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【百年ニュース】1920(大正9)6月22日(火)小幡酉吉公使が湖南事件につき北京政府に抗議。陳籙外交総長代理は北軍南軍の行為の別なく、対外的には中央政府が全て責任を負う旨明言。長沙入城後の南軍は軍規回復。日本は賠償金支払いを要求し早期収拾を図るが解決遅れる。

湖南省地図2

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6月23日在中国小幡酉吉公使より内田康哉外務大臣宛電報。

<湖南省におけるわが方被害に関し外交部に抗議し外交総長代理は中国政府の責任を認め適切なる方法を講ずべき旨回答の件>第580号 

貴電第333号は往電564号と行き違い接受したるところ右往電末段外交部あて公文はいまだ発送しおらざりしにつき貴電ならびに長沙領事報告を参酌し21日付にて照会文を認め22日本使外交総長代理に会見し貴電の趣旨ならびに領事報告に基づき支那軍隊の残忍極まるの不法行為を指摘しいずれ詳報に接したるうえさらになんら交渉に及ぶべきも、とりあえず本国政府の訓令に基づき交渉する次第なることを述べ、なお今後もしかかる事件続発するにおいては結局自衛的に各外国共同在留民を保護するのほかなかるべしとの意見各公使間にこれある次第をも付言したるうえ、該照会文を手交したるところ同代理はかかる事件の発生は甚だ遺憾とするところなるも右についていまだ確実なる報告なく、一時張敬湯殺されたりとの報あり、次いで当地各新聞にも日本人某張敬湯と見違えられて殺されたりとの記事あり、正式の報告にはあらざるも右に関し入手せる報告によれば南軍は武陵丸船長を張敬湯と見違えて殺害せりとの報あり、かつ張敬堯および張敬湯より昨日国務院に宛て今回失敗の事情を述べて処分を乞える電報到達せしによるも、張敬湯の殺害せられたるは事実にあらずと認めらる。とにかく支那軍隊の行為についてはその南北のいずれたるを問わず対外問題としては中央政府においてその責任を負うべきこと当然にして、現に今回は岳州における米国宣教師殺害のこともあり既に政府において被害地方官憲に対し、外国人の生命財産保護に関し厳重の訓令を発したり。

本件殺人等は南軍の行為に付中央政府よりは軍政府にも電報方取計うべく、なお今回の事件何分南北軍戦闘混雑の際に発生したる次第と認めらるるも、その後長沙に入れる南軍の軍紀意外に宜しとの報もあり、秩序整いつつありと考ふるにつき、今後はかかる事件を再演すること無かるべしと信ず。しかし御交渉の次第政府において適切なる方法を講ずることとすべき旨答えたり。

日本外交文書大正9年第2冊下巻 12湖南地方ニ於ケル南北両軍間抗戦ノ際ノ日本側被害一件

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