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方向性を見失った時がいちばんつらい

矢沢永吉さんの「成りあがり」を今更読んだ。繰り返し読むファンがいるとか、もはやビジネス書だとか、いろいろな評判は聞いていて、いつか読みたい本の一つではあった。あまり自分が普段選ばなそうな本を読みたいな、と思ったのでピックアップ。一気に読めた。

ちなみに矢沢永吉さんの事はほとんど知りません。熱狂的なファンを持つアーティストのひとり、というイメージ。カリスマ。CMでみたことある。そんな感じ。

よく知らないながらも、「成りあがり」おもしろかったです。そのハングリー精神や、イメージと違いわりと堅実だったり弱気な面もある普通の人でもあるんだな、ということに感動したり驚いたりして楽しく読めた。

印象に残ったのは、「ひとは方向性を見失った時が一番辛い」というような内容のフレーズ。確かにそうだと思う。明日が見えない、明日が暗いと思う状態は本当に苦しい。

ひとは、何のためか分かっていれば頑張れる。だけどその先に何も見えないと頑張れない。どこへ向かえばよいかわからないままでは、つらい。

いま、日本が生きづらいことと関係がある気がした。将来は今ある仕事がなくなるだとか、年金払っても税金払ってもリターンが不十分かもしれないとか、氷河期世代が大量に困窮するかもしれない不安とか、大災害が起こる可能性。不安が蔓延しすぎていて、希望が持ちにくい。今の子は「将来の夢、なりたい職業」だって描きづらい。どうやって方向性を定めればいいの。

矢沢さんには音楽があった。それを見つけたひとはしあわせだ。

一生をかけるみたいな壮大なことでなくてもいい。近い将来のことや、実現可能性が高いことであっても希望を持って生きられるといい。方向性を見失いそうになったら、リセットして自分を見つめ直せるくらいの余裕があるといい。だけど、希望を持つことやリセットして休むことも難しい人も、世の中にはいる。そういうひとが減ればいいな。切実に。そのためにわたしたちができることは何だろう。ずっと考えている。

とりあえず、今のわたしにできることは、今ある仕事をすること。周りの人を安心させ、笑顔にするように努めること。栄養についての知識を増やし、おいしいごはんをつくること。小さなことを重ねていく。

わたしには小さな希望も、ちょっとだけ大きな野望もある。たまに忘れそうになるけど、忘れそうになったら思い出したい。そんな時は、また矢沢さんの本を読み返そうかな。How to be big、わたしはビッグになろうとは思わないけど、心動かされました。

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