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映画「レミングたち」の覚書 | #15 イトウナホ

15人目、ついに辿り着けました。「レミングたち」で音楽を担当してくれたのはイトウナホさん。現在は「イトウナホと雨のまにまに」というバンドで活動されています。

いのちの音

昨年の春ごろ、本当に偶然にイトウナホさんのライブ映像がtwitterで流れてきて、何の気なしに再生してみて、打ちのめされました。

決していい音質ではないけれど、力強さに満ち溢れていて、当時の僕にはこの「心電図」から言葉にできないくらいの衝撃を受けました。理屈抜きに、ものすごく心が揺り動かされました。ライブの情報を知り、足を運ぶことにしました。

仕事を除けば人生でライブに行ったのはこれが2回目でした。それほどに音楽という文化に疎い人間でした。扉を開けるのも恐る恐るで、やっぱり帰ろうかと扉の前を3往復ほど行ったり来たりしました。

行って良かったと心の底から思いました。音楽とはこんなにも突き刺さるのかと、その歌声の生命力に震えました。そして、彼女が音楽に向き合う背景も少しだけ聞くことができました。彼女は彼女で、懸命に生死に向き合っていました。

この時点ですでに昨夏の入院の原因は僕の心臓に巣食っていました。それが関係あったのかなかったのかはわからないけれど、とにかくある種の運命的なものを感じたのは事実です。そして、この日買って帰ったCDの中に「誕生」という曲が入っていました。

「誕生」「心電図」はレミングたちの脚本を進めているときも、撮影の準備をしているときも、撮影の移動中もずっと聴いていました。もはや心の中では勝手に主題歌にしていました。使わせてもらえないかをお伺いしようと思ってはいたのですが、撮影が終わる前に聞いてもしダメだと言われたショックが大きい気がして、撮影がすべて終わってひと段落したあと、年が明けてから初めてイナホさんにコンタクトをとりました。

実際に会ってお話し、「心電図」を主題歌として、「誕生」を挿入歌として、そして劇中の音楽も正式に依頼することができました。前々から映画音楽に興味があったそうで、快諾していただけました。

生きていると叫び続ける

音楽への知識の無さ、監督としての未熟さからなかなかイメージを伝えきれず多大なご迷惑をお掛けしてしましたが、イナホさんは粘り強く向き合ってくれて、最終的に出揃った音楽たちは、本当に素晴らしいものになりました。物語に、明確に命が吹き込まれた瞬間に立ち会うことができました。

しかも、「誕生」をこの「レミングたち」のための特別バージョンにアレンジしてまでいただけました。感涙です。予告編でも使わせていただいています。

予告編ではあまり要素をごちゃごちゃさせず、音楽の力に委ねることにしました。もはや音楽を聴くために夜1人で何回も再生してます。

「誕生」の原曲もめちゃくちゃに良いのです、ただそれを聴くためにはライブなどで直接CDを購入していただく必要があるのですが、このご時世しばらくはその機会がなさそうなのが残念です。

今年から「イトウナホと雨のまにまに」というバンドを始動したばかりのイナホさん、いきなりこんな事態になってライブもなかなかできず大変な時期かと思いますが、その分定期的にツイキャスでライブ配信していますので、タイミングが合えばぜひ覗いてみてください。

主題歌として使わせていただいた「心電図」のMVはYouTubeにて公開されてます。レミングたちを編集していてこの曲が劇中で流れる瞬間、毎度心が昂ぶります。

こちらのCDは通販でも入手できます、ぜひに。


同じシングルに入っている「MYOUME-ユメ-」。語彙力が低すぎて具体的なことが言えないのがあまりに申し訳ないのですが、本当に、どの曲も力強い歌声とストレートな歌詞、スッとぜんぶ通り抜けて心の底に突き刺さるのです。

新曲もどんどん作られているそうで、これからのご活躍が本当に楽しみです。

ひたすらに宣伝させていただきましたが、まだ足りない気がしています。もはやただのファンです。1人でも多くの人に、彼女の音楽が届いて欲しいと心から思います。

そして作品作りでも、またいずれ必ずご一緒できれば良いなと思っています。


これで当初予定していた「レミングたち」の15人について、書ききることができました。ただただ僕が尊敬している人たちのことを取り留めもなく書いた自己満足の稚拙な文章を、ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。

でも、もう1人紹介したい人が増えました。東凌太郎くんについてです。


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