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フィンランドの旅(3)

滞在3日目。今日はヘルシンキから日帰りで、エストニアの首都タリンへ行く。

ヘルシンキからは毎日何本ものフェリーが出ていて、フィンランド湾を渡って2時間〜2時間半程度でタリンの港に着く。フェリーはいくつかの会社が運行していて、それぞれ発着場が異なる。

ヘルシンキとタリンの位置関係

ぼくが「バイキングフェリー」という会社を選んだのは、いちばん料金が安かった(往復3600円程度)のと、発着所が宿から徒歩3分という好立地にあったからだ。

フェリーの予約には、「Direct Ferries」というサイトが日本語対応していて便利だった。フェリー自体にそこまで大きな差異はないと思われるので、料金のほか、宿と発着場の位置関係も考慮したうえで選ぶと良いだろう。

今朝は7時45分発のバイキングフェリーに乗船した。30分前にチェックインを完了させなければいけないため、念のため1時間前にフェリー乗り場へ行った。そしたら、外は真っ暗なのに、大勢の人が乗り場に向かって歩いているから驚いた。こんなにたくさんの人がタリンへ行くのかと。もちろんぼくのような観光客もいるだろうが、多くは地元の人のように思えた。車ごと船に乗せる人も多い。特別な日とかではなく、これが日常なのだ。

朝7時前にもかかわらず、たくさんの人がフェリーに乗り込む

人々は、大きなリュックやスーツケースを持っている。ぼくは2011年に、海外添乗員としてタリンを訪れたことがある。バルト三国(リトアニア、ラトビア、エストニア)を巡るツアーだった。その際に、タリンのガイドさんが話していた。「エストニアは物価が安いから、フィンランドから毎日大勢の人がフェリーでやってきて、大量のお酒を買って帰るんです」と。今まさに、その光景を見ているのだ。

船は10階建ての大型客船だった。ぼくはクルーズ旅行をしたことがないから、こんなに大きな船には乗ったことがなかった。

広大な船内

10階まであっても、人々が過ごす場は主に7階と8階である。ここに大量の席があり、乗客は好きな席に座る。レストランやバー、カフェ、スーパー、ゲームコーナーなどもあった。

ゲームコーナー
7階のバー

5階から下は貨物や車の置き場。6階はホテルのような客室(キャビン)が並ぶ部屋。9階と10階はデッキになっていた。

猛烈な風が吹いていたが、デッキからの景色は絶景だった。美しいヘルシンキの街が遠ざかっていき、氷の海を進んでいく。小さな島々もあった。

氷を割って進む
デッキからの景色
氷の張る海が美しい

氷の張る海は、ある時点からまったく氷のない海に切り替わった。その境界線を見たのも初めてだった。

海が凍る境界線

ぼくは「ロバーツコーヒー」の近くの席に座った。そして2.9ユーロのコーヒーをすすりながら、パソコンを開いて原稿を書いた。念のため酔い止めを飲んでいたが、ほとんど揺れることはなかった。Wi-Fiもあり、思った以上に快適に過ごせた。

船内でも人気のロバーツコーヒー

10時ちょうどにタリンに到着し、歩いて旧市街へ向かった。

タリンの港で、乗っていた船を見る

港から旧市街の入り口までは徒歩15分ほどで着く。「太っちょマルガレータ」の異名を持つ、街の防御のために16世紀に建てられた巨大な砲塔がある。

太っちょマルガレータ

現在は「海洋博物館」になっているのだが、そこの門をくぐると、城壁で囲まれたタリンの旧市街に入ることができる。

いざ、タリン旧市街へ

旧市街に入ると、パステルカラーの美しい街並みが広がった。

パステルカラーの街並み

階段を登り、2つの展望台を訪れた。パットクリ展望台とコフトウッツァ展望台。この2つはすぐ近くにあるが、角度が異なるため微妙に景観も異なる。いずれにせよ、高いところから見下ろすタリン旧市街は、赤い屋根が美しい。

コフトウッツァ展望台からの眺め

ロシア正教会のアレクサンドル・ネフスキー教会に立ち寄り、タリンのシンボルである「ヴィル門」を訪れた。ここで、待ち合わせしていた人がいる。

*****

エストニアの建築家(兼アーティスト)であるUrmas Muruさんは5年ほど前、ドイツの新聞を読んでいたときに、興味深いコラムを発見した。

そのコラムによれば、日本には「ぬいぐるみのための旅行会社」が存在するらしい。

Urmasさんは2019年、娘のLisaさんと一緒に、その旅行会社(=ウナギトラベル)のツアーを利用することにした。

すなわち、自分たちが日本へ行くのではなく、分身である2体の小さなテディベアを、日本へ送ったのだ。

そしてぬいぐるみを預かったウナギトラベルによって、テディベアたちは他の参加者と一緒に東京の観光を楽しみ、滞在を満喫した。その様子を写真で見て、エストニアにいるUrmasさんたちも楽しんだ。おまけに、そのときのツアーの様子はフジテレビの「Mr.サンデー」にも取り上げられ、「エストニアからの参加者」としてテレビにまで映ったそうだ。

数日前、ウナギトラベル代表の東さんからご連絡があった。ぼくがヘルシンキからフェリーでエストニアに行くと知り、「日帰りなのであまり時間はないと思いますが、もし少しでも会えたら」とUrmasさんを紹介してくださったのだ。

そして当日。少しだけ旧市街の観光をしたあと、ヴィル門でUrmasさんと会った。

ヴィル門にて、Urmasさんと

まず、「Levier」というカフェでランチを取ることにした。食事を待つ間、お土産を渡した。娘のLisaさんが猫好きということで、様々な日本の猫グッズをプレゼントした。喜んでくれたようだった。

Levierでランチ。サーモンとアボカド、半熟卵のトースト

また、ぬいぐるみを旅させたときの話や、昨年Lisaさんと一緒に日本に来たときの話を聞いた。

拙い英語で談笑

食後は、スーパーに寄った(マジパンのお菓子を買った)あと、タリンの旧市街を少し案内してくれた。

14世紀に立てられたヴィル門、聖カタリーナの小径、旧市庁舎のあるラエコヤ広場、聖ニコラス教会などを回った。

聖カタリーナの小径
旧市庁舎の建つラエコヤ広場

わずかな時間ではあったけれど、日本にゆかりのあるタリン在住のエストニア人と交流できて嬉しかった。Urmasさん、東さん、ありがとうございました!

エストニアはリネン製品で有名
鍋敷きも人気のお土産のよう

Urmasさんと別れたあと、少しお土産屋さんを物色し、1806年創業のタリン最古のカフェ「マイアスモック」でケーキとコーヒー休憩にした。ピスタチオのケーキ。日本で食べるケーキとは、かなり異なる味がした。

タリン最古のカフェ「マイアスモック」
歴史を感じる店内
ピスタチオのケーキ

17時半のフェリーに乗り、20時にヘルシンキに戻ってきた。案の定、乗客たちは大量の荷物を持っている。たくさん買い込んできたようだ。この土地らしい景色を見られた。

タリンは中世ヨーロッパの趣を色濃く残す街で、ヘルシンキとは全然雰囲気が異なる。日帰りで気軽にエストニアの空気を吸えるのも、ヘルシンキ滞在の魅力のひとつと言えるだろう。

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