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勝利条件の導出手順

 勝利条件とはなんなのか、どうすればそれは導き出せるのか。ずっと考え続けている。何度も書いている。

 獲得目標=契約的勝利条件を得るために満たすべき必要条件、これを中間目的=戦術的勝利条件と呼ぶ。戦術的勝利は、前提条件、つまり現状認識と獲得目標のギャップから導出される。
 これらの間に未知性が存在しなければ、問題を定義できた瞬間、解ける。つまり、どのような施策によって戦術的勝利条件が満たせるかが確定できる。
 (プロジェクト設計問題のレベルとしては、さしずめ「レベル1」といったところである)

 第一の問題は、前提条件への認識や、契約的勝利条件におけるマスト要件に未知性がある場合である。本当にその契約的勝利条件が関係各位の要求を満たすのか?所与の条件は自明なのか?つまり作戦立案する基盤が成立していない場合である。
 この場合は、設計解として施策を導出することに、さほどの意味はない。むしろ、なんのためにその契約的勝利条件を満たすのかを、考えなければ、意味のある推論にならない。(レベル2)

 第二の問題は、そこに不可能性がある場合である。わかっちゃいるけど、実行不可能だということは、割によくある。つまり、前提条件と戦術的勝利条件が矛盾をきたしているとか、そもそも契約的勝利条件の内部構造自体が矛盾している、とか。
 本来、無矛盾でない設計解を提示して、それで解けたと言っていいわけないはずなのだが、こうした構図は、実践的にはよくある。(レベル3)

 さて、我々が手にすべき方法論とは、問題が未知性と不可能性の両方を孕んでいる場合である。(レベル4)

 レベル4のプロジェクト設計問題を解く際に、戦術的勝利条件について、いくら頭を使ってうんうん唸っても、無益である。その際には、戦略的勝利条件を導き出さなければならない。契約的勝利条件と戦略的勝利条件は、互いに対をなす。前者はそのプロジェクトを経済の側面から言い表した言葉であり、後者は当事者達の動機の側面からのそれである。あるいはこうも言える。
 戦略的勝利条件とは、最も自明な前提条件が、本当に無前提の善であるかを問い、その真偽を明らかにするような問題提起である。
 契約的勝利条件と戦略的勝利条件の間には、矛盾しているからこそ両立する、といった不思議な関係が成立する。

 もちろん、そんな摩訶不思議な論理は、積み上げ式の論理から導出することは不可能である。しかし、問題をここまで定式化すると、ある種の手順やパターンによって、これを導くことは可能であるようにも思える。

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