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鬼滅の刃は紛れもなく少女漫画だ

ジャンプに載っているのに少女漫画ってねぇ…という声が聞こえてきそうですが、鬼滅の刃は紛れもなく少女漫画なんです。今日はこの鬼滅の刃の持つ「少女漫画性」について書いてみようと思います。

まずそもそも漫画というものは非常に情報量の多い媒体です。表意文字(イラスト)と表音文字(セリフ)を同時に処理することができなければ読むことができません。そこに加えて、いわゆる「書き文字」というものが存在します。ワンピースでよく使われる「どーん」や、カイジの「ざわざわ…」などがイメージしやすいかもしれません。

さらにもう1つ、少女漫画で特によく使われるのが「モノローグ」の存在です。このモノローグの存在が少女漫画の構成要素の1つとなっているのではないかと僕は思います。少女漫画でよく題材として用いられるテーマは「恋愛」です。恋愛は好意を寄せる/寄せられる自己と他者との関係性が重要なので、物語を進めるうえで「1人称の観点」というものは非常に重要になります。

モノローグは「独白」と訳されますが、鍵となるのは「意識の共有」だと僕は思っています。一般的に多くの読者は「第3者の視点」から漫画を読みます。しかし、コマの中にモノローグが入った途端、モノローグの思考の主と読者は意識を共有した状態になるのです。

これが、鬼滅の刃には非常に多い。
故に、鬼滅の刃は少女漫画なんです。

少年漫画はストーリーを、少女漫画は人間関係を描くものだとよく語られることがありますが、ストーリーを追いかけることに慣れている(少年漫画ばかり読んで育った)人にとってはモノローグで進められる物語は退屈に感じるのかもしれません。反対にモノローグで読み進めることに慣れている(少女漫画ばかり読んで育った)人にとってはストーリーメインの漫画は共感できないものかもしれません。

鬼滅の刃はパッケージは少年漫画でありながら、中身は少女漫画であるという恐るべきバランス感覚を持って書き上げられた漫画であるが故に、ここまでヒットしたのではないかと思います。

だから、「鬼滅の刃=大人女子」のようなラベリングが各種メディアで積極的になされます。

だから、生粋のジャンプっ子にはあまり受け入れられないという現象も起きます。

だから、アニメをきっかけに大ヒットしたんです。(モノローグで話を読み進めることに慣れていない人も、アニメであればこの構成を違和感なく飲み込めます)

とまあ、ここまでつらつらと書いてきましたが、どの程度他の漫画と比べてモノローグが多いかも調べたわけではないですし、僕の感想の域をでません。しかし、当たらずも遠からずという気はしています。

そのほかのヒットの要因については中田敦彦さんがYouTubeでまとめられていたものが、非常に納得感があったので、そちらを見てみてください。②の25:25あたりからがヒット要因の分析になっています。



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