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7年前の、あるオーストラリア人親子との出会いから

2016年7月。新宿駅の地下構内を歩いていたら、二人組の外国人が、地図の前で立ち止まっていた。困っている様子だったので、思わず声をかけた。

「どこへ行きたいんですか?」

「ソードミュージアムに行きたいんだ」

「ソードミュージアム?」

新宿にそんな場所あったっけ? もしかして、日本刀? 調べてみると、初台方面に「刀剣博物館」というのがあったので、画面を見せた。

「ここ?」

「イエス!」

正直、行き方を説明するのはぼくの英語力では難しかった。

「ソードミュージアムまで案内するから、一緒に行こう」

「本当に? ありがとう!」

彼の名は、アントニウス。23歳(当時)。オーストラリア人で、お父さんとやってきたそうだ。彼自身は以前、札幌に行ったことがあり、日本は二回目だという。普段はシドニーの銀行で、ハッカーからコンピューターを守る仕事をしているという。

刀剣博物館は初台に近い場所にあり、20分近く歩いた。しかし、その間に様々なことを聞けた。日本には2週間いて、札幌、函館、福岡、広島、姫路、大阪を訪ねたこと。とんこつラーメンが大好きで2週間で5kg太ったこと。お城や日本刀が好きなこと。ジェットスターのおかげでこれまでよりずっと安く、日本を訪ねられるようになったこと。色んなことを知った。

外は雨で、彼は傘を持っていなかったから、ぼくの傘に入れてあげた。持っていたのがビニール傘じゃなくて良かった。これは皇室御用達の傘屋さんの16本骨の傘なのだ、と英語で説明できなかったのが悔しい。(この傘が盗まれてしまったエピソードは以前書いた。この日は数少ない活躍の場だった)

ようやく刀剣博物館についた。こんな場所知らなかった。学芸員の方に聞くと、7割が外国人のお客さんだという。展示をチラ見したが、どれも同じ刀に見えた。

「慣れてくると、細かな違いがわかってきますよ」

今日が旅行の最終日で、夜の飛行機でシドニーへ帰るそうだ。

「あと他にどこへ行くの?」

「もうここだけだよ。あとは浅草のホテルへ戻って、荷物を取って、成田へ向かうんだ」

なんと、わざわざ浅草からこの小さなソードミュージアムへやってきて、これで終わりなのか。移動の方が長いじゃないか。もっと最終日らしい、良い過ごし方はなかったのか。と頭の中で渦巻いたが、

「親切にしてくれて本当にありがとう! 今度はシドニーで会おう。ぼくが案内するよ」

「Thank you! Enjoy and Have nice time!」

ソードミュージアムへやってきたおかげで、ぼくは彼と出会えたのだから、やっぱりこれで良かったのだ、と思えた。

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あれから7年。今日、「そういえばこんな出来事があったな」と思い出し、ぼくは彼に連絡してみることにした。今もシドニーに住んでいたらいいのだけど。

アントニウスからの返事はすぐにあった。

「もちろんYotaのことは覚えているよ!刀剣博物館に連れて行ってくれたよね。今はシドニーを離れて、サンフランシスコに住んでいるんだ」

覚えていてくれて嬉しかったが、残念ながらもうシドニーにはいないようだ。奇跡の再会とはならなかったか。

そう諦めていたら、思わぬ展開に。

「シドニーにいるぼくの妹が街を案内できるかもしれない。彼女も旅行が好きで、日本は特にお気に入りの国なんだ」

「なんと!もし会えたら嬉しい!」

そして妹さんに連絡すると、

「Hi Yota, pleasure to meet you! My brother mentioned you’d be coming to Sydney. Very happy to meet up. Have you made any plans for your time in Sydney yet?」

と返信をくれた。ぼくは運良く彼女に会えるだろうか?

物語の続きは現地でのお楽しみだ。伏線回収の時がやってきた。

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