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スタァライト概論(第2回)

樋口達人教授は、キリンシャツをまとって登壇されましたが、セーター(?)の中に着ていたので残念ながら見えませんでした。ゾウやフラミンゴもいたらしい。
いつでも本気の教授ですが、キリンシャツはいつも以上に本気、全力の証。

冒頭挨拶

  • 第8話で号泣した。劇場で観るRE:CREATEの良さ。

  • 監督はテレビ版の時から劇場への意識を持っていたんだなあ。

  • 第1回の概論についてはTwitterやnoteでまとめてもらって感謝している。

  • 皆さんが受け取った作品は皆さんのもので、みんなが正解。ここで話すことは、当初こんなことを考えていたというエピソードであって、正解でも答え合わせでもない。

講義「3人の舞台少女、3本の軸」

3×4=4×3=6×2/シリーズ構成のキャラクター化

華恋:3×4(起承転結)
ひかり:4×3(序破急)

→レヴューのシステムを知っている訳、体重が130g減った謎、というミステリー(?)
なな:6×2(二幕もの)
→全部わかっている少女が敗北を恐れない眼鏡の少女に救われる話。
※Blu-ray Box2巻のブックレットでも述べた話。

9人の女の子を全12話で描こうとすると、1人1話使ったら3本しか残らないためペアやトリオの関係性を描く形で圧縮したが、そうするとキャラの押し出しが不足する問題に直面していた。

Blu-rayBOXが4話×3巻と決まった際に、監督が「4話で切る理由はあるか」と問うたところから、4話×3という構成を組み込んでシリーズ構成をキャラクター化することを考えた。

アニメの本数が今ほどではないが多く、また演者さんも舞台のキャリアはあるが声優としてはまだわからない中で、最高の舞台を用意したいと思い、構成が何かの足しになればと考えた。
また、この頃は自分の作家性を押し出すより、作家性とベクトルを持った人にスキルを注ぎ込む時期になればと思っていた。
古川監督の作りたい、やりたいものを形にするには、と考えていた。

立ち位置の提示による解像度の向上

大場ななは最初、「再演」の設定だけがあり、そこに何でも詰め込むことができたので、「表現することでしか生きられない」ということが理解されない、孤独である彼女が居場所を見つけた、という自分探しに感情移入してもらおうとした。
そうすると彼女と彼女の再演の話を見て、もう一度第1話から見直したくなってもらえることで、受動的だった視聴者が能動的な観客に「再生産」されていく。
(※質問タイムに出てくる西條クロディーヌの話にも通ずる?)

構成による演出の刷り込み

普通は回想を2話連続(第7話、第8話)でやったりしないが、第7話でこういうやり方だと教え、刷り込み、第8話でひかりが失ったものとレヴューの真実について語る構成をとった。
※大場ななだから第7話、という発想も大きい。それに構成を合わせた。

第5話、第6話では、アイキャッチ前の「そっか」や「せや」を通じて、(まひるや香子たちの話だと)刷り込むことで(なな、ひかりなど)主人公たちから視線をそらした。
情報、感情、キャラクターのコントロールを図っている。

そうして第8話でオールキャスト、第9話で華恋がイレギュラーだとわかり、そして最小公倍数の第12話へと集約していく。

これは全13話ではできなかった。全12話だからこういうピーキーな流れができたし、それを武次Pが通してくれた。巡り合わせだった。
このやり方のリスクは、西條クロディーヌを描き足りなかったこと(ここでハンカチで汗を拭う教授)。人間・西條クロディーヌの話はしたい。すごく魅力に溢れた人。

劇場版は、エンジンであり燃料である華恋の「よく分からなさ」を解消するものだった。

第5話〜第8話に「全てはスタァライトのために」が出ている。

質問タイム(編成部のオクハラさんとのやり取り)

Q)なぜキリンなのか。
A)監督案件。

Q)なぜ9人なのか。
A)ブシロード案件。

Q)星見純那の名字に星がある理由如何。
A)YouTubeに上がっている打ち上げパーティでも述べたとおり、星を掴むために邁進する女の子だから。星を掴めたらほしつかみ純那になる。だから星条旗を掴むためにアメリカに渡った。

Q)資料集にないひかりとまひるの宝石の種類如何。(スターサファイアとアクアマリンではないか。)
A)小出案件。彼を呼ぼうか。でも電話番号を知らない。

Q)星見純那の親との関係性について。
A)ロロロのパンフレットに載っている入学願書にあるように、長崎の付属の中学校に通っている。#1や第2話で描かれるとおり舞台の道を反対する、何事だと言う親だからカタいはず、両親とも教師なのではと考えている。

Q)キャラの身長が明かされていない理由如何。
A)舞台では双葉と香子の身長はテレコ(あべこべ)になっている。身長を決めるとそれは数字になってしまうし、並んだ感じで楽しんでほしいのであえて決めていないのだと思う。次の舞台では、香子がななを超えているかもしれないし。

