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ヨッシャマンの冒険 ファイル1 「不食」


新シリーズである。
正直たいして変わりはないと思うのだが、前作のテーマが「進化」だったので、今作は「冒険」に焦点を当てて書いてみようと思う。
地図はない。どこにたどり着くのか私にも分からない。本当に冒険なのか。あるいはただの漂流か。

ひとまず、第一夜は「不食」について語ろう。
私が今手掛けている中で、最も面白い冒険だからである。
まだ始めたばかりで、とても結果報告と呼べるようなものではないのだけれど、1つのランドマークにはなるだろう。

17年の時を越え、ぼちぼち不食実験を始めようか!ぼっちだし!と思った私だったが、過去のようにいきなり丸腰のすっ裸で走り出すのはやめようと思った。
前回は水だけで42キロまで体重が落ちたからである。同じ轍は踏むまい。
まずは1日1食にして、徐々に量を減らしていこうと思った。
初日。突然パンが食べたくなった。
小麦粉製品を食べるとお腹が緩くなる気がするのでなるべく避けていたのだけれど、小食なら問題なかろうと思った。いつもたらふく食べてしまうからダメだったのだと思う。だいたいいつも3人前くらい食べていた。
そもそも、食べ物から栄養をとるというスタイルから脱却するための挑戦である。ということは、何を食べてもいい。全て既食スルーされるはず。
はずだったのだけれど、


半額のメンチカツパンにあたった。


あたたたた。
なんで初日からなんだ!
不食の女神か、はたまたキャシーの仕業か。(結構スパルタの天使だったから……。)
半額に手を出した私も悪いが、まさか初日からアクセル全開、丸腰の丸裸で挑むことになるとは思いもしなかった。

3日間、強制不食となった。

けっこうしんどかったけれど、お陰で胃腸は空っぽ。出るものもなくなった。浄化のプレゼントだったらしい。自分のタイミングでよかったんだけど……。

4日目は仕事が激務だった。しかも、早朝から町内会の川ざらいをしてからの。(滅びろ!)
「今日、生きて帰れるのか?」とビクビクしていたのだけれど、まる3日何も食べていないというのに疲れない。いや、正確には疲れはするのだけど少し休むとすぐ回復する。
40歳になると、自律神経の働きが二十歳の半分になってしまうとエライ先生が言っていた。だから疲れがとれないのだと。そして、自律神経の働きは回復しないから、今より下がらないようにするしかないのだと。
嘘なんじゃないかと思う。
回復機能はちゃんと回復する。

4日目からは、夜に少しだけ食べることにした。
まんまと四キロ減ってしまったからである。
1日に1キロペースだ。このままだと2ヶ月と経たずに私の存在は消えてしまう計算になる。
空気で太るというパラダイムシフトは、時間をかけて起こすべきと思う。
とは言え、食べるといっても、食事というよりは「つまむ」レベルだ。
納豆1パックとスライスチーズ1枚。
翌日は温泉玉子1個と煮干し。
そんな感じ。
ほぼ冷蔵庫の在庫処分。超小食。

ずいぶんとストイックに思えるかもしれないが、そうでもない。
飲み物はすべてOKだから。
コーヒーだろうが、コーラだろうが、ビールだろうが。
アイスもOKにした。だって口の中で溶けるから。

3週間経過。

一言で言うと、

とにかく楽。

買い出し、調理、洗い物といった食に関わる時間が皆無なのだから。お米を磨いだり、炊飯タイマーでセットしたり、お弁当を作ったり、賞味期限を気にしたり、一切なし。ただ高笑いをしていればいい。
人間楽を覚えるとなかなか後戻りは出来ないと思う。

完全に冷蔵庫が空になってしまったが問題ない。
味噌も調味料もあるから、スープを作って庭に生えている草を浮かべればいい。
エンゲル係数はゼロだ。
これは大谷選手を超えると思う。いくら彼のエンゲル係数が超絶に低いと言ってもゼロではないだろう。
これ以外で彼に勝てる要素などない。

1回だけまともに食事をした。
ミニカツ丼を食べたのだ。
私が一番好きな丼もので、最後の晩餐の最有力候補だったのだけれど、食後は胃が重くなる。肉のせいか、揚げ物のせいか。
せいぜい1年に1回でいいかな、と思った。
お腹もけっこう苦しい。少し前まで1日米3合食べていたのに……。
とはいえ、女性に食事に誘われたならいつでもすっ飛んでいくという事だけは付け加えておく。

常に腹ペコである。
なのだけれど、飢餓感は全くない。
空腹がデフォルトなので、逆にいうと、それ以上お腹がすかないのだ。
私の場合は一般的でないと思うので、あまり参考にはならないと思う。
何しろ太りたくて「がんばって」食べていたのだ。「食べなくては!」と思っていたのだ。時間がくればお腹がすいていようがいまいが。
それはまるで、囚人に課せられた責務みたいに。
そこから解放されて、とにかく気持ちいい。
おお、世界はこんなにも広かったのか。終始お腹がぐーぐー鳴って恥ずかしいくらいなんだというのか。

まだ完全な不食ではない。
食べたいなと思えば少し食べる。
今はこのスタイルが楽しい。
食べない楽しさと食べる楽しさと両方味わえるからだ。
言うなれば食のバイセクシャルである。
食べてもいい、食べなくてもいい。

体調はまだ日によってばらつきがある。
絶好調の時もあれば、妙に力が入らなかったり、急に起き上がると軽い立ちくらみがあったりとまだ安定しない。
ミクロヨッシャマン達も、新しい身体を創るのに大忙しだろうと思う。
ボス(多分)の私はただ楽をしているだけでなにやら申し訳ないのだけれど。

体重に関しては、まだ反転しない。
が、下げ止まっている感じはする。そうであってほしい。
このままでは、私は生涯人前で服が脱げない。
「アンデットの方ですか?」と言われかねない。

望まぬ不死の冒険者より

しかし、腹の脂肪がなくなって、腹筋が割れてきたのは嬉しい。そこだけは見せてもいいかも。しかし、ギャルでもないのに腹だけ出して歩いていたらギャグである。
筋肉は落としたくないのでトレーニングするのだけれど、食べないと筋肉痛にならない。不思議だ。
体重が増えてきたら、飲み物だけに移行しようかとも考えているが、先の事は分からない。
何しろ、これはただの氣ままな冒険なのだから。

思いつくままにつらつらと書いてみた。
最後に一言だけ、僭越ながら皆様にアドバイスをしたい。

半額食材には気を付けて。ほんと。


メンチカツパン恐怖症になった男より

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