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映画「レミングたち」の覚書 | #13 須藤史貴

「レミングたち」で文字組やポスターなど、グラフィック全般を担当してくれたのはグラフィックデザイナーの須藤くん、彼も同じ学科の同級生です。

考えること

前述の宮垣くんと同様、彼も同級生の中で突出した才能を持った存在でした。それゆえにどこか尖ったところがあって、最初は近寄り難さも感じていました。何も知らない入学当初は、なんだかよくわからないけど最新のパソコンを使ってパパッとイケてるものを作ってる人、とまで思っていました。

けれど、そんなのは勝手な印象でしかなくて、彼ほど思索し、試行を繰り返し、過去の文献にあたり、泥臭く実際に手を動かして物作りをしている人の存在を初めて知りました。なんて狭い世界しか知らなかったのだろうかという衝撃を受けたのを、いまだにはっきりと覚えています。作って作って必死に食らいついていると、いつの間にか仲良くなっていました。映画が好きで、お酒に弱くて、話してみるとものすごく人間味溢れる人でした。渡邉と同じく、大学時代に相当に影響を受けた1人です。彼のお陰で(?)、amazarashiにどハマりしました。

大学時代から今の今まで、色んな作品でお世話になってきました。

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卒業制作の限界突破応援団のグラフィック3種。タイトルロゴやポスター、エンドロールクレジットだけでなく、劇中に登場する架空の学校の校章まで手がけてくれました。左が主人公の学校、県立舞蹴高等学校、右がライバルの学校、私立紅蓮高等学校です。かっこいい…。

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実際に旗まで作りました。

2016年頃に縦型映像という手法を試す意図で作ったこの「8月35日」も、須藤くんきっかけで作り始めました。漫然と世の中にすり減っている青年が主人公なのは、今思えば根底に流れるものは「レミングたち」とよく似ている気がしています。

本職はグラフィックデザイナーでありつつ、ほとんどの自主制作作品で企画立案の段階から携わってもらっていています。

この「レミングたち」も、ほんとのほんとに始まりは、僕が入院した頃に彼が「故郷の友人が入院したのでお見舞いに行く、を言い訳にして実生活から逃避する人の話を作ってよ」と言っていたのが、考え出すきっかけでした。

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恥ずかしながら、「グラフィックデザイナー」ってお洒落なイラストを書いたりする人のことだと大学入学するまでは本気で思っていました。けれど、本来の意味でのデザインというものを、彼を見ていてほんの少しは理解できるようになった気がします。

彼の作品、どれも美しくて見てるだけでも楽しいので、ぜひご覧ください。

「レミングたち」においての「生きること」の定義は、彼から学び得たことでもあります。須藤くんの考え方、作るもの、めちゃくちゃに尊敬しています。


つぎは、吉田 惇之介くんです。



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