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HSPにはライターとしての資質がある

「HSP」と「HSS型HSP」の違い

先日、友人とランチしていると、「私、HSPなんですけど」と言うので、「ぼくもだよ」と笑いながら返すと、「中村さんもですか? でも私、HSS型なんですよ」

と言われて、そのとき初めて、HSPの中にも「HSS型HSP」というものがあることを知った。

日本では『繊細さん』という本がヒットしたことで、一躍HSP(Highly Sensitive Personの略)の存在が知れ渡った。

「自分の生きづらさの原因はこれだったのか!」と長年の疑問が晴れてスッキリした人も多いはず。ぼくもそのひとりだった。

その本などの影響で、HSPのことを「繊細さん」と呼ぶ人もいる。そしてHSS型HSPは「かくれ繊細さん」と呼ばれているのだが、それは繊細でありながらも、好奇心旺盛で外部の刺激を求めたり、社交性があったりするために、一見すると「非繊細さん」であるかのように見えるから、だそうだ。

詳しくは、『その生きづらさ、「かくれ繊細さん」かもしれません』という本をおすすめする。非常におもしろい。

統計的には人口の15~20%(およそ5人に1人)がHSPで、さらに稀なHSS型HSPは人口の6%ほどだという。

HSPは生まれ持った特質であり、病気でも障害でもない。ただ、自分のことを理解してうまく感情や思考をコントロールできるようにならないと、生きづらさがある。

もし、自分もHSPかも? と思ったら、以下の項目について確かめてみてほしい。

・いったん立ち止まって確認する
・何度も考える
・深くて複雑な内面世界を持っている
・とても内省的である
・誰かと深くつながることで活力を得る
・刺激を消化するために誰にも見られない一人の時間が必要である
・一人になって過剰な刺激から回復するのに時間を必要とする
・少数の親しい、誠実な、本物の友情だけでも満たされる
・優しく穏やかである
・共感力がある
・創造的である
・先見性、予測力がある
・熱心で洞察力が鋭い
・深い意味を感じさせる関係に関心を持つ
・意義深い人生の探究をする
・好きなことをしているときの集中力がすさまじい
・仕事に情熱を持つ傾向がある
・物事の理由、因果関係に関心を持つ
・精神的なプラスを、現金収入よりも大事に感じる傾向が強い
・1対多で話すのが苦手である(1対1は得意)

もしこれらの多くが該当したら、HSPかもしれない。

そして、さらに以下の要素が該当したら、HSS型HSPの可能性が高い。

・周囲の目を強く気にする
・外部からの情報を必要とする欲求度が高い
・内向きの活動をしすぎると、活力が失われ、イライラし始め、やる気がなくなるといった抑うつ傾向が強くなる
・他者とコミュニケーションしたいと望む
・人がしていないことをしたがる
・飽きっぽいところがある
・思いが通じ合う人たちと、自分のアイデアを共有しがたる
・現状を改良したがる
・仕事以外のところ(たとえば人間関係)で違和感を感じて、仕事そのものに嫌気がさす
・人と共感しあい協力的であるとき、最大の力を発揮する
・誤解されている、疎外されている、あるいは否定されていると感じるとき、猜疑心や違和感が生まれてうまく自分を機能させられなくなる

ぼくはこのリストを眺めながら、自分がHSS型HSPであることに気付いてしまった。ほぼすべて当てはまるが、とくに、

・外部からの情報を必要とする欲求度が高い
・人がしていないことをしたがる
・仕事以外のところ(たとえば人間関係)で違和感を感じて、仕事そのものに嫌気がさす
・誤解されている、疎外されている、あるいは否定されていると感じるとき、猜疑心や違和感が生まれてうまく自分を機能させられなくなる

は強く実感している。「スポンサーを集めて自転車でヨーロッパ一周」とか「東京から大阪まで23日かけて歩いてみた」とか、誰もやらんよね。たしかに、「自分ってちょっと変わっているかもな」という自覚はあった。けれど、これらの癖や性格が、HSS型HSPが原因で生まれていたのだと、今まで気付いていなかった。

ところで、この本を読み進めながら、通常のHSPであれ、HSS型HSPであれ、この特質を持っている人は、ライターという職業にとても向いているんじゃないか、という仮説を抱いた。

そこで昨日、こんなツイートをしたら、想像以上に大きな反響があり驚いている。

なので今回は、「ライター向きだな」と感じるHSPの特質について、深掘りしてみたい。HSPのライターの方は、ぜひ自信を持ってほしい。

1. 聞き上手で、インタビューの才能がある

HSPの多くは、聞き上手である。人の話を聞いていると、相手が楽しそうに話してくれて、話が止まらなくなったりする。適切な質問や相槌を挟むのもうまく、相手から「スッキリした」「頭の中が整理できた」「つい話し過ぎてしまった」などと言われることも多いはず。

1対多は苦手だけど、1対1なら大丈夫。そして人の「深い部分」への興味が尽きないから、表面的な話ではなく、深い話が大好き。

細かな配慮ができ、相手に合わせるのもうまいから、話し手は嫌な思いをしない。

これらは丸ごと、取材・インタビューにおける大切な才能である。HSPはある意味、特別な訓練や練習をせずとも、インタビューに必要な要素がデフォルトで備わっていると言えるのかもしれない。

