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【創業2期目:黒字化×300%成長】COOから見たBtoB SaaSスタートアップの軌跡

2019 年 8 月 1 日に村岡(CEO)と粂(COO)の 2 名で創業した QuickWork は、自己資本比率 100 %かつ黒字を維持しつつも、第 2 期の最終月である 2021 年 7 月時点でメンバー数 64 名まで拡大し、売上規模として昨年比 300 %以上(T2D3 の成長水準をクリア)の成長を遂げることができました。

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また、前回記載した創業後 1 年間( 2019 年 8 月〜 2020 年 7 月)の試行錯誤をまとめた「【0→1】非エンジニアがWeb開発で、1年で年商2億円ラインを超えた話。」や、「創業1年で年商2億円ラインを突破したQuickWorkの6つの成長戦略」などは起業を検討している方や、既に経営者として活躍している方を中心に読了いただき、 21,248 PV、 1,093 いいねを集めるほどの反響がありました。

起業は創業初期であればあるほど情報戦です。「知ってるか」「知らないか」で経営状態が左右されることが多く、他の起業家・経営者、起業を検討している方、COO に興味のある方にとって有意義な情報源となるよう、2 期目を振り返り、事細かに言語化しました。創業 2 期目( 2020 年 8 月〜 2021 年 7 月)の試行錯誤を、COO 視点で振り返りできればと思います。

■創業 2 年で得た実績まとめ
・外部資本 0 ,  2 期連続黒字達成
・シード期 / シリーズ A の資金調達をスキップ
・コロナ化で成長し続けている企業「Fast Movers」選出(国内 138 社)
・日本の人事部「HRアワード入賞」
・営業支援SaaS「顧客満足度No.1 」獲得
・経産省から「IT導入補助金」対象事業者として認定
・B1 プロバスケットチーム「滋賀レイクスターズ」のDXスポンサーに就任
・東急Sレイエスフットボールクラブのオフィシャルパートナー就任
■noteを書こうと思った背景
創業からの企業の存続割合は 5 年経過後約 40 %、(引用:【経営コラム】創業 5 年の生存率が深刻に低い本当の理由)です。100 人起業家がいれば約 60 人は 5 年以内に倒産廃業になってしまいます。会社経営を始めて 2 年経過して感じたのは、事前に知っていれば適切に対策を施すことでリスクを回避できることが沢山あるということです。勇気を出して 1 歩踏み出し起業にチャレンジする方に、本記事が少しでも参考になれば嬉しいなと思い note を書くに至りました。また、COO 視点での経験談などは世の中に多く開示されておらず、僕自身の COO としての経験を振り返り、共有できればと思います。
■想定読者
・COO に興味のある方
・起業に興味のある方
・創業期のスタートアップ経営者
・新規事業に携わっている方全般


0. CEOの村岡との役割分担

1 期目は「起業家」として、2 人で開発からセールス、マーケティングまで全てやっている状態で、明確な分担はありませんでした。1 期目後半から 2 期目にかけて、メンバーが数十名まで増え、「起業家から経営者への転身」が求められました自分達がプレイヤーとして手を下すのではなく、組織として機能させていくためにどうすべきかを考え続けた 1 年間となりました。具体的には「MVVの浸透」「オペレーションの構築」「マネージャー層採用」「標準化」「分業体制の構築」「社外広報」「競合優位性の追求」「新規事業開発」「1on1 による対話」「採用活動」など 1 期目にそれほど注力していなかった業務に自分の時間を費やすこととなりました。

CEO 村岡

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その中で現在は大枠で下記の分担になっています。

■CEO 村岡
業務:人とお金(採用 / ファイナンス) + ビジネス(FS / 広報)
視点:短期 10 % + 中期 50 %(数ヶ月~数年) + 長期 40 %(数年以上先)
思考:重要度高い課題を見つける

■COO 粂
業務:プロダクト(開発 / 新規事業)+ ビジネス(IS / CS / 広告)
視点:短期 30 % + 中期 50 %(数ヶ月~数年) + 長期 20 %(数年以上先)
思考:課題を実務にまで落とし込み解決する