Q)テレビ版と劇場版での華恋のやる気のなさの違いについて
A)考えが2つある。
 1つは、ドラマだと10年後に独身だったら結婚しようという話があったりするが、実際に10年となると大変。聖翔に入りはしたものの、見ない、聞かないというルールがあったりして燃料は枯渇していく。ひかりは華恋からの手紙という燃料をもらえているのに。
 もう1つは運命論。聖翔でどのような順位になっていても、ひかりが来れば本気を出すという確信があったからかもしれない。
 いずれにせよまひるは救われない。

Q)ジュディ・ナイトレーの帽子について。
A)第1話のレッスンで真矢やクロディーヌが指定のレオタードを着ておらず、ひかりも王立のものを着ていたと思うが、首席、次席、転校生、みんなイキっている。ジュデイもイキっている。イキっている子でなければひかりに勝てない。ジュデイの話はまたどこかでしたい。

Q)劇場版での描かれたななの純那への執着はどこから……
A)第9話を見よ。

Q)双葉はなぜバイクに乗る設定になったのか。
A)おにぎり2個でずっと見ていた最初のオーディションで、生田さんのキャラが立っており、それを見てヤンキーっぽい、バイクって良いよね、という話になっていた。その生田さんが合格したので、であればそうしようという話になった。
そこから、バイクに乗っているのに小さい、それなのに誕生日が一番早いと面白いのでは、という具合に決まっていった。

Q)舞台(#1)とアニメの連携如何。
A)#1の原案として、第1話~第3話のシナリオを監督と作り、舞台チームと共有した。#1の元が第1話から第3話になる。
 #1の生まれ変わる女の子というところから監督は第11話の舞台少女心得の着想を得た。
 #2の始まりはテレビ版のエンディングと重なる。
 「二層展開式」で細かく連動しているし、かたや走駝先生、かたやキリンという差異もそれぞれで活かされている。

Q)「関係性」について。まひる(発言ママ、真矢のことか?)と香子、双葉とクロディーヌなど。また、コンソールゲームでのスピンオフにも期待。
A)小春や涼など青嵐のキャラについては、舞台(三浦さんや児玉さん)のもので、僕から勝手に作って良いものではないと思っている。
 双葉と香子の関係の間に入るクロディーヌは、香子のヤキモチをわかってやっている。一度「仮面の舞台少女、マスク・ド・シャノワール」としてバーンと出て、双葉に2秒でバレるし香子には「何してはるの」と言われるシーンまで考えた。中の人つながりもあったが、武次さんに「悪ふざけ」と言われ却下され、あの飴ちゃん1個の置き土産というオチになった。

Q)クロディーヌが口ずさむ歌の2番の歌詞について、「華恋がちゃんと起きられるのはまひるのおかげ」ではどうか。
A)採用。CDになるかどうかはポニーキャニオン案件。

Q)何かを失った舞台少女、何かにこだわる舞台少女、みんなにこだわる舞台少女、この「執着」の着想について。
A)等身大に描きたくて、キャラを遠くしたくなかった。親が俳優でトップスタァを目指す子たちのモチベーションはわからなくても、焦燥感や空回り感といった感情はわかる。
 例えばクロディーヌの部屋の賞状には真矢の父親の名前がある。掘り下げられる仕組みを仕込んであり、そこに感情を紐付けようとした。

Q)レヴューの全組み合わせ、星取表について。
A)作った覚えはある。キリンの想定した表があるはずだが、華恋の飛び込みで奇数になったのでわからなくなった。なのでキリン案件。
※樋口さんが「あれはですね〜」とキリンを実演。

Q)クロディーヌの部屋のベッドは、パパンやママンからのプレゼントか。A)あれを贈るパパやママはやばい。よく双葉も転がり込んだ。
 ファンからの贈り物かニトリで買ったのか、あるいは5、6歳の頃に自分で買った(親に買わせた)のをずっと使っていてフランスから空輸させたのではないか。

Q)ひかりが華恋のキラメキを奪わせないと決めたのはいつのことか。
A)第4話の約束タワーの下でもしものことを考えていたのではないか。華恋の前向きさに引っ張られてまずはやってみようと思ったものの、聡い子なので、いつかあの娘と戦うことになっても、とは考えていたはず。

Q)創作の楽しいとき、苦しいとき。
A)苦しいのは、物を書いているとき。本読みの現場では15~16人の大人が集まってみんながけなしてくる。監督も「良いと思うけど……」と言いながら言ってくる。思ってないじゃん。
 それがコンテになったときは嬉しいし、こういうイベントをやってもらって振り返って語れるときも嬉しい。何せもう書かなくて良いから。
 テレビ版第1話は17~18稿まで描いた。酒も甘いものも増えた。
 ただ、産みの苦しみなくして良いものは作れない。

写真タイム

樋口さん「写真は魔除けにしてください。」 

次回予告(1月27日)

終わりの続き、劇場版の線路。あとはサブタイトルの話。
最終回のあのラストから続く線路の先について、ロロロ→キラーカブトガニ、ではなく、WSBについて。
スタリラの第2章(削劇)がその間に、アルカナ・アルカディアがその後の話で、特に削劇は古川監督とテレビ版の後、最初に関わったプロジェクト(続編)になる。
人間・西條クロディーヌについても述べていきたい。
それから来週は監督が来ます。

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