさせて下さい。
そして彼の名を私は知りません、短い時間の出会いで名前を聞きそびれたからです。それでも尚あの美大生が大成することを願って。

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