完全に分担しているわけではなく、各領域を見つつ、お互いのメンター(相談役)として、情報共有・議論しているのですが、メイン領域は分かれている状態です。

この分担を踏まえて、QuickWork での 2 期目の出来事について、COO 視点でカテゴリ別 / 四半期別 に振り返ろうと思います。まとまった時間が確保できない方はカテゴリ毎に分けて読み進めると良いと思います。(読了時間目安:15 分)

1. プロダクト ( 開発 / デザイン / 新規事業 ) 
2. ビジネス ( セールス ( IS / FS / CS )  / マーケ ( 広報 / 広告 ) )
3. 人とお金 ( 採用 / ファイナンス / 人事 ) 


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1. プロダクト ( 開発 / デザイン / 新規事業 )

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■創業 1 期目終了時( 2020 / 7 )
メンバー:5 人 ( 開発 5 人、デザイナー 0 人 ) 
事業数:5 サービス

■創業 2 期目終了時( 2021 / 7 )
メンバー:28 人 ( 開発 25 人、デザイナー 3 人 )
事業数:9 サービス

創業2年でリリースしたプロダクト9つ

【 1 期目リリース 】
SalesNow Targeting ( 旧ApoKaku ) 
営業リスト自動作成ツール

TechOrder
貴社専用のクローラー開発

SalesMap
営業マンや経営者を支援するメディア

SalesNow Form ( 旧 Daniel ) 
AI営業マン

Visual
定着率向上システム

【 2 期目 リリース】
⑥SalesNow Cloud
アウトバウンド営業を一元管理するプラットフォーム

SalesNow Letter
法人向け手紙・ハガキ自動郵送

SalesNow LP
誰でも簡単にLPを制作・効果分析

SalesNow DB
日本全国500万社の企業データベースメディア


自身の COO としての役割として、「プロダクト全体責任」を最優先項目として意識しています。何を開発するのか、新規事業は何をやっていくかなどです。
2 期目の大きな変化としては、「開発組織の強化」があります。とても優秀なエンジニア / デザイナー 28 名にジョインいただき、開発体制は権限委譲が進んでいる状態です。2 年前に 2 人で開発した管理画面や LP が、劇的に改善されていく様子を見守っています。特に開発全体責任者として林さんにジョインいただいてから、開発チームが「組織」として機能し始めました。四半期毎に変遷を振り返ろうと思います。


1-a. 第 1 四半期 ( 2020 / 8 ~ 2020 / 10 ) 

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・プロダクトへの投資(開発チーム + 15 名採用)

投資体力に余裕が出てきたこのタイミングで「SaaS 事業者たるものプロダクトに投資すべし」ということで開発チームを 5 名→ 25 名( 5 倍成長)に拡大する計画を立て、実行することになりました。

採用数から逆算して必要なエントリー数・面談数を KPI として置き、採用活動をスタートさせました。結果としては目標達成可能なペースで順調に採用できていたものの、組織が急激に肥大化することで開発効率が落ちることが懸念となり、 数ヶ月かけて 15 名前後採用したところで一時的に採用をストップさせ、入社後のオンボーディングや開発体制の構築・メンバーとのコミュニケーションに注力しました。


・開発見積もりの難しさ

開発チームに PM 経験者がおらず「リリース期日の見積もりが甘く遅延する」ことが度々発生していました。開発チームをどう作り上げていくか、試行錯誤の期間となりました。


1-b. 第 2 四半期 ( 2020 / 11 ~ 2021 / 1 )

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・「SalesNow」にブランド統一

今後のセールステック領域での複数サービス展開を見越して、ApoKaku , Daniel と分かれていたサービスを「 SalesNow 」という一つのブランドに統一しました。SalesNow では、「データとテクノロジーで、新たな営業文化を創る」というビジョンのもと、営業戦略立案・ターゲティングからアポ獲得まで、一気通貫で営業支援するプラットフォームを目指します。

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ブランディングに関しては、石井さんの note を参考に進めました。このフォーマットの通り SalesNow のブランディングを notion にまとめています。