また、このような時間の共有により相手との間に強い結びつき、信頼関係が生まれるので、以前インタビューした方から人や仕事を紹介されたり、ということもよくある。これもHSPのメリットである。

2. 常識を守る才能がある

・非常識なことをしない
・目上の方への態度がきちんとしているので、好かれやすい
・基本的な挨拶ができる
・マナーを守れる
・時間や締め切りや約束を守れる

これらは当たり前のことかもしれないが、社会に出ると非常識な方や約束を守れない方も意外といるので、デフォルトでできるのは武器になる。

3. 感受性が高く、体験からさまざまなことを学び取れる

HSPの人は、気付く力や感受性の面で長けている。同じものを見て、普通の人が3しか気付かないところを、10気付いたりする。

ぼくは学生時代、どうしてこんな些細なことでいちいち悩んでしまうんだろう、と落ち込むことも多かった。しかし、mixiやブログというツールを手にしてからは、感情を言語化することで、スッキリする、精神を安定させられる、ということがわかってきた。そして書き続けていったら、ライターとしての道が自然と開けてきた。

・旅先で出会った人からこんなことを言われて、ぼくはこう思った
・彼のこういう姿勢が素晴らしいと感じた
・美術館で絵画を見ながら、あのときのことを思い出した
・こういう出来事があって落ち込んだけど、こう捉えることで前向きになれた

そんな感情の言語化は、HSPにとっては呼吸と同じくらい大切で、生きるために必要な作業だった。書く力をつけたかったから書いていたというよりも、HSPだからどうしようもなく書いてしまう。書かずにはいられない。人間、何事も続けていれば上達するものだから、結果として「書く力」がついた。そして同時に、ほかの誰かにとっての「読み物」としても成立した。

きっと、HSPにはエッセイを書く才能もある。これまで書いてこなかったとしても、磨けば光るはずだ。

4. 様々な面で仕事での優位性を発揮できる

他にも、HSPには仕事で役立つ特質がたくさんある。

・人が気づかないことに気づいて、スムーズに進められたり、インタビュイーやクライアントに喜んでもらえたりする
・速く、綺麗に、クオリティ高くできる
・相手の要望をすばやくつかんで何が必要かわかって対応できる
・先読みが当たる
・こうしたらいいんじゃないかな、という良い提案が浮かぶ
・難しいことを簡単に説明する力がある
・プロジェクトの立ち上げなどに関わったときに燃える
・情報収集が得意で、全体像を見渡せる
・人の行動をよく見ていて覚えているので、言われたことにプラスアルファができる
・上司が何を求めているかわかる
・向上心や探究心が高い
・無駄をなくすのが好きで、仕事の効率化を図れる
・自分にとって安全か安全じゃない人かを判断できる。近寄らない方がいい人や仕事が直感でわかる(クライアントとの関係においてメチャクチャ大事)

あなたはなるべくして、ライターになったのだ

HSPは人知れず苦しんでいるが、ライターになれば、その特質は強みになる。

「繊細だからこそ、人が気付けないところに気付ける」
「共感力が文章に生きる」
「きちんとしていて、誤字・脱字が少ない」

など、様々な特質のひとつひとつが、ライターという職業に向いている。

また、繊細だからこそ、人が見過ごしてしまうような小さな変化に気付けるし、ひとつの体験から5個も10個も学びが得られ、それを書くことで「学びがあった」と読み手に喜んでもらえる。

個人的な意見としては、HSPは感情を言語化する能力や、聞き上手で1対1での関係を築く能力に長けているのだから、SEO記事よりも、本来はエッセイやインタビュー記事を書くのがより向いていると思う。

あとは少しアドバイスとして。HSPは、他人からどう思われるかを怖れて、瞬間的に沸き起こる感情やモヤモヤに蓋をしてしまうこともある。そうして言語化しないで済ませていると、そのうち自分の感情が自分でもよくわからなくなってきて、感情認識が鈍ってしまう。それではせっかくの特質がもったいないから、モヤモヤしたら、人に見せなくていいから紙に書き出すといい。感情の整理になるし、やりようによっては記事のネタにもなる。

また、本書には「HSPはお金の不安によって自己肯定感が著しく下がる」とも書かれていて、非常に興味深い視点だった。

それを読んだとき、以前自分がこのnoteを書いた必然性を感じた。

ぼくは、収入の安定とメンタルの関係は、「フリーランスにありがちなこと」と思って書いたが、正確には「HSPにありがちなこと」だったのかもしれない。

昨日のツイートの反響やアンケート結果から、HSPのライターがいかに多いかもわかってきた。きっと「感情を言語化する習慣」を元から持っていた人も多いはず。あなたはなるべくして、ライターになったのだ。

ぼくは今ライター向けにコンサルをしているが、HSPのフリーランス向けのコンサルもできるんじゃないかと思い始めてきている。実はコンサルしているライターさんの中にもHSPの方が非常に多く、コーチング込みでアドバイスできるので、ものすごくお役に立てている実感がある。この特質に振り回されたり、潰されたりするのではなく、この特質を利用して、輝かしい人生を送る人が、ひとりでも増えたらいいなと思う。

お金になる・ならない以前に、HSPのライターは、心に沸き起こった感情やモヤモヤを、どんどん書いていこう。人の役に立つことを書こうなんて、思わなくていい。ただ書きたいことを書けばいい。その習慣が、きっと未来につながっていくはずだ。

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