・管理画面のリデザインプロジェクト始動

管理画面のリデザインプロジェクトを開始しました。リブランディングに合わせて、 LP と管理画面の統一感を持たせて、ブランドとしての一貫性を持たせることが目的です。当初は年内に終わらせるつもりで数ヶ月の予定だったのですが、長期的な開発体制を見据えて、デザインだけでなく、裏側を全て作り替える一大プロジェクトとなり、最終リリースは第 4 四半期の 2021 / 6 / 27 となりました。(プロジェクト期間 9 ヶ月以上...!)開発工数の見積もり精度に大きく課題を感じた期間となりました。


・開発全体責任者の林さんジョイン

2021 年 1 月に、現在の開発全体責任者である林さんにジョインいただきました。当時の課題感として、開発チームに PM 経験者がおらず「リリース期日の見積もりが甘く遅延する」ことが度々発生していました。
林さんにジョインいただいてから 、
notion / github を活用した開発チケット管理 ( →見積もりの精度アップ ) 
開発組織を 5 チームに分けた組織化
各チームの Project Owner 設置によるコミュニケーションラインの整理
などを進めていただき、開発チームが組織として機能するようになりました。この変化はインパクトが大きく、開発組織が一段と強くなりました

Product チーム組織図

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・プロダクトの未来についてnotionに書きまくる

今後のプロダクトの展望をnotionに大量にアウトプットしました。SalesNowとして、実現したい世界観やvision、開発していきたい機能 / 新規サービスなどを可能な限り書いています。現状実装できているのは全体の10%にも満たない状態になっています。開発を進めるにあたり、技術選定時などに今後の展望は必須です。また、メンバー間の認識統一のためにも言語化を進めました。参考にした事例として、プレイドでは、miro(ホワイトボードツール)に大量にプロダクトビジョンを書き出しているそうです。


・6つ目の新規事業:SalesNow Cloud リリース

SalesNow ブランドとして、「データとテクノロジーで、新たな営業文化を創る」べく、アウトバウンド営業に特化した営業の進捗管理プラットフォーム SalesNow Cloud をリリースしました。現状はベータ版となっていますが、今後さらに機能を拡充していく予定です。

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1-c. 第 3 四半期 ( 2021 / 2 ~ 2021 / 4 )

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・SalesNow の企業データベースが 176 万社→ 500 万社に

SalesNow の企業データベースが、日本の全企業をカバーする 500 万社に大幅拡張されました。国税庁の API と自動連携し、日本に法人登記されている全企業データを日次更新しています。

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・7つ目の新規事業:SalesNow Letter リリース

企業の問い合わせフォームへの自動送信 ( SalesNow Form ) だけでなく、企業に手紙を自動郵送できる新サービスをリリースしました。管理画面から送信したい企業と手紙内容を設定するだけで、リアルの営業手紙を企業に自動郵送することができます。住所情報は全て日次で更新しており、日本法人全企業を対象に営業アプローチすることが可能となりました。

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・8つ目の新規事業:SalesNow LP リリース

誰でも簡単に LP を制作・効果分析できるサービス「 SalesNow LP 」をリリースしました。既存ユーザー様から、「問い合わせフォームに送る際に参考に貼り付けるサービス LP がないけどどうしたらいいか?」という声をいただいた背景から、サービス開発に至りました。ノーコード市場は大きく、長期的に大きく伸びるサービスだと考えています。

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・9つ目の新規事業:SalesNow DB リリース

500 万社の日本に法人登記されている企業全てを検索できるメディアであるSalesNow DB をリリースしました。毎月 PV 数が伸び続けており、データ量の威力を感じています。月間 1,000 万 PV を目指せるメディアだと考えています。


・収益ポートフォリオ

会社としての収益ポートフォリオ形成のために、新規事業は引き続き立ち上げ続ける予定です。天下のSalesforceも4つの事業でポートフォリオを組んでいます。

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GAFAではfacebook以外は、分散されています。



・ビジネスチームとプロダクトチームの連携強化

ビジネスチームからプロダクト改善案があまり上がってこない(一部メンバーのみ上げてくれる)状態に課題を感じ、連携強化を進めました。具体的には、slackにて開発要望チャンネルを作り、そこに上がった要望を経営陣と開発リーダー、営業リーダーで全て確認するmtgを週に 1 回実施しています。毎週 10 ~ 20 件程度のプロダクト改善要望が出ており、うまく連携が進んでいます。プロダクト勉強会なども並行して進めていきます。

QuickWork 組織図

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・ユーザーとプロダクトチームの橋渡し役に

僕自身がユーザーと直接話す機会が減っていることに課題を感じていました。そこで、ユーザーからの問い合わせチャット対応を全て僕にて対応することにしました。最初は工数がかかりすぎるかと懸念したのですが、意思決定として大正解でした。ユーザーが何に課題を感じていて、どこで使いにくさを感じているのかが明確にわかるようになりました。それにより、プロダクトへの反映を即座に依頼できるようになり、自身でほぼ毎日プロダクト改善案を出すことができる状態になりました。また、プロダクトの理解が ( おそらく誰よりも ) 深い僕が対応することで、ユーザーの満足度を大きく上げることができました。 ( 4 点満点中、満足度 3.7 となりました。 ) 


1-d. 第 4 四半期 ( 2021 / 5 ~ 2021 / 7 )

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・DB リファクタリング

創業当初からサービスが 9 つとなり、情報量も格段に増えたため、今後の保守性を考え、データベースの作り替えをすることになりました。長期的な負債を減らす施策は、できるだけ早めに実施することが重要です。今がそのタイミングだと考え、DB リファクタリングに投資することとなりました。

開発負債に対するスタンスについては、前田ヒロさんとプレイドの柴山さんのpodcastがおすすめです。 10 回以上聞いています。笑



・React × Next.js の技術基盤に移行

リデザインプロジェクトに合わせて、ReactとNext.jsへの書き換えを進めました。 2020 / 10 にリデザインプロジェクトを開始してから、根本の技術基盤を移行する方針が追加され、2021 / 6 / 27 に正式リリースとなりました。 9 ヶ月に渡る長い道のりでした。笑

利用技術一覧

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・管理画面の新 UI への移行完了

昨年 10 月からのプロジェクトが正式リリースされました。ただデザインが変わるだけでなく、裏側の技術基盤を全て作り変えるプロジェクトに途中でかわ変わったのですが、落ち着きました。

旧 UI 

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新 UI 

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・SalesNow  Letter にてハガキの送付 / PDF 資料の添付機能を実装開始

SalesNow Letterにてハガキの送付をリリース予定です。また、要望の多かった、PDF資料の添付も実装進めています。ユーザーの声を聞きつつ、プロダクト改善が素早く進んでおります。

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・DBリファクタリングとFastAPIへの書き換え

サービスの多様化に合わせて今後の保守性も考慮しデータベースの作り替えと Fast API の導入を目下進めています。 2021 / 9 に完了予定で、それ以降はさらに機能改善 / 開発スピードを上げることができます。


1-e. まとめ

2 期目はサービスの基盤技術の作り替えに、開発リソースの半分近くを投入しており、いわば長期視点での「守り」のプロダクト開発期間でした。もちろん、守りの開発を進めつつ、新規サービスを複数リリースできたのは大変よかったです。とはいえ、まだまだ生産性高く、スピードを上げて開発を進めることができると思っており、2 期目に整えたプロダクト開発環境で、3 期目はユーザーに直接的な価値提供する「攻め」のプロダクト開発を進めていきます。COO として、また、プロダクト全体に責任を持つ立場として、大変楽しみです。


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2. ビジネス ( セールス / マーケ ) 

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 ​■創業 1 期目終了時 ( 2020 / 7 ) 
メンバー:セールス 12 人、マーケ 3 人

■創業 2 期目終了時 ( 2021 / 7 ) 
メンバー:セールス 14 人、マーケ 7 人

ビジネスサイドに関しては、組織としての力がつけることができた 1 年となりました。この 1 年間で、The Model 形式の組織としての分担が明確に形成されました。IS / FS / CS が明確に分かれ、担当分担が進みました。経営陣 2 人の分担としては、村岡が FS / 広報、粂が IS / CS / 広告 です。現状は、各領域でマネジメント層の方々にジョインいただいており、権限移譲できてる状態です。時期別に変遷を見ていければと思います。


2-a. 第 1 四半期 ( 2020 / 8 ~ 2020 / 10 )

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・セールス / マーケティングオペレーションの確立

アウトバウンド営業は一切せず、サービス LP からの問い合わせ ( インバウンド ) に集約しました。少人数で 月間数百社の問い合わせを捌けているのはテックタッチ ( 工数かからない ) のオペレーションを早めに作り、本当に大切な顧客応対の部分にのみ社内リソースを使うよう限定したからだと思います。① ~ ③までは全て自動で一切工数がかかりません。

■インバウンドの IS オペレーション
①顧客から LP へ問い合わせ ( https://salesnow.jp/ ) 
② Salesforce にリード情報追加 & gmail へリード情報送信 & サンキューメール(期限付デモ有り)送信 ( ※ )
③ gmail と slack を zapiar で API 連携し slack のリードチャンネルに自動通知 ( ※ ) 
④インサイドセールス担当が架電し商談化 ( 5 分以内目標 ) 


フロー① 問い合わせ → LP → Gmail → ( Zapiar ) → Slack
フロー② LP → Zapiar → Salesforce → Pardot ( 自動メール ) 

テックタッチのオペレーション構築によってより少ない工数で受注まで進めることが可能になりました。多様なマーケティングチャネルによる CV 獲得体制と、IS / FS の受注に必要な工数を最小化できるセールスオペレーションの 2 つが QuickWork 急拡大の決め手です。

QuickWork5 つの行動指針の1つ目

Operational Excellence
keyword:仕組化 , 自動化 , テックタッチ , ヒューマンタッチ

テックタッチとヒューマンタッチを融合させた、洗練されたオペレーションを構築しよう。属人化を許さず仕組みで解決する方法を模索しよう。付加価値の低い仕事は排除するか自動化する選択をしよう。


・「The model」型、分業体制の構築

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Salesforceより引用

IS / FS / CS の完全分業に踏み切りました。これまではそれぞれの業務範囲が曖昧で、効率が非常に悪かった点を反省しています。このタイミングまでは、営業メンバーが IS から CS まで全て 1 人でやる状態でした。組織拡大を見据えて、ここで IS / FS / CS の分業体制に変えました。結果として、 Salesforce にて各 KPI ごとにモニタリングできる体制となり、組織としての改善が回るようになり、良い意思決定でした。

■「The Model」とは
営業プロセスモデルのひとつとして、セールスフォース・ドットコムで活用されてきたもの(参照:セールスフォース・ドットコムHP、営業効率を最大化する「The Model」(ザ・モデル)の概念と実践より)。セールスフォース・ドットコムでは、現在も営業プロセスを「お客様の成功と共に、売上を拡大していく仕組み」と位置づけ、見込み客と最初の接点を持つマーケティングやインサイドセールスから、商談を行うフィールドセールス、導入後の伴走支援を行うカスタマーサクセスまで、それぞれの部門が連携し、顧客に対して一貫した対応を実現しています。



2-b. 第 2 四半期 ( 2020 / 11 ~ 2021 / 1 )

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・ビジネスチームのマネジメント層採用強化

ここから数ヶ月かけて、IS / FS / CS にて、マネジメント経験者に 5 名ジョインいただきました。組織として機能するためには、マネジメントレイヤーは必須です。かつ、「マネジメント未経験者がマネジメント業務をすると、 1 回目は必ず失敗する」のが一般的なため、経験者の採用に振り切りました。とはいえ、そもそも採用力があってこそではあり、採用の仕組み化が強みとなっています。また、業務委託での採用という特性上、面接の次の日などから即ジョインいただけています。


・パートナーセールス再チャレンジ

1 期目に失敗に終わったパートナーセールスに再チャレンジ開始しました。Hubspot は 100 社以上のパートナーセールスを抱えています。弊社も同様に仕組み化を進めていくため、再チャレンジに踏み切りました。 1 期目の反省を踏まえて、「商談獲得」までを外部に依頼する方針がうまくいくと仮説を立て、進めています。月間 100 商談を供給をしてくれるパートナーなどが現れました。今後の課題としては、量 ( 件数 ) を担保しつつ、商談の質も上げていくよう、基準やすり合わせを進めていきます。



2-c. 第 3 四半期 ( 2021 / 2 ~ 2021 / 4 )

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・自身での CS 顧客チャット対応の実施

僕自身での CS 顧客チャット対応を始めました。ユーザーの声を毎日直接聞くことができており、 2 期目でトップクラスに良かった意思決定だと感じています。プロダクトを見る立場として、ユーザーとの直接の接点を持ち続けるべきだと痛感しました。また、プロダクト理解の深い僕が対応することで即座にユーザーに解決策を提案できる点も大きな価値となりました。


・CS チームの強化

CS 業務の難易度の高さを踏まえて、 3 名の CS 経験豊富な方にジョインいただきました。役割分担の上、顧客の成功に繋げるためのサポートをさらに強化していきます。CSに関しても、the modelの本が参考になります。


・CS は幅広い職能が必要

CS は、サービス理解 × ホスピタリティ × 営業力 × 開発知識と、幅広い職能が必要なビジネス職種だと感じています。

■CSスキルの分解
1. 深いサービス理解
2. ユーザーの課題に合わせたサービス活用提案力
3. ユーザーの課題解決に繋がるようアップセル / クロスセルできる営業力
4. ユーザー行動からプロダクト改善に繋げる力


2-d. 第 4 四半期 ( 2021 / 5 ~ 2021 / 7 ) 

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・価格プラン改定プロジェクト

価格プラン改定プロジェクトをスタートしました。SaaS プロダクトの価格プラン改定は永遠に続きます。Salesforceもhubspotも何度も価格改定を実施しています。常にプロダクトは改善され続け、ユーザーに提供できる価値は増え続けるので当然といえば当然かと思います。また、価格プラン変更での単価の向上は、売上にダイレクトにインパクトがあるため重要です。引き続きどの価格が最も MRR を高めるのか、探し続けていきます。

前田ヒロさんのpodcastでも、SaaSの価格プラン改定は永遠に続くと言われています。 B2B SaaS をするなら、前田ヒロさんのpodcastは全て聞くべきです。僕は全エピソード3回以上聞いています。笑

ディズニーランドも入園料を上げ続けています。(昔は半額...!)

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・滋賀レイクスターズとのスポンサー契約

滋賀レイクスターズの DX パートナーに就任しました。データとデジタルテクノロジーの活用で、滋賀レイクスターズの営業活動を、より効果的に行うDXを進めていきます。


・東急Sレイエスフットボールクラブとのスポンサー契約

東急Sレイエスフットボールクラブのオフィシャルパートナーに就任しました。滋賀レイクスターズと同様に、営業活動をより効果的に行う DX を進めていきます。社会の生産性を底上げできるよう、引き続き様々な企業と提携を進めていきたいと思います。


・slackでのプロダクト改善要望チャンネル

slackにて開発要望チャンネルを作り、そこに上がった要望を経営陣と開発リーダー、営業リーダーで全て確認するmtgを週に 1 回実施しています。毎月50件以上のプロダクト改善要望が投稿される仕組みができています。

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・プロダクト勉強会の実施

天下の営業組織を持つキーエンスでは、新プロダクトリリース前に全営業メンバーが集まり、丸1日プロダクトを触り続けて改善案を出し、開発メンバーがその場で直す日を設定しているそうです。弊社でも同様の体制にできるよう、プロダクト勉強会の定期開催を開始しました。セールスメンバーが集まり1時間かけて、プロダクトを触り改善点を洗い出す時間と、10問形式のプロダクトに関するテストを実施しました。プロダクト理解が深まり、また、プロダクト改善案も多数出てきて良い機会となりました。今後も定期開催していく予定です。


2-e. まとめ

各セールス1人1人がIS / FS / CSまで実施し完全成果報酬だった「個人事業主の集団」的な組織から、 The model 型の IS / FS / CS に役割分担した機能的な組織への変貌ができた 1 年となりました。開発改善要望の仕組み化や勉強会の実施など、プロダクトチームとビジネスチームの連携も強化できました。プロダクト数が増え組織も拡大し、複雑性が増してビジネスチームの難易度は上がりましたが、組織としての強みをもっと出せるように尽力していきます。


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3. 人とお金 ( 採用 / 人事 / ファイナンス ) 

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 ​■創業 1 期目終了時 ( 2020 / 7 )
メンバー: 31 人 ( CEO + COO + 開発 5 名 + ビジネス 24 名 )

■創業 2 期目終了時 ( 2021 / 7 ) 
メンバー: 64 人 ( CEO + COO + 開発 28 名 + ビジネス 34 名 ) 

採用 / ファイナンス は村岡にほぼ任せっきりで 95 % は村岡で完結しています。その中でも、採用力は弊社の明かな競合優位性となっています。特に、正社員ではなく、中途 × 業務委託に振り切った採用戦略は、大きなメリットがあると感じています。村岡にほぼ任せているので、 COO として第 3 者視点で 四半期毎に振り返れたらと思います。


3-a. 第 1 四半期 ( 2020 / 8 ~ 2020 / 10 ) 

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・中途 × 業務委託採用

中途 × 業務委託採用は弊社の大きな強みとなっております。今のところ、新卒 / 第二新卒採用をするメリットは感じられていません。一時は、第二新卒層を採用強化するかという議論もしたのですが、やはり現状の方針で進めることとなりました。また、正社員採用は本人の希望次第ですが、少なくともメンバーが 100 人を超えるあたりまで、強化は不要かと考えています。


・MVVの言語化

組織拡大に伴い、行動指針を言語化しました。どれも QuickWork にとって大切な価値基準となっています。

QuickWork 5 つの行動指針(バリュー)

①Operational Excellence
テックタッチとヒューマンタッチを融合させた、洗練されたオペレーションを構築しよう。属人化を許さず仕組みで解決する方法を模索しよう。付加価値の低い仕事は排除するか自動化する選択をしよう。
keyword:仕組化 , 自動化 , テックタッチ , ヒューマンタッチ

②Trustful Team
性善説に基づき、チームメンバーを信頼する。
互いに信頼し合い、各メンバーの自己決定を促すことでチームとして最高のアウトプットを生み出そう。情報をオープンにし、透明性の高いチーム創りをしよう。
keyword:性善説 , 信頼 , 権限移譲 , オープン

③Learn and Adjust
外部環境が変わり続ける中で、時代の先をいくために。
より先の未来を、より解像度高く予測できるように常に学び続けよう。
keyword:学習 , 適応 , 先見性

④Fact Base
勘や経験だけに頼らず、事実・数値に基づいたデータドリブンな意思決定をしよう。判断に必要なデータが自動で蓄積される体制を作り、誰が見ても納得度の高い決断をしよう。
keyword:データドリブン , 可視化 , 定量化

⑤再現性
徹底的に言語化を追求し、事業開発に再現性を持たせよう。
結果に関わらず振り返る習慣を持つことで、プロセス / 勝ち筋を徹底的に体系化しよう。
keyword:言語化 , 体系化 , 振り返り

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・採用広報の強化(会社説明資料リリース)

2020 年 10 月に会社説明資料をリリースしました。採用時に村岡が活用しており、リリースから 10 ヶ月で 2.9 万 PV となっております。かなり反響をいただけており、都度資料の改善を繰り返しています。



3-b. 第 2 四半期 ( 2020 / 11 ~ 2021 / 1 )

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・Reactエンジニア大量採用プロジェクト( 1 ヶ月 10 人)

エンジニア採用強化に向けて、村岡が 1 ヶ月で 10 人採用する目標を立てて、実際に実行しました。個人的には 1 ヶ月で 10 人はさすがに無理で 3~5 人くらいだろうと思っていたのですが、村岡が本当に 1 ヶ月で 10 人採用していたので、驚きました ( 笑 ) 。量だけでなく質の面でも、採用基準はむしろ大きく上がっており、開発人材レベルが底上げされました。村岡の仕組み化能力の高さにいつも感嘆しています。他社だと 3 人の人事が実施していることを、村岡 1 人で、かつ 30 h / 月くらいで回していて、生産性が非常に高い状態になっています。


・1on1 の開始

人数が増えてきた 2020 / 12 ごろから、粂と村岡で月次の全メンバーとの 1 on 1 を開始しました。創業当初からの弊社の採用特性上、業務委託 × フルリモートが 90 % 以上を占めています。 1 on 1 で定期的なコミュニケーションを取ることで、社内課題の吸い上げ / エンゲージメントの向上に繋げています。

1on1 については前田ヒロさんのpodcastが参考になります。


3-c. 第 3 四半期 ( 2021 / 2 ~ 2021 / 4 )

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・採用募集要項の詳細な言語化

募集要項の言語化はとても重要です。募集要項が丁寧であればあるほど優秀でポジションにマッチした方に応募いただけます。逆に募集要項が曖昧なら、マッチしない方の応募が発生します。今後の採用強化を見据え、村岡と 2 人で、 20 求人近くの募集要項を細かく言語化しました。


・会社のフェーズが変わり求められるスキルが変わる

スタートアップでは 1 ~ 2 年で求められるスキル・人材が変わると色々な本に書かれており、想定内ではあったのですが、弊社でも同様のことが起きました。人数は 2 倍になり、売上 300 % 成長している中で、 1 年前とは全く別の会社となっています。メンバーは会社とともに成長できる場合は残り、そうでない場合は去っていきました。現在の急成長フェーズで、フェーズに合った人材にすぐにジョインいただける採用力が大きな武器となっています。


・権限移譲の割合

村岡も粂も、割と権限移譲は得意で、どんどん仕事をメンバーに渡すことができます。逆に課題として、本人の能力以上を渡し過ぎ、キャパオーバーになってしまうことが何度か続きました。「立場が人を作る」のは間違い無いのですが、本人にとって「できるかできないか絶妙なライン ( 7 割達成 ) 」にする必要があり、「できるかできないかでいうとできないライン ( 5 割達成以下 ) 」では、成長にも成果にも繋がらないことを実感しました。負荷をかけてしまい申し訳ないことをしてしまったと大変反省しています。。


3-d. 第 4 四半期 ( 2021 / 5 ~ 2021 / 7 )

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・IT 導入補助金

昨年に続き IT 導入補助金に採択されました。ユーザーが弊社サービス導入時に最大 50 %の導入費用補助を受けることができます。


・ものづくり補助金

ものづくり補助金の申請を進めました。中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資などを支援するものです。最大 1,000 万円 ( システム開発費の 2 / 3 ) が補助されます。


・追加のデッドファイナンス

1 期目に続き、黒字決算が視野に入っていること、会社として売上が大きく伸びていることを背景に、銀行から追加融資を受けることができました。より長期視点で事業拡大を見据えて、投資を進めていきます!大変楽しみです。


・MF 決済の導入

今後の契約数増加に伴う請求業務のオペレーションコストを減らすため、MF決済の導入を決めました。分割払いの請求業務にも対応してもらうことができ、大幅な工数削減が可能となりました。 API 連携も進めて単純作業を限りなく 0 にしていければと思っています。


3-e. まとめ

採用やファイナンスに関して、CEO 村岡の仕組化力により、 QuickWork の強みとなっています。QuickWork の MVV を体現できていると感じています。「人」が最大の資産なので、引き続き優秀な方々にジョインいただけるよう、会社を成長させていきます。また、人数が増えてきて、来期は特に組織としての力をつける必要が出てきています。足し算ではなく掛け算で人数が増えた分の成果が出るように、組織としての仕組みを整えていきます。


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4. 最後に

2 期目はメンバーが急激に増えた期間でした。経営においては「人」が1番の資産だと痛感する 1 年となりました。改めて、 QuickWork に関わってくださっている方々に感謝の気持ちでいっぱいです。まだまだ発展途上の会社で、改善点も山ほどあるのですが、 3 期目も同様の振り返りができるよう、頑張っていきます。

上述の通り、弊社は全職種で、中途 × 業務委託の採用を強化しています。複業歓迎で、面接実施から業務開始まで 当日 ~ 1 週間以内がほとんどです。 QuickWork という社名の通り、スピード感を重視しています。面接実施日にそのままジョインいただき、業務開始することも多々あります。主に IT 業界での経験豊富で優秀な方々ばかりで、かなり仕事のしやすい環境かと自負しています。

もし QuickWork にご興味あれば、是非ご応募頂けると幸いです!🤲